0.69gのデブリ茨城に到着 #福島第一原発2号機
福島第一原発2号機から試験的に取り出された0.7gの燃料デブリは、今日(11月12日)、茨城にある日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗原子力工学研究所に到着したようだ。昨日の東電会見で分かったことを記録しておこうとして、念のためにニュースリリースサイトを見たら、そう出ていた(輸送の完了)。東京電力は、これまで、核物質防護のために、いつどのように輸送するのかは非公表として、昨日も今日輸送するとは一言も言わなかった。
昨日(11月11日)明らかにしたのは、11月8日(金)に6項目を測定したということ。紙切れ1枚出さないので、記者が何度も質問し、ようやく、以下1〜4が運搬が可能かどうかを判断するための測定で、5〜6がグローブボックスで作業する作業員の安全管理のための線量であるとして、口頭で説明した。
質量:0.7g(より正確には0.69g)
水素濃度:検出限界(10ppm)未満
ガンマ線スペクトル解析:未公表
蛍光X線分析:未公表
ガンマ線:グローブボックス外(表面)から運搬用ボックスまで20cmの距離で0.1mSv /h
ベータ線:グローブボックス内で18mSv /h
ただし、グローブボックス内のどこで測定したかとの質問には「確認する」。グローブボックスの大きさは4.6m x1.4m x 2.6m。
その他、この日の会見で分かったことや主な質疑内容をざっくり箇条書きする。
測定したのは東京パワーテクノロジー。
3と4は、輸送後にJAEAでの分析結果と合わせて公表するとしていたが、運搬用に測定するものをなぜ輸送後でなければ公表しないのかわからないと聞くと、輸送後とは限らないと修正。(が、結局、公表しないまま輸送完了。)
JAEAなどで1年かけて分析が終わるまでは、2回目の取り出しはやらないのか確認。「予定はない」という。
24mSv/m(ガンマ線)未満を取り出すとしていて結果的に0.2mSv/m(ガンマ線)であまりに低くないかと訝しがられた。また、分析には最低0.2g程度必要(資料P5)で4機関が分析するのに0.69gしかないと分かり、少なすぎないかと誰もが首を傾げた(と思う)。
なぜ2回目の取り出しをやらないのかと思いながら、改めて実施計画の該当箇所「Ⅴ 燃料デブリの取り出し・廃炉」を見ていたら、グローブボックスもエンクロージャーもガイドパイプ(下図)も試験的取り出し完了後に撤去するとある。撤去するのかと聞くと、「撤去する」という。(撤去するなら、そりゃ2回目の試験的取り出しはできないなとは思ったが、少量取り出すたびに機器を開発、設置、撤去を繰り返すつもりなのか?と愕然とした)。
今回の「燃料デブリ」を採取したペデスタル床面堆積物の厚さについては「確認する」。なお、「燃料デブリは比重が重いので下へ行き、今回採取したものは燃料デブリでない可能性」はないか認識を問うと、「採取場所は、燃料集合体の近くなのでデブリだと考えている」という回答だった(資料P2に書かれていることでしかない)。
先は長い。優先順序の見直しが必要だと思う。
関係「地味な取材ノート」
・2024年11月3日 廃炉の優先順序は?最高責任者の考え #1F
・2024年11月8日 廃炉の優先順序は?原子力規制委員長の考え #1F
【タイトル写真】
2024年11月11日(月)東電会見室にて筆者撮影。
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