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燃料デブリ試験的取り出しその後(2024年12月)

2024年11月12日、福島第一原発2号機から試験的に取り出された0.7gの燃料デブリが、日本原子力研究開発機構(JAEA)大洗原子力工学研究所(茨城県)に到着してから1ヶ月が経つ。到着前日(11月11日)の会見で「JAEAなどで1年かけて分析が終わるまでは、2回目の取り出しはやらないのか」の質問に対して「予定はない」と答えていた(既報)。その後とそこまでの作業員の被ばく線量について。


11月14日 1F事故分析検討会で

11月14日の「東京電力福島第一原子力発電所における事故の分析に係る検討会」 では山中伸介原子力規制委員長の質問に「基本的に次のステージは、楢葉でモックアップ(模型による練習)をしているロボットアームを活用するが、テレスコのアームで複数のサンプルを取ったほうがいいという考えもある」旨を東電は回答。委員長に「やはりもう少しサンプリングをしてはどうか」と提案されると、「三菱重工さんを含めて」検討したいと回答していた(検討会議事録)。

12月5日 東電定例会見で

その後はどうなったのか、「2号機試験的取り出しについて、テレスコかロボットアームに進むのか、検討状況は」と聞くと、東電は「現在も検討中」と回答。
それに続く質疑を以下に記録しておく。

まさの(Q):テレスコかロボットアームの検討は、JAEAにいった1g以下のデブリの性状分析が終わってからの検討か、同時並行か?
東電(A):1回目のデブリは茨城の施設で分析をおこなっているところ。それとデブリ採集はリンクしない。別々で考えている。

Q:既に分析されていると。当初4機関に分割するが、方法も割合もJAEAに1g以下が届いてからだということだったが、どうしたか。
A:JAEAに運ばれ、分析の方にかかっている状態。JAEAによると、まずは非破壊で分析を進めているので、結果を踏まえて、今度どういった形でサンプルを分割してどう持って行くかは、おそらくJAEAの方で発表する。
Q:リハカイ?
A:非破壊です。
Q:まだ分割をしていないということ?
A:分割をしていないかどうか含めて詳細を把握できていない。お待ちいただきたい。

(会見動画より音声まとめ)

試験中のロボットアームは経年劣化

なお、東電が「基本的には」次の取り出しで活用したいと考えていた「ロボットアーム」はケーブルが経年劣化によって断線した、と11月28日の中長期ロードマップ会見で発表。東電は、耐久年数を問われ10〜20年などと回答したが、未だ試験中の段階で部品交換となった。

2024年11月28日中長期ロードマップ資料「2号機 PCV内部調査・試験的取り出し作業の状況

劣化が起きているのは、実は汚染水をためている約1000基のタンクも同様だ。11月28日の会見で明らかになったことを別のコマで記録することにする。

2024年11月28日、中長期ロードマップ会見で筆者撮影

書かなければならないことが山積みで、ことの進行に間に合っていない。
と、ここまでを昼までに書いたが、以下、今日の会見で得た情報を加筆しておく。

作業員の被ばく(計画および実績)は? 

12月12日の東電会見で、結局、燃料デブリ880トンのうち、0.7g(0.1mSv/h)を取り出すだけで、作業員はどれだけ被ばくをしたのか。改めて聞いた。1)当初の計画線量、2)パイプの組み立て順を間違え故障カメラの交換で増やした計画線量、そして 3)実績について。人数についてもわかった。以下の通りだ。
1)当初の計画線量: 610人mSv
2)変更後の計画線量: 960人mSv
3)7月初旬6月26日〜11月13日までの実績:620人mSv
4)7月初旬6月26日〜11月13日までの作業人数:計2527人
5)上記3)と4)は「6月26日〜11月13日」だったと12月19日の東電会見で訂正があった。(2024年12月19日加筆)

なお、計画線量960人mSvは、試験的デブリ取り出し作業が終わってテレスコ等を撤去するところまでを見越した線量であり、現時点ではまだ撤去作業に入っていないので、620人mSvにとどまっている。

当初の計画線量は610mSvだったということは、パイプ組み立ての初歩的なミスや故障の原因が未だ不明のポンコツなカメラのせいで、撤去作業までを入れれば、約1.5倍の線量を食ってしまうことになる。この調子で880トンの取り出しをやるのか。やはり再考が必要ではないか。

【タイトル画像】

2024年11月28日中長期ロードマップ資料「2号機 PCV内部調査・試験的取り出し作業の状況」(技術研究組合国際廃炉研究開発機構、東京電力ホールディングス株式会社)P7 より 

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