1Fトラブル:2号機使用済燃料プールの冷却
福島第一原発の2号機では、今、2つのトラブルが同時進行している。
・原子炉から溶け落ちた燃料デブリの取り出し(次のコマで書く)トラブル、
・使用済燃料プールを循環冷却するシステムのトラブルだ。
2号機使用済燃料プール冷却システムのトラブル
10月3日に、FPC熱交換室内(上図右)の配管冷却システムの配管に穴が空いていたと発表。「漏えい箇所の修復をするとともに、万が一にもSFP一次冷却系に再び不具合が発生した場合に備え、代替冷却手段の構築」(P1)と表記。
この表記では、まるで使用中の「FPCポンプ」と「FPC熱交換器」を通る「配管」に穴が空いたから、それを修復した上で、万が一を考えて代替冷却手段を構築すると言っているかのように読める。しかし、会見での口頭説明を図にすると、以下のようなものになった。
リリース表記と口頭説明にギャップがあり、半信半疑だった。そこで10月17日の発表時に会見と直後の取材で、上図の理解で正しいと確認できた。
つまり、311前からあった使用済燃料プールの冷却システムは、2号機だけでなく、1、3、4号機の全てで、以後、使えなくなった(電源が取れない、津波で1次冷却システムが破壊された等と会見後のぶら下がりで説明)。
だから、使用済燃料プールを通ってスキマサージタンクから降りてくる水は、「FPCポンプ」と「FPC熱交換器」と穴あき「配管」を通り道(上図左の緑囲み)としてしか使っていなかった。今回、その通り道に穴が空いた。この間、プールを冷却していたのは、311事故後に構築した新たな冷却システム(上図右の緑囲み)だった。
だから、今回行うのは実際には穴の「修復」ではなく「閉止」。そして「FPCポンプ」と「FPC熱交換器」は10月17日発表資料P1(下図右)では「代替冷却ライン」と書かれているが、実際は「バイパス」させて潰すことだ。
穴あき配管閉止と旧ポンプ/熱交換器のバイパス作業体制
この作業空間は、先述したように線量が高いため、16名(4班かける4名体制)で、計画線量は1日あたり3.5mSv。 作業員が身に着ける警報付ポケット線量計(APD)の設定値は3mSvだという。元請は東芝エネルギーシステムズだ。そう、東洋経済新報社の岡田記者の質問に東電は答えた。(ちなみに、東芝エネルギーシステムズとは「あの」会社だ。)
なお、作業が終わるまで冷却が止まるが、燃料プールの温度は、東電は「運転上の制限である65°Cに達することはない」「実測値が約49°C」だとしている。プールの水が蒸発して水位が下がると、その分だけを補給して凌ぐやり方で、2ヶ月以上が経過した。
旧装置の損壊「これまでに公表されているんでしたっけ?」
ところで、1〜4号機のすべての使用済燃料プールの冷却システムが311で壊れたことについて、「これってこれまでに公表ってされているんでしたっけ?」と10月17日会見直後に聞いてみた。すると「はい。事故報告書に書いてあります。徐々に設備を更新してきていますが」と付け足すので、「そうか」と思って見た。
確かに書いてあるが、新冷却システムについては「熱交換器を備えたシステムへの機能向上」と書いてあるだけ。新旧の装置が継ぎはぎだらけで「廃炉」作業は続くのだ。
【タイトル写真】
2024年10月17日東京電力定例会見で筆者撮影
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