COP28は化石燃料を巡り会期延長。原子力ロビーは断末魔の叫び?
「化石燃料の段階的廃止」か削除か
アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれている国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)は、「化石燃料の段階的廃止」という文言を巡って、現在、会期延長中だ。報道によれば、石油輸出国VS欧米と島嶼国という構図のようだ。
2050年までに原発3倍/2030年までに再エネ3倍
そんな中、環境NGOらが先ほど、共同会見を行った。
2050年までに「原発による発電容量を世界で3倍にする」という米国、日本など20カ国以上が宣言を発したことについて、「原発は気候危機対策を妨げる」と声をあげるためだ。共同会見に参加したNGOのこの間のリリースから抜粋する。
「今回の原発3倍宣言以外に、COP28では、EU主導で118か国が参加した、再エネの設備容量を3倍、エネルギー効率改善率を現在の2%から4%に倍増するという誓約も発表された。この目標年は2030年である。原発は計画から運転開始まで20年、場合によってはもっと長時間かかることもある電源だ。今、必要とされる脱炭素の役には立たない。原発3倍宣言が目標年を2050年としていることからも明らかなとおり、原発は脱炭素を遅らせる」NPO法人原子力資料情報室
「原発は不安定で危険な上に経済合理性にも欠ける電源であり、ウラン採掘から運転、廃炉、核燃料の処分に至るまで環境を汚染し、人権を侵害する。気候変動対策にすべきではない」(国際環境NGO FoE Japan)現地情報
「日本のエネルギー政策は、今も化石燃料に偏重しており、石炭ですらまだ完全廃止を打ち出していない。化石燃料のフェーズアウトなしに、原発を増加させたとしても全く解決策にはならない」気候ネットワーク理事長・弁護士 浅岡美恵 会議場通信Kiko
「日本は、気候危機を利用して原子力への依存を正当化する一方で、CO2を大量に排出する産業の化石燃料ビジネスを延命させようとしています。それは危険な目くらまし以外の何ものでもありません。2000年代以降、原子力産業のロビイストたちが主導してきた「原子力ルネサンス」の試みは、決して成功しませんでした。
私たちには、気候危機に対する、より安価で、より安全で、より民主的で、より迅速な解決策がすでにあるのです。つまり、再生可能エネルギーと省エネルギーです」国際環境NGO 350.org
日本の原発ロビイストの動き
その「原子力産業のロビイスト」がCOP28でどのように活動しているかは、「日本原子力産業協会」のXアカウント(https://twitter.com/JAIF_Tokyo)や原子力産業新聞の発信で垣間見ることができるという。
日本は「原子力3倍」に貢献と経産省
また、経産省は、COP28報告の中で、「原子力3倍」宣言について、「日本は、原子力利用を検討する第三国への革新炉の導入支援や、同志国と連携したサプライチェーン強靱化などの取組を通じて、世界全体での原子力発電容量の増加に貢献する観点から、本宣言に賛同しました」とウエブサイトで報告。
しかし、国際環境NGO 350.org が発しているように、「2011年に東京電力福島第一原子力発電所事故が発生しましたが、いまだにその原因は特定されておらず、多くの人々が苦しんで」いる。また2000年代以降、原子力産業のロビイストたちが主導してきた「原子力ルネサンス」は失敗してきたのだ。
「原発による発電容量を世界で3倍」は、断末魔の叫びではないか。原発は「気候危機対策を妨げる」だけでなく、日本にどのような災いをもたらし続けているのかを、ここで書き続けようと会見を聞きながら思った。
【タイトル画像】
2023年12月13日 共同会見「原発は気候危機対策を妨げる」資料より。