「元請と2次請の間に1次請をかませる目的」が、ピンハネ以外にまだわからない。#東芝エネルギーシステムズ
「多重下請」構造の話(続報)です。
公開質問に対する回答が理解できず、再質問。その回答が来たが・・・。
どんな労動が多重下請になっていたか
福島第一原発で増え続ける汚染水を処理する設備「多核種除去施設(ALPS)」。その配管にたまる炭素塩(アルカリ性)を硝酸(酸性)で洗い流す作業だった。
東京電力からこの作業を請け負ったのは「東芝エネルギーシステムズ(以後、東芝」(元請)だが、それを「1次請」→「2次請」→「3次請」3社におろした。
起きた問題は少なくとも2つ
この作業で、高濃度(約44億ベクレル/L)の廃液を、末端の「3次請」3社のひとつで働く2人が被って被ばくしてしまった。この問題のほかに、それが誰の責任なのかという問題がある。ここでは詳述しない。
質問「ピンハネか?」→回答「委託した業務に対して対価を支払っております」
現場にいたという東芝(元請け)と「1次請け」の「工事担当者」は同一人物。それなら「1次請け」を通さずに「2次請け」に直接、おろせばいい。「1次請け」の存在意義は、「ピンハネ」以外に何があるのか?
公開質問を行ったのは、1月11日(既報)。
ズバリ「(3)「工事担当者」が同一人物なのであれば、1次請けの役割は単に中抜き(いわゆるピンハネ)であると考えざるを得ないがどうか」と聞いた。
回答は「当社は業務委託契約に基づき、委託した業務に対して対価を支払っております」というものだった(1月16日に既報)。
「東電から元請(東芝)への対価」
―「元請(東芝)から1次請に委託した対価」
―「1次請から2次請に委託した対価」
―「2次請から3次請3社に委託した対価」
―「3次請が留保した儲け」
=作業員への支払い額
となれば、東芝が1次請に「委託した業務に対して対価」が適法でも、一番下の作業員からすれば、労働の対価が4重に中抜きされた額になる。
元請と2次請の間に1次請をかませる目的は何か
しかも、今回は、1次請には、元請と同一人物の工事担当者1人しかいない。だから、(2)元請と2次請の間に1次請をかませる目的は何か(1月11日既報)と聞いたのだが、その回答は、日本語として理解できなかった。
そこで、せめて、受託と委託の関係をはっきりさせて欲しいと尋ね返した。
すると、以下の回答が来たが・・・。
これで、日本語としては理解できるようになったが、元請と2次請の間に1次請をかませる目的が何かは、まだよくわからない。「工事」を請け負った元請の業務と、「工事管理業務」だけを請け負った1次請は違うと言いたいのか? だから何なのか?
同一人物が工事と工事管理業務を元請(東芝)でやれば、1次請は不要ではないか?「適正な労働が伴わない企業」で「対価」が中抜きされ、実際の労働をする作業員が適正な対価を受け取れないことがピンハネだとすると、工事担当者という同一人物が、別々の会社(元請と1次請)で労働した形を取る必要性は何なのか。
全体像がわからなければ、1次請が単なるピンハネ企業ではないということがわからない。対面取材で確かめないと消耗するばかりだ。忙しいのであとで考える。
一つだけ確実なこと
一つだけ確実に言えることは、安全管理体制がグサグサな中で、安い対価で、末端の作業員が危険な労働をさせられ、被ばくすることが、絶対にあってはならないということだ。
【タイトル画像】
「元請と2次請の間に1次請をかませる目的は何か」に対する回答と思われるが、1次請が単なるピンハネ企業ではないということの疑いを消し去るには不十分だと筆者が受け止めた東芝の回答。
関連する「地味な取材ノート」
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ほか
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