見出し画像

1F 燃料デブリの試験的取り出し、失敗か?成功したとしてその意味は?

福島第一原発2号機の燃料デブリの試験的取り出しの2度目の中断はいまだ続いている。苦労して押し込みパイプの順番を入れ替えて、押し込んだものの、いざ!となったらカメラが映らず、取り出し作業ができなくなった。9月23日にテレスコ装置の引き戻しを始め早ければ25日(か26日)に、格納容器内の高い線量から離れた場所(エンクロージャー)まで引き戻しを行って、エンクロージャー内のカメラで、映らなくなったカメラをはじめテレスコ装置の先端治具などの外観を遠隔で観察するが、その先のことは未定だ

9月13日から17日までのことはこのあたりで書いたが、その続きを記録しておく。要点を知りたい忙しい方は上記のみで十分だ。


カメラが映らないと分かった後から9月24日まで

2024年9月24日の東電会見(動画はいずれリンク切れする)でわかったこと。

9月20〜21日
オシロスコープ(電気的な信号を確認する計器)で確認(下図)。カメラ①②は反応せず。カメラ③④および1F構内にあった予備カメラは信号が確認できた。

2024年9月24日 東電資料 P2

9月22日
三菱重工が点検(電源のオンオフ。外観の点検)を作業体制5名で行なった。

9月23日
テレスコ装置の引き戻し開始。(26日の予定で(早ければ25日に)エンクロージャー内にテレスコを引き戻す。)

この日の資料「福島第一原子力発電所 2号機燃料デブリ試験的取り出し作業におけるカメラ調査状況について」と他の記者との質疑を聞いて尋ねたQ&Aを音起こししてそのまま貼り付ける。

2024年9月24日 東電資料 P1
2024年9月24日 東電資料 P3

なお、【 】内は私の脳内つぶやき。

Q(まさの):22日に三菱重工が行った点検とは?
A(東電広報小林氏):作業体制5名で。内容は日常点検。電源のオンオフ。外観の点検。
Q:後方ハウス内の接続端子も健全だという理解でいいか?
A:電気的な確認という意味では問題は確認されていない。
Q:P1赤い点線内の「分解」と「再組み立て」(P3)は人間が手で行ったか?
A:仰るとおり、オシロスコープが台に載っていて手で接続作業など実施。
Q:先ほど言った「カメラが信号がきていない」とは①②の話で、③④の信号は正常に来ていたという理解でいいか?
A:2ページ。カメラに信号を送って健全性を確認した。

Q:3ページではケーブル、接続端子、映像変換器は故障ではないということは潰せたと理解した。今のグラフでいえば、正常であることが確認できていないのは、①と②だということになるので、今回壊れているのは、①②のカメラであるという可能性が最も高いと思われるが、そういう理解でいいか。
A:繰り返すが、現時点では何が問題か明確な確認ができていない。①②が壊れているかと言われると【言っていない】、壊れているとも壊れていないとも言えない。エンクロージャーに引き込んだあとで確認していきたい。
Q:ただし他のところは壊れていないことが確認できていてカメラ①②は確認できていない、ということはカメラ①②は少なくとも壊れているという可能性が残っているというのが現時点であるということか?
A:カメラなのか電装系なのかはは確認してみないと分からない。【①②が壊れている可能性すら認めないのはなぜなのか】引き戻し(エンクロージャー内の4台のカメラで)、外観でズームして破損箇所があるかないかをみる。

Q:テレスコの先端はエンクロージャーに戻ってくるまでは早ければ25日、遅ければ26日ぐらいと仰ったと思うが、それまでは放射線にさらされている?
A:現在、隔離弁よりも先にございますので、その意味では、まだ格納容器内からの線量は強い状況だと考えている。実際、建物の中に入ってきても、若干の周辺の放射線等ありますけれども、中と比べると低い。
Q:当初の予定では、燃料デブリ3g以内のエンクロージャー内に戻したところで線量を測定し、24mSv/h超えたら戻す予定だったが、カメラについても線量は測定を行うのか?それが万が一何かがついていて24mSv/h超えていたら、どうするのか?
A:エンクロージャーに戻ってきたところで、カメラの測定をするかどうかは情報を得ていないので確認する。
Q:当然すると思ったが、確認していただき、それが万が一24mSv/hを超えていたらどうするのかも合わせて、後ほどお願いします。
A:確認します。

Q: さきほど「把持したのか」という質問に対して「接触したことはなかったと思う」と仰られた。当初(会見では)何か触ったということを仰っていたので、その確認と、さきほど「つかみにいくぞというところで映らなかった」ということを仰られたと思うが、私の勘違いか?2点を願いします。
A:まず、燃料デブリをつかみにいくにあたって、どの燃料デブリを取りに行くかということで、いったん先端治具をぺデスタルの底部まで一度、降ろしていますその際に、目星をつけた作業をやって、一回、引き上げています。引き上げてぺデスタルの入口の定位置で止まった状態で、一日過ごしています。
 ですので、そこまで戻ってくる間に、先端治具が何かにぶつかったかという記録があるかというとないです。カメラで見ていますので、ぶつかったというところは確認されていません。で、定位置で戻った状態では動いていないので、その状態での接触の可能性は低いと思います。そこで、いったん電源を落として、翌日【翌々日の言い間違えか】、前日【前々日の言い間違えか】に確認した燃料デブリをつかみにいく作業に入る段階でカメラが映らないことが確認されたので、前日【前々日の言い間違えか】の終了の段階から翌日【翌々日の言い間違えか】の間はまったく装置を動かしていないので、その間に何かに接触するという可能性は基本的にはない。ただ、これも休止中に何かがあった可能性は否定できないので、テレスコピックをエンクロージャー内に引き戻して、直接カメラによって確認する必要がございます。そちらについての調査結果も踏まえて、今後判断していきたい。

Q:当初、中断したという8月22日(9月17日の間違え)の会見では、どれをピックアップするかという目星をつけたという情報はなかったような気がしますが、実際はカメラはその時は映していて、目星はついていたということだったんでしょうか。もしそうだとすると、その時の映像、これにしようという映像というのは撮ってあるんでしょうか
A:はい。カメラがないと作業ができませんので、基本的には映像はございます。どのような形で提供するかは、検討していますが、映像を含めて公開するかどうか検討する。
Q:いや、それは公開していただかないとと思いますが、いったん終わります。あまりにびっくりして言葉を失っています。【思わず脳内つぶやきが言葉に出てしまった】
広報司会が補足:デブリの接触のところについては、カメラは何かに干渉しているとか触っているとかはないんですけど、9月14日の土曜日に、先端治具が接触しにいったというのは、週明けの会見でも話をしています。9月の連休明けなんで17日。
 それと小林から確認すると申し上げたカメラの線量を確認するかというところは、作業終了後に累積の被ばく線量を検証する予定ということになっています。
Q:「終了後に」の意味がわからないんですが、普通に考えると、エンクロージャー内に戻ってきたところで、測定するものと、それがベストだ、まずはそこで必要な情報だと思うのですが。
A:こちらも先ほどから申し上げている通り、まずは外観で確認するので、それを踏まえてその先のこととして。
Q:その先じゃなくて、同時もしくは最も最初にやるべきではないんですかねぇ。線量を調べるというのは。
広報小林氏:今回はグリッパーは開いた状態なので燃料デブリをつかんでいることはまずないです。今回、その線量測定に関しては、燃料そのものを仮に3gをつかんできてという評価なので、そういう可能性はほぼ皆無だと思う。ですので、まずは収納した状態でカメラを撮影して何か問題があれば測定するかもしれませんけれども、現時点でカメラを確認する、線量を測定するということは今のところ計画していない。

Q:確認ですが、最初に目星をつけたときの映像が撮れていたという情報は、前にもお知らせいただいていましたでしょうか?
A:基本的に作業をやっているところでは、カメラ回っていますから、映像はございます。
Q:説明はしていないけど、ずっと映っていたよと。
A:そうですね。今回、撮りにいくんではなくて、確認作業という状況ですから、そこについてのその時点での情報提供というところは、考えていなかったです。で、それ以外に、撮れた映像というのは、今後、どういうふうに公開していくかというのは、含めて、現在、検討中でございますので、いずれにしましても、何らかの形で、映像というのは、今後、皆様の方に公開できると思っております。(動画1時間7分目ぐらい)

2024年9月24日東電会見 音起こし

以上、太字が新たにわかったこと。

試験的取り出しが成功したとして、その意味は?

今回、8月22日に始まった燃料デブリの試験的取り出しは、カメラの耐温度か耐湿度か耐放射線量か、そのどれかが原因で、最終的には「失敗」したと言わざるを得ないことになると予感するが、もしも成功したとして、それはどういう意味を持つのか。それは聞いておこうと思った。

2ラウンド目の2つの質問は以下の通り(自分用記録なのでそのまま貼る)。

1つ目は、今回は(成功しても)「ペデスタル近傍の性状が少しわかる程度」だというのが原子力規制委員長の見解であることをぶつけてみた。
2つ目は、指摘されている「再臨界」のリスクをどう考えているのかについて

まさの:今回の燃料デブリ取り出しについて、原子力規制委員会の山中委員長の認識としては、あくまで小さな一歩であって、今回わかるのは、ペデスタル近傍の性状が少しわかる程度だとおっしゃっていて、今度のデブリの取り出しの工法の技術開発とか工法の決定に関する知見が得られるようなものではない、という認識を示されている(9月11日会見議事録P1)。東電もそのような認識か?
広報小林:試験的取り出しで得られた燃料デブリ、これがどのような性状であるのかを分析することで色々な情報が得られると思っています。格納容器の中のデブリの状態などについては色々な議論がされておりまして、その中でデブリの分布だとかいうことも基準評価がされています。そういうものと今回直接得られた情報を組み合わせることによって、色々なデータが得られると思う。ですので、小さな情報ではあるけれども、その一つの情報が今後の燃料デブリの取り出しに大きく貢献するものであるとは考えています。その小さな一歩であるかもしれないけれども、今後の燃料デブリ(取り出し)には必要な情報だと考えている。
Q:ぺデスタル近傍のものしか取らない(取れたとしても)ということで、色々な箇所から試験的取り出しということで取り出すことも視野には入っているか。
A:そうですね。今後の話はこれからの計画なので、また計画が明確になってきたところで、皆さんにお伝えしていきたと思います。【行き当たりばったりなんかい?】もともとはこの試験的取り出しもテレスコピック装置ではなかったということもありますので、そこも含めて今後どのように対応していくかということは、検討を進めていくことになろうかと思います。

Q:最後に基本的な質問で恐縮だが、廃炉等支援機構が燃料デブリ取り出し工法評価小委員会報告書で、取り出しの難しさを6つ挙げていて(下図)、その中で「燃料デブリの状態変化による再臨界への対処」を挙げてますいが、燃料デブリが再臨界する可能性はどういうように捉えているか、東電としては。
広報小林:燃料デブリの再臨界というところは可能性は低いですけれどもないとは言えない状況です。そういうところもあって、現在は原子炉に水を注水して冷却を継続しているところがあります。その中で安定した状態ではあるけれども、そこでデブリの取り出しに着手して燃料デブリの状態を変えていったときに、可能性として状態が変わるということになると思いますから、そういうことに対してしっかり議論していくことは重要だと思いますので、そういうところに問題提起がされていると思う。そういうところで、どんな対策をするのか取扱に対して何が必要なのか、そういう議論の中で今後のデブリの取り出しに向けた必要な対応が見えてくると思っています。
 そういうところからも、今回の試験的取り出しで得られる情報、こういうところが、この場所にあるデブリがどういう性状なのか、そういうことがわかるということはデブリ取り出しのやっぱり重要な一歩であると考えています。そういうところから、今後のデブリ取り出しに向けた作業に対しては、この試験的取り出しというのは重要な一つの作業であると考えています。(2時間22分目あたり)

2024年9月24日東電会見 音起こし
燃料デブリ取り出し工法評価小委員会報告書(概要) 2024年3月7日
原子力損害賠償・廃炉等支援機構 燃料デブリ取り出し工法評価小委員会



いいなと思ったら応援しよう!