ユニバーサルデザインの強化書43 UIとUXを同時に語ることの弊害
UIとUXを同時に語ることの弊害
UI(ユーザーインターフェース)とUX(ユーザーエクスペリエンス)はデザイン業界で頻繁に使われる用語であり、時々、これらの概念が、同じものであるかのように誤解されることがあります。しかし、これらは異なる側面を持つ重要な概念であり、一緒に語ることの不適切さについて理解することが重要です。
まず、UIとは何かを定義しましょう。UIは、ユーザーが製品やサービスと直接的にインタラクションを取る際の物理的またはデジタルなインターフェースを指します。これにはボタン、スクリーン、スライダー、フォームなどの具体的な要素が含まれます。UIは、ユーザーが製品やサービスをどのように使用するかの「方法」に重点を置いています。
一方、UXはユーザーが製品やサービスを使用する過程での「感じや体験」を指します。UXデザインは、ユーザーが製品やサービスを使って目的を達成する過程での感情や反応を最適化することを目指しています。これには利便性、効率性、使いやすさ、そして満足度などが関わってきます。
UIとUXを同時に語ることの不適切さは、これらが持つ異なる特性と目的を無視してしまうことから生じます。例えば、美しいUIを持つアプリケーションでも、ユーザーが目的を達成するのが難しい場合、そのUXは良くないと言えます。逆に、シンプルで目立たないUIでも、ユーザーのニーズを満たすことができれば、優れたUXとなります。
また、UI/UXを一緒に語ることで、デザインのプロセスにおいてどちらの要素に焦点を当てるべきかの「優先順位が曖昧」になります。UIとUXは独立して考慮され、それぞれの段階で適切な評価と改善が必要です。
さらに、UI/UXを一緒くたにして議論すると、それぞれの「専門家の役割や責任が不明確になる」リスクがあります。UIデザイナーはインターフェースの「視覚的側面」に焦点を当てるのに対し、UXデザイナーはユーザーの「全体的な体験」を考慮します。これらの役割を混同すると、デザインの質が低下する恐れがあります。
結論として、UIとUXは密接に関連しているものの、異なる目的と側面を持つ概念です。これらを同じものとして語ることは、デザインのプロセスや結果に混乱をもたらす可能性があります。正確な理解と適切な用語の使用は、高品質なデザインを生み出すために不可欠です。
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