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コンピューターグラフィックスと35年【2】

気づけば前回から一週間が過ぎてしまいましたが、続きです。

恐らく発売初期に父親が買ったと思われるPC-8801MkIIは、3年ほどで壊れてしまいました。
自分が小学2年生くらいの頃だったと思います。
原因はわかりませんが、父親は特に修理に出す事なく壊れたPC-88はそのまま放置されパソコン生活が終わりました。
しかし、父親は新しいコンピュータを買ってきます。

もう一つのコンピュータ

新しいコンピュータ、それはツインファミコンでした。

我が家には初代のファミコンはなく、これが初めてのファミコン機でした。
小学校に上がるころには同級生のどの家にもファミコンがある様な状態で、家に遊びに行けば羨ましがっていましたが、なぜ新しもの好きの父親がそれまでファミコンを買わずにいたのか今考えれば何となく理由もわかります。

ファミコン :1983年発売
PC-8801MkII:1983年発売

父親はファミコンではなくパソコンを選択したのでした。
ツインファミコンがやってきた事で、改めてコンピュータのある生活が始まります。

飛び出すメガネと飛び出すゴーグル

ちょうどこの時期、こども向けのメディアで立体視が流行っていたように思います。
いわゆる赤青メガネを掛けるとまるで画面や誌面からキャラクターなどが飛び出して見える、アナグリフと言う方式で見る立体視コンテンツです。
アニメ映画や雑誌など様々なメディアでアナグリフを使った立体視コンテンツがありましたが、ゲームにもありました。
スクウェアとびだせ大作戦です。

奥行方向へ進むアクションゲームと言う事で、単にキャラクターやオブジェクトが飛び出して見えるだけでなく、深度変化を表現している事もこのゲームの特徴でした。
そして、このゲームがインタラクティブな立体視コンテンツの最初の体験となります。
正直あんまり立体的に見えなかった気もしますが…。

もう一つ、ファミコンで立体視コンテンツ体験をします。
任天堂が発売した周辺機器、ファミコン3Dシステムを使ったゲームです。

(この動画のゴーグル、新品だ…)
こちらも左右視点の画像を交互に表示させる所はアナグリフと変わらず、赤青フィルムの代わりにゴーグル内の液晶シャッターを通して右目・左目別々に見せる事で立体を感じさせる仕組みで、アナグリフとは違い色も正しく感じられるものでした。
が、アナグリフもこちらも解像度が低くフレームレートもそもそも低いファミコンの映像では、いくら高速で交互に表示させたと言っても点滅が視認できてしまうほどの速度で、立体を感じるより前に点滅で目が疲れてしまうと言う様な状態です。
ファミコンのシステムとしても物珍しさからの脱却は出来ず定着し無かったようです。
とは言え、この時期に被り物をして立体視コンテンツを体験すると言う、現在のVRに通ずる経験できたことは貴重だったと思います。

次元の変換

少しコンピュータの話から逸れます。
幼少時から絵を描く事は好きでした(上手いとは言っていない)。
子供が自由奔放に描くと言うより、何かを見て模写をするような絵を描いていたような気がしますが小学4年生のある時、図工の授業で躓きます。
よくある、自分の町のイラストマップを描こうと言うだったのですが、全く描けない…。
上から見た地図と建物などのイラストを組み合わせて描く事が出来なかったのです。
頭の中で、地図の道路と建物の地平線が一致しない事に拒否反応を起こしている様でした。
それでも何とかしてイラストマップを完成させます。
道路と建物の地平線がなんとか一致する様に…。
それを先生に見せたところ、鳥瞰図と言う図法だと教えてもらいました。

何かを観察して絵を描くと言うのは、三次元の対象物を視覚を通して入力し、手を使って二次元の紙の上に変換して出力すると言う事です。
物を見て描く事が好きだった自分は、三次元の物を二次元に落とし込むことは得意だったのですが、二次元の物と三次元の物を同じ空間に配置すると言う事が出来ませんでした。
(ちなみにデッサンは得意ではありません)

3DCGとの出会い

そんな感じで物を三次元的に捕らえる見方していた自分が、ある時3DCGに出会います。
それまでも3DCGを使ったものを目にしていたかもしれませんが、フジテレビF1グランプリのオープニングはかなり衝撃を受けた映像でした。

今見ても滅茶苦茶カッコいいですね…ワクワクする映像です。
毎年徐々にクオリティが上がって行くのを見て3DCGに対する興味が増していきました。
ただ、この時は「こんなカッコいい映像を作ってみたい!」と思ったわけではなく、
「デジタルの立体造形物が画面の中で自在に動いている!」
みたいな感覚だったと思います。
この後、このオープニングの影響でF1にハマったと言うわけでもなかったので、やはりこの映像そのものが衝撃的だったのだと思います。
ここまではまだ3DCGを作ると言う認識を持っていませんが、ある転換期がやってきます。

絵を描く事の他にも工作も好きでしたが、手先が不器用で細かいパーツを取り付けたり塗装したりしても思い通りに作る事が出来ませんでした。
そこで気づきます。

「3DCGで作れば何回でもやり直しができるじゃん!」

と。

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