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『TENET』を観たぞ!と言うことの重要さ。

先日、映画『TENET』を観てきました。
https://wwws.warnerbros.co.jp/tenetmovie/index.html

率直にいえば、今回のノーラン映画は彼のベスト・ムービーではない。

意識内で空間を創出するカットが衝撃的だった『インセプション』の方が、初見時の興奮度は高かった。

また、最新の理論物理学に基づいた科学的考証が入っている点では『インターステラー』と同様だが、五次元空間を描写した『インターステラー』よりも『TENET』はクライマックスでの画面的華やかさに欠けている。

更に『TENET』のストーリーの整理が初見でついていないのを僕は自覚しているが、それでも『ダンケルク』における「トリプル・タイムライン」よりも、明らかに引き締まった流れになっていないことは分かる。

しかし、だからといって『TENET』がつまらない映画という訳ではない。

ノーランがいつだって提供してくれるのは、「時間」や「空間」という私達が常々感じている概念を、ブロックバスター映画だからこそ出来るありったけの「熱量」でもって、大掛かりな「カタチ」に変換すること。

この点において、『TENET』は成功を収めている。

・時間と空間は分けられているのか?
・時間の流れは一つだけなのか?
・時間を遡って進むとはどういうことか?

こういった疑問が鑑賞中にモヤモヤとしていても、「頭で考えようとしないで」という台詞の通りに、画面上で次々と描写が進んでいく。

これを「説明不足」と批判するのは早計だ。
この映画は「時間の逆行」「過去と未来が同時にやってくる瞬間」といった

想像上のものでしかなかったアイデアを描写できたことが第一の映画である。

理解させるには、説明ではなく体験であるべき。

ノーラン作品に通底する哲学は、一貫して『TENET』にも流れている。

だからこそ、未だ映画館に足を運んでいない方々は、『TENET』を見るべきだ。
そこで得た体験そのものが、なかなか言語に変換しづらいものではあっても、「観たぞ!」という興奮そのものは覚えていてほしい。

映画とは、映像体験である。

クリストファー・ノーラン最新作『TENET』で、それをぜひ感じて下さい!


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