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【個人住民税】計算を知ろう!
個人住民税の計算について解説します。100万円の壁について計算で理解できるようになります。
※税金が全然わからない!という人向けに用語や計算をめちゃくちゃ簡素化しています。調整控除なども省略しています。まずはイメージを掴んでいただければ幸いです。個人住民税は個人にかかる税金(法人住民税もあります)であり市区町村民、都道府県で呼び方が異なるためまとめて「住民税」と呼ぶことにします。
住民税は均等割と所得割の二本立てで計算されており、所得税よりちょっとややこしい側面があります。
所得割とは
1.収入 ー 経費 = 所得
2.所得 ー 所得控除 = 課税標準(課税所得金額とも)
3.課税標準 * 税率 = 住民税額
所得割は所得税と同じように計算するので前の記事で復習しましょう。課税標準に掛ける税率は固定で10%です。
※正確には市民税6%と県民税4%でそれぞれ計算されますがここではまとめて10%とします。
均等割とは
均等割は合計所得が45万円を超えると固定で5,000円が発生します。掛け算などはありません。
※実際には市民税3,000円、県民税1,000円、そして森林環境税(国税)1,000円がそれぞれ課税されるのですが、ここではまとめて均等割5,000円とします。
合計所得とは文字通り所得の合計のことで、所得がいくつかあればそれを合算したものです。そして、所得控除は反映されません。したがって所得控除がどれだけ大きくても所得が45万円を超えた時点で必ず住民税が発生する仕組みになっています。
計算してみましょう!
まさむFPさんは2024年の1年間の給与収入が160万円でした。他の収入はありません。所得控除は基礎控除のみです。まさむFPさんの住民税はいくらでしょうか?
まずはいつもの式の登場です。
1.収入 ー 経費 = 所得
2.所得 ー 所得控除 = 課税標準
3.課税標準 * 税率 = 住民税額
これに当てはめると・・・
1.1,600,000 ー 550,000(給与所得控除) = 1,050,000
2.1,050,000 ー 430,000(基礎控除) = 620,000
3.620,000 * 10% = 62,000
まさむさんは住民税を年間で62,000円を負担することがわかり・・・
ちょっと待って!住民税には均等割があります!今回まさむさんは給与収入しかないので給与所得=合計所得となります。
1.収入 ー 経費 = 所得(=合計所得)
1.1,600,000 ー 550,000(給与所得控除) = 1,050,000 ≧ 45万
→均等割5,000円
まさむさんは合計所得45万円を超えているため所得割62,000円と均等割5,000円で合計67,000円を負担することがわかりました。
お気づきの方もいるかもしれませんがこの辺りの収入帯の人は所得税率5%が適用されるのに対し住民税率10%+均等割が課されるので、住民税の方が負担額が高くなる可能性が高いです。
計算してみましょう!【100万円の壁がわかる!】
まさむFPさんは2024年の1年間で給与収入がn万円でした。他の所得はありません。所得控除は基礎控除のみです。まさむFPさんは住民税非課税(=0円)となるにはいくらまで稼いで良いでしょうか?
住民税の非課税については均等割が非課税となる収入を考えればおkです。
別の記事で解説しますが、均等割非課税の基準は扶養や本人該当の申告によって異なるため今回は扶養親族無し、本人の障害も無いものとします。
非課税になるには合計所得が45万円を下回ればいいので以下の式で考えましょう。
1.収入 ー 経費 = 所得(=合計所得)
合計所得が45万円以下であれば非課税となるため所得に45万円を当てはめます。
n ー 550,000(給与所得控除) = 450,000
n = 550,000 + 450,000
n = 1,000,000
まさむさんは給与収入100万円以下であれば均等割が非課税、すなわち住民税が非課税になることがわかりました。
これが100万円の壁の仕組みです。
お疲れ様でした!これで住民税の計算についても怖くないですね!ちなみに、こちらも所得税と同じようにあくまでも給与収入のみが前提となっていることに留意してください。
最近の住民税に関するトピックとしては住民税非課税世帯(世帯全員が住民税非課税)に対する給付が政府で提案されているようですね。
日本の税制はお金の動きに対して税金が発生するので貯金を崩している層は住民税は非課税になるという特徴があります。あるいは特定口座での株式譲渡や配当などは申告不要が選べるため実際に収入を得ながらも住民税は非課税となることができます。
非課税世帯への給付は本当に困ってる人と大して困ってない人どっちにもばら撒かれるというのは知っておいた方がいいかもしれません。