「小学生の矯正治療、9割はいらない」もう少し考えよう。
小学生が受けている矯正治療で多いのが、歯列拡大だ。
これから生えてくる歯が大きいから、
それに備えてアゴを大きくしておきましょう!というコンセプトだ。
アゴはどのぐらい拡がるのか?
場所により拡がる量は違う。
上顎はけっこう拡がるのですが、上だけ拡がっても咬めなくなるので
拡がりにくい下顎を基準に拡げることなります。
歯列拡大を勧められるきっかけとなりやすいのが、
下顎の前歯の凸凹です。この場所は
下の前歯が生えた頃から、大人の犬歯が生える(9歳くらい)までの時期に
約3.0mm ほど大きくなる。
でも、大人の犬歯が生えた後はもう拡がりません。
それ以降は、逆にどんどん狭くなっていきます。
若い頃に矯正治療が終わった方で、加齢とともに再度凸凹が出てくる理由はこれだ。
体の成長があるうちは、アゴも、それに伴い大きくなると思うでしょ。
一般の方に限らず、歯科医師でもそう思っている者は多い。
しかしアゴは意外に拡がらない。
下顎の前歯の凸凹を、歯列拡大のみで治したければ
凸凹の量が3mm未満で、大人の犬歯が生えるまでの間の成長を利用して
行うしかないということですね。思ってたより少ないでしょ。
参考文献:乳歯列期から目指す ‘‘永久歯列期正常咬合獲得への道’‘
町田幸雄 関口和夫 ヒューロン・パブリッシャーズ 2015
なのになぜ、この手法がよく選択されるのか?
歯を抜かないでよくなるかもしれない…
この「非抜歯」という〇〇%の可能性に希望を託すのか??
かかりつけ医がそう言うから??
そもそも治療計画というものは、
① にゴールを設定し、②にゴールを満たす手段を考える というのが基本。
「抜歯」か「非抜歯」かは
「正しいかみ合わせ」というゴールを満たすための手段なのだ。
しかし、この歯列拡大という手法は
手段であるはずの「非抜歯」がゴールにすり替わることに問題がある。
この治療計画を選ぶのであれば、一つ注意が必要。
歯列拡大だけでは正しいかみ合わせにならない
ということを知っておくことです。
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