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さようなら、До свидания, ME04型マトリョミン!
1mm動いただけで、天使の歌声にもお化けが登場する時の音にもなる。
人間の鋭敏な聴感と、非接触で奏でることが掛け合わされたからこそできたインターフェース。テルミン博士の天才がなければ生み出されなかった奇跡のマリアージュ。テルミンのことを知った時から、きっとそうだろうとは思っていましたが、弾くたびに奥深さと可能性を知って、テルミン博士の天才に思いを馳せています。
テルミンの演奏法普及を一心に求めてきました。求める人には演奏法も教え、マトリョーシカ型テルミン「マトリョミン」も2000年に作りました。マトリョミンに求めたのは、敏感に反応する演奏特性について知ってもらうこと。鍵盤のようなガイドがないので演奏は難しいですが、思い通りの音が奏でられた時の快感といったらありません。テルミン博士もこの快感を知った。私は2016年のコンサート出演中に脳出血を患い、後遺症で右半身に麻痺が残りましたが、入院の病室にもマトリョミンを持ち込み、リハビリにも用いました。片手だけで弾けるので、まずは健常側で弾いて、健常側の手を麻痺手に添えて練習しました。再びあの音をこの手で奏でたい、あの音は他の誰にも奏でられない。
マトリョミンも第三世代のME04型に進化しました。たくさんの人にテルミン演奏の面白さを伝え、お弟子さんたちと海外コンサートツアーに赴き、マトリョミン合奏で仲間と共に世界記録も樹立できました。病気の私も支えてくれたME04型マトリョミンも製造終了を迎えます。
夢を、愉しい時間をありがとう、ME04型マトリョミン。
До свидания!