茂野雅道

映画音楽を作っています。主な作品は、河瀬直美監督「萌の朱雀」「殯の森」、蜷川幸雄監督「蛇にピアス」、松永大司監督「トイレのピエタ」等。ポエトリーリーディングユニットPoetic Mica Dropsのメンバーとしても創作活動を続けています。

茂野雅道

映画音楽を作っています。主な作品は、河瀬直美監督「萌の朱雀」「殯の森」、蜷川幸雄監督「蛇にピアス」、松永大司監督「トイレのピエタ」等。ポエトリーリーディングユニットPoetic Mica Dropsのメンバーとしても創作活動を続けています。

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映画における音楽とは・・・

映画音楽を作っています。でも、良い音楽作品を作ろうとは考えないようにしています。常に良い映画を作ろうと意識しています。 映画音楽を作ることは、音や旋律を使って映画を演出すること、つまり、音楽という役割で映画そのものを作ることだと考えています。 セリフ、状況音、効果音、そして音楽。それら音要素が重なり合って、混じり合って、映画の音はでき上がっています。 私が関わってきた映画とその音楽の制作過程を振り返りながら、改めて考えてみようと思います。 映画における音楽とは・・・

    • Poetic Mica Drops/詩的で演劇的で映画的な創作活動

      ポエトリー・リーディング・ユニット長い間映画音楽を作ってきた私ですが、この経験を生かして何か新しいことをやってみたいという気持ちが数年前から湧いてきていました。そんなとき、私が音楽を担当した演劇作品で一つの出会いがありました。戸田彬弘氏演出「THE VOICE」に”妄想女”役で出演していた俳優熊谷弥香さんです。彼女の芝居は、言葉では説明できないほど異質で、ものすごいインパクトでした。 その後、楽屋での雑談から、何か一緒にやろう!という話で盛り上がり、ある日彼女から、詩人とし

      • 河瀬直美監督「殯の森」を振り返る/森の中でのピアノ録音

        11歳の少女が奏でる殯の音 河瀬直美監督「殯の森」を振り返ってみようと思います。 話題の多い作品ですが、今回は、森の中でのピアノ録音について。 若いときに妻を亡くしグループホームで暮らす認知症の老人しげき、子を水の事故で亡くし喪失感を抱えながら働く介護福祉士真千子、二人の心の交錯と死んだ者への悼みを描きながら物語は進んでいきます。 主演:うだしげき、尾野真千子。2007年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞。同年劇場公開されました。 2006年夏、劇伴音楽の録音が行われま

        • 松永大司監督「トイレのピエタ」を振り返る2/主題歌との幸せな関係

          野田洋次郎氏とのコラボ 「トイレのピエタ」は、RADWIMPS野田洋次郎氏にとって映画初主演作。余命3ヶ月宣告をきっかけに「生きる」ことを強く意識するようになる美大卒の宏を演じています。ミュージシャン野田氏にとって、撮影期間はいろいろと大変な日々だったのではないかと想像できます。しかし野田氏はその間も少しずつ主題歌作りを進め、撮影終了後すぐに完成させた曲がエンディングテーマとなる「ピクニック」です。 撮影終了から3日後の打上げの席、野田氏がギター弾き語りで歌った「ピクニック

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        映画における音楽とは・・・

          松永大司監督「トイレのピエタ」を振り返る1/衝動的創作

          杉咲花の衝撃 2015年公開、松永大司監督「トイレのピエタ」を振り返ってみます。 松永大司氏とは、彼が蜷川幸雄監督「蛇にピアス」のメイキングを担当していたことがきっかけで出会いました。当時(2007年) 彼はドキュメンタリー映画「ピュ~ぴる」(2011年公開) を自主制作で8年以上もかけて撮り続けていました。その音楽を私が担当することになり、それ以降付き合いを深め、2014年に音楽を依頼されたのが松永監督長編劇映画デビュー作「トイレのピエタ」です。 余命3ヶ月を宣告されたこ

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          蜷川幸雄監督「蛇にピアス」を振り返る。「曲調」

          甘い音楽が好きだった監督 蜷川幸雄監督「蛇にピアス」を振り返ってみようと思います。 蜷川幸雄氏は誰もが知る演劇界の巨匠演出家でしたが、劇映画の監督作品は全部で5本。この「蛇にピアス」が遺作となりました。出演、吉高由里子、高良健吾、井浦新、他。2008年に劇場公開されました。 映画製作と同時期、演出家としてアメリカでシェイクスピア公演を進めていた蜷川監督はとにかく多忙で、日々日本とアメリカを往復する状態。音楽を一緒に聴きながら検討する時間の余裕はなく、私が作った音楽デモを仮

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          河瀬直美監督「萌の朱雀」を振り返る。音楽の役割2

          「劇中曲」と「劇伴音楽」 「萌の朱雀」にはもう一つの重要な役割をもつ音楽「劇伴音楽」が存在します。 映画タイトル部分、時代が移り変わりゆくシーン、村の人々の日常の点描シーン、ここには共通のモチーフから作られた音楽が入っています。これがこの作品における劇伴音楽です。 実は、この曲の最初のデモをカセットテープに録音して撮影準備中の河瀬監督へ送ったことが、私がこの映画の音楽を担当するきっかけになりました。奈良・西吉野村の風景やこの物語のイメージに合っていると感じてもらえたのだと思

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          河瀬直美監督「萌の朱雀」を振り返る。音楽の役割1

          「劇中曲」と「劇伴音楽」 河瀬直美監督「萌の朱雀」を振り返ってみようと思います。 監督にとっての長編劇映画デビュー作、カンヌ国際映画祭カメラドール受賞、1997年に公開されました。 この作品についてはいろいろな想いがあります。今回は映画における音楽の役割という観点から書いてみようと思います。 映画の中に入っている音楽には、劇伴音楽、劇中曲、挿入曲、テーマ曲など役割違いで様々種類があります。「萌の朱雀」では、劇中曲と劇伴音楽が重要な役割をしています。 物語の中、國村隼氏演じる

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          工藤将亮監督「遠いところ」

          音楽家から監督への失礼な発言 最新作についてお知らせさせてください。 工藤将亮監督「遠いところ」が7月1日から開催されるチェコのカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭メインコンペ(Crystal Globe Competition)にノミネートされています。歴史と伝統のあるヨーロッパの映画祭でのワールドプレミアム上映、審査員、観客の方々の評価が楽しみです。受賞も期待できます。 沖縄を舞台に、生きづらさを抱えながらもがく若者たちの叫びを描いた作品で、監督自身が時間をかけ現地を取材し脚本

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