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スラム街にあるウェルビーイングとは1
12月に約4日間、ケニアの首都ナイロビを訪れてキベラスラムの視察をしました。決して裕福とは言えない生活の中で、どんな営みを育むのか。分け与える心、助け合う生活、お話を聞いてきました。
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ケニアの首都 ナイロビのキベラ地区
私が訪れたケニアの首都ナイロビは、アフリカの中でも有数の都市で、赤道に近く標高は約1600mに位置しています。雨季の12月は比較的暖かく、晴れれば日差しは強いものの、27度前後の気候でした。
この日は比較的湿度も低く、日陰に入れば風も通り、日本の夏よりは過ごしやすい気候です。
昼間に日が照り気温が高くなると、その後には決まって、ザッと雨が降るとのこと。滞在中は雨に降られることはなかったものの、日差しが強い日の翌朝は、道路が濡れて水溜まりができている事もありました。
日常言語は英語とスワヒリ語です。英語は一定の教育を受けた人が話せる言葉で、大体は通じるそうですが、現地の方とのお話はスワヒリ語が良いとのことでした。民族によって言語が変わるものの、スワヒリ語であれば大体の方と会話は通じるそうです。
こんにちは=Jambo(ジャンボ):朝・昼・夜問わず使えます。
ありがとう=Asante(アサンテ)
正しい、大丈夫、いいよ=Sawasawa(サワサワ)
スラム街のにおい
訪れる前は、さまざまな強い匂いがする場所かと想像していました。例えば、日本の街で匂いが強いといえば獣の匂いや、食べ物が腐った匂い、あるいは体臭の匂いが強いイメージがあります。けれども実際は、そのような匂いはあまり感じることがなく、有機物を焦がした匂いが印象的でした。
また、家庭ではお料理の際に小さな七輪を利用するため、炭を燃やす匂いも混じっています。
スラム街の中では、街に住む人に向けた小さなお店が点在し、チャパティと呼ばれる料理や、揚げ物も店頭で作って販売されており、家庭での料理だけではなく、お店で発生する燃料が燃える匂いも入り混じっていました。
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2〜5歳の子どもたちが走り回ったり草サッカーをして遊ぶ様子も見かけました。汚水等のインフラが整っておらず、その水辺で遊ぶ子もいます。雨季になると急な豪雨で床上浸水が起こることが当たり前、そこで病気になってしまう事も少なくないそうです。
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スラム街に野犬も何匹も見かけましたが、襲いかかる様子もなく、じっと寝ています。鶏も放し飼いされており、ひよこが親鳥についてまわるのどかな光景も見られました。鶏は放し飼いですがそれぞれ飼い主がいて、鶏卵は貴重ですが、互いに互いの所有を侵さないという暗黙の約束があるそうです。
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小さなコミュニティでの自給自足な生活
このように小さな商店が点在しており、昔の下町商店街のように食べるもの、着るもの、生活するものは近くで揃うコミュニティが生まれていました。家が豪雨で流されてしまった後、家を復元できない場合には更地にしてしまい、畑を耕しその日に食べるものを育てるなど、自給自足な生活を送っているそうです。
電化製品も修理して再利用しており、太陽光パネルも廃棄をうまく修理して、設置されている様子も目に入りました。実に、ケニアは約90%再生可能エネルギーを利用する再エネ大国です。
ケニアは再生可能エネルギー(再エネ)大国だ。ケニア統計局が2022年4月に発表した報告書によると、2021年のケニアの総発電量のうち、実に89.6%が再エネ由来だった(図参照)。主な再エネの構成比は、地熱が40.6%、水力29.6%、風力16.0%。再エネ以外での発電(火力)は10.2%となっている。日本の再エネの割合は18.1%(2021年)であることから、既に約9割を再エネで賄っているケニアは「再エネ先進国」と言える。
小さなコミュニティでは、分け与える文化があるようです。続きは、家庭訪問に行って考えたウェルビーイングについて綴ります。
ご覧いただき、ありがとうございました。
文責 豊川真美
参考文献を,ご紹介しますね。