【キャリアのもやもや解消!】3つのお悩み別ワーク ワークシート公開
こんにちわ! まさみ です。
エンジニアとして働きつつ、キャリアカウンセラーをしており、特に女性エンジニアのキャリア相談を多く担当しています。
今回は 2023年5月 に 技術書典 で販売した「Code Polaris Tech Book vol.1」で取り上げている、以下3つのお悩みを解消するためのおすすめワークと、ワークシートをご案内します。
※ 留意点 ※
本note は書籍をお買い求めではない方にも読んでいただけるように、各お悩みに対して、
・お悩みの解説と対処方法 概要
・ワークの解説
を掲載しています。書籍と一部内容が重複するため、ワークシートのダウンロードのみご希望の方は、目次にある「お悩みX のワークシートダウンロード」より入手ください。
【お悩み1】
将来のキャリアに漠然とした不安があるけど、どうしたらいいのか分からない
このお悩みは新卒〜30代前半の方に多い印象です。ただお話を伺っていると、仕事だけでなくプライベートにもお困りごとを抱えている場合が多くあります。そのため、ご自身を取り巻く環境や状況を一から整理させていただくことも少なくありません。
ここでは ご自身の状況を仕事・プライベート問わず広く洗い出し、自己理解を深めるワークをご紹介します。
ワーク1: 4Lに沿って、自分の日常に点数をつける
ワーク1 は 心理学者 ハンセン が唱えた「4L理論」をもとにしています。「4L理論」でネットを調べると色々出てきますが、簡単にいうと
の4つの「L」をバランスよく組み合わせると幸福度が高い人生になる、という理論です。
ワーク1 では、それぞれの L の今の状況を 10 点満点で表してください。
直感で大丈夫です。
点数の意味ですが、
となります。あくまでこれは「現時点」での点数なので、低いから悪いというわけではありません。
既存の4つの L に当てはまらない項目がある場合は、項目を追加するのもおすすめです。(ちなみに私は「健康」を追加しています)。
頭の中で考えているだけだと自分が何に悩んでいるかが案外見えづらいものです。まずはこちらのワークで改善が必要な対象を可視化しましょう。
ワーク 2:10点満点の状況との「差分」を書き出してみる
ワーク 1 が終わったら、ワーク 2 で点数が低い項目について、内容を振り返ってみましょう。ご自身の「今」を明確にし、「ありたい姿」がどういったものかを可視化することがこのワークのポイントです。可視化するポイントは以下3点です。
一人で書くのが難しい場合は、話しやすいお知り合いに壁打ちをしてもらうのも有効です。
お悩み1 の ワークシートダウンロード
こちらをクリックしてダウンロードください。
【お悩み2】
転職やキャリアチェンジがしたいけど、やりたいことが分からない
こちらのお悩みは、現在のお仕事や環境が合っていなかったり、やり尽くしたという感覚をお持ちの方からいただくことが多いです。
このような場合、自己理解を深めると次の道筋が見えてくることがあります。まずは、ご自身の「価値観」「興味」「キャリアの指向性」を整理してみましょう。
具体的なやり方ですが、過去の経験や出来事の棚卸しが一番よくとられる手法です。なぜなら、人は自分が経験した過去から影響を受け、考え方や価値観が作られるためです。過去には「自分らしさ」が詰まっているのです。
以降で紹介する2 つのワークは、全て時系列で内容を書き出していただきます。時系列の区切り方は「10代、20代、30代」など年代ごとでも良いですし、イベントごと(例:転職)にして「学生時代、1 社目(24~26歳)、2 社目(27~30歳)」のようにしても大丈夫です。ご自身の振り返やすい期間で区切ってください。
また、2つのワークはそれぞれ独立した内容ですので、ご自身がやりやすい方を実施ください。
ワーク 1:ライフラインチャート
ワークシートは、横軸が時間、縦軸が満足度(0 が中央値、満足度によって-100〜+100 の幅を持つ)の作りをしています。次の順序でワークシートを完成させてください。
ラインが描けたら、次にあげる 4点 に着目して、「なぜそのように評価したのか」を振りかえってください。
満足度がプラスの頂点に近い部分
満足度がマイナスな部分
満足度がマイナスからプラスに変化している部分
満足度がプラスからマイナスに変化している部分
それぞれ以下の内容を知ることができます。
ご自身の関心が高いことや得意なこと、好きな環境
ご自身の関心が低いことや不得意なこと、嫌いな環境
強い関心を示す対象や価値観、困難を乗り越えた手段
今後は避けたい(もしくは対策が必要な)事象・対象
ワーク2: ライフステージ・チェック
あらかじめ区切った時系列に沿って、次の項目を書き出してください。体験を起点に思ったことや考えたことを書き出すことで、ご自身の内面や価値観を知ることができます。
印象に残っている主な出来事(良かったことや悪かったこと、なぜそのように感じ たのかなど)
興味があったこと(興味を持った理由や興味を無くした理由など)
進路・仕事関連(学生時代は興味をもった職業やその進路を選択した理由、社会人 となった後は就職先を選んだ理由や好きだった仕事や嫌いだった仕事・その理由など)
人間関係(どのような人・集団とどのような関わりを持ってきたか、ロールモデルがいたらどういうところになぜ惹かれたのか)
お悩み2 のワークシートダウンロード
ワーク1はこちらをクリックしてダウンロードください。
ワーク2はこちらをクリックしてダウンロードください。
【お悩み3】
職場にロールモデルがおらず、ずっと働けるか不安だ
女性エンジニアの皆さんからご相談において「職場に女性の先輩がいない」ことを将来への不安要素としてあげられる場面は非常に多いです。これは主に女性特有のライフイベントと仕事の両立に対する不安があるからです。
不安は適切に整理し向き合うことで、解消できる場合があります。
ここでは、「今」もしくは「未来」に起こる キャリアの不安要素を整理し、ご自身の気持ちと向き合いやすくなるワークをご紹介します。
ワーク1:悩みの対象を整理する
ライフイベントの悩みは、人によって様々です。一見同じ内容でも、置かれている状況、理想の状態、受け取り手の感性などによって向き合うことやゴールが変わってきます。
まずは悩みに対して、次の質問にお答えください。できるだけ詳細に回答を書きだすことで、悩みが整理されます。
特に「受けられる支援」は重要です。内容によっては悩みを解決しやすくなります。
悩みの詳細
対象の悩み・状況はどのような内容で、どのくらいの期間続きますか
対象の悩み・状況はどのようにして生じましたか
対象の悩み・状況をどう受け止めて、どう感じていますか(前向きか、後ろ向きかも含む)
対象の悩み・状況が日常や人生に与える影響は何が考えられますか
自身と悩みの関係
対象の悩み・状況は自らコントロールできそうですか、できない時どのような部分に困難を感じていますか
過去に似たような経験はありますか、それはどのような経験ですか
悩みに対処している最中に何かが起こった時、自分自身を勇気づけたり立ち直らせることはできますか
対象の悩み・状況に対して目的や意義を感じていますか、またそれはどのような内容ですか
対象の悩み・状況を乗り越えた(もしくは回避した)先にどうなっていたいですか
受けられる支援
支援してくれる家族・友人・情報源はありますか(心理的支援)
乗り切るための十分な経済的支援や物質的資源はありますか(物質的支援)
乗り切るための支援をしている公的機関やサービスはありますか(公的な支援)
各支援はどのような内容をどの程度受けられそうですか、また時間の変化などと共に支援の程度は増減しますか
ワーク2:悩みへの対処法(戦略)を考える
ワーク1で悩みの形や、ご自身の思い、解決に役立つリソースが見えてきたと思います。最後に、改めてどのように行動していくかなど、次のポイントを押さえて対処法を考えていきましょう。
悩みを解決するためにどのような行動をどのくらいの期間実行しますか
悩みの意味を変え、うまく捉えるような行動・思考はできますか。またできるとしたらどのような内容ですか
行動している際に発生するストレスに対処するために、どのような行動を実行しますか
実行する内容は特定のリソースに依存せず、さまざまな範囲のリソースを利用していますか
何もしない方が良い時はありますか、またそれはどのような時ですか
柔軟に戦略・計画を変更することはできますか
お悩み3 のワークシートダウンロード
ワークシートはありません。
紙とペンをお手元にご用意の上、ワークを実施ください。
おわりに
キャリアの悩みは、トピックは似ていても人それぞれであり、同じものはありません。コントロールできないことが起きた時にどの道を選ぶかは自分次第ですし、そういう時こそ自分の気持ちや考えを整理するのがとても大切です。整理の仕方を知っていれば、どんな時でも必ず理想に近い未来を歩んでいけると私は考えています。
自分だけで考えることが難しい場合は、信頼できる方に相談したり、専門のサービスの利用をお勧めします。私自身 個別でカウンセリングも受け付けておりますので、ご興味のある方はお気軽に Twitter の DM よりご連絡ください。カウンセリングまでの流れなどは下記をご覧ください。
最後に、今回 技術書展14 で出版した合同誌「Code Polaris Tech Book vol.1」は、女性エンジニアが所属できる無料コミュニティ CodePolaris の有志メンバーで作成しています。参加の声かけからメンバーのサポートを広く行ってくださった旗振り役の皆様に、心から御礼申し上げます。大変貴重な機会をありがとうございました。
参考文献
新版 キャリアの心理学 渡辺三枝子著
キャリアコンサルタント養成講座テキスト2 LEC 東京リーガルマインド出版
IT 人材白書 2020 独立行政法人 情報処理推進機構 発行