インドで話題の本「Ikigai(生き甲斐)」とは?
「Ikigai」 という本をご存知でしょうか?
この2年インドに住んでいて、友人や街中で出会う人々に、よく聞かれたことがあります。
「日本では「IKIGAI」というコンセプトが広く共有されているのか?」
話を聞いてみると、最近「Ikigai」という本がインドで人気になっているそう。私が住んでいるバンガロールでも、北インドに訪問したときも、友人になった同世代の若者や、チャイ売りのおじさんにも聞かれました。
私が日本人だと知ると、「そういえば、Ikigaiいう本を読んだのだけど・・」と、この本の話題になります。老若男女問わずポピュラーな本のようです。
今回は、この「Ikigai」という本について、シェアしたいと思います。
Ikigai-インドでベストセラー、ローカル言語に翻訳も
インドで出会う人々から、何度もこの本についての話を聞いたので、気になってインドのアマゾンで調べてみました。
なんと驚くことに、「社会&社会科学」のカテゴリーでベストセラー1位になっている!レビューを見ても★4.5と、高評価のようです。
インド人の著者や国際的にも有名な本を抜いて、ベストセラーになっていることに驚きました。
そしてヒンディー語や、インドのローカル言語であるマラティー語、テルグ語、マラヤラム語、の翻訳版も出版されています。
一体どんな本なのでしょうか?
どんな本なのか?
どんな本なのか、調べてみました。
「Ikigai: The Japanese secret to a long and happy life」
著者:Hector Garcia, Francesc Miralles
出版年:2016年
「Ikigai:The Japanese secret to a long and happy life」は、スペイン出身で日本に10年以上在住するエンジニア、作家であるHector Garcia、同じくスペイン出身のFrancesc Mirallesによる共著。
著者のふたりは、「長寿の里」と言われる沖縄県・大宜味村でフィールドワークを行い、100人以上の村人に聞いた「幸せに長生きするための秘訣」を基に、本書を執筆しました。
2016年に発行された本書。2017年にBBCや世界経済フォーラム(World Economic Forum)で”Ikigai”という考え方、概念が取り上げられたのをきっかけに、世界中で広く読まれるようになります。
「Ikigai」では、著者が大宜見村の長寿たちから聞いた「幸せに長生きするための秘訣」を基に、「Ikigai」という考え方を、構成する要素とともに、以下のように説明しています。
画像引用元:https://www.reddit.com/r/xENTJ/comments/lehgbr/ikigai_a_reason_for_being/
他にも、健康に歳を重ねる秘訣として「腹八分目」「コミュニティでの助け合い」などを挙げています。
なぜ「Ikigai」という言葉がそのまま使われているのでしょうか?
著者のHector Garciaは、あるインタビューで以下のように話しています。
なぜインドで人気なのか?
なぜ「Ikigai」がインドで人気になったのか、広く読まれているのでしょうか?
インドの友人や知り合いと話していて、「Ikigai」の本が話題に挙がったときに、Ikigaiがインドでポピュラーになった理由を聞いてみました。
多くの人々から返ってきた答えは、以下のような話でした。
「インドでは、多くの親は子どもにエンジニアや医者など、安定・高給な仕事に就いてほしいと考え、子どもたちは学問や職業など、人生における重要な選択を親の方針にしたがってきた。
多くの人々は、何を学びたいか、どんな仕事をしたいか、仕事や人生を通じて何を成し遂げたいか、自分で考えることもなく、学業成績や昇進で、人より抜きん出る、人並みになることばかりを考えてきた。
しかし、そうした人生を過ごす中で、自分は何のために生きているのか、何を成し遂げ、コミュニティや家族に貢献したいのか、改めて考え直す人が増えている。
そんな中で、「Ikigai」という考え方に、共感し、価値を見出す人が増えているのだと思う」
親や社会の期待に応えるため、大多数の人の選択に流されて、人生の目的を深く考えずに生きてきた。しかし、改めて自分の人生の目的を考え直したい、という人が増えているのだと思います。
こうした考え方の変化は、インドだけでなく世界中で見られていることだと思います。
ただ、インドの友人たちと話していると、特に若い人を中心に、
「親が決めた選択ではなく、自分で人生を歩みたい」「人生の目的を見つけたい」と、自分の人生を見つめなおす人が最近増えているように感じます。
インドでは、家族との繋がり、家族や年長者の意思・判断を尊重する文化が強く、家族や社会の期待に応えるために、競争社会で勝ち上がることに必死になり、
人生の目的や、どうありたいかを考える機会を持てることがない人が、比較的多いように思います。(それが良いとか悪いとか言っているのではありません)
しかし最近は、若い人を中心に、「自分の人生、自分が好きなことを自由にやりたい」「社会にとって良いこと、意義のあることをしたい」と、キャリアや人生の意思決定における、考え方のパラダイムシフトが起きているのを感じます。
そんな中で、「Ikigai」という考え方が、今日のインドの人々に広く受入れられているのかもしれません。
日本語にも翻訳されていた
「Ikigai」の日本語訳も出版されているようです。
「外国人」という言葉をタイトルに使っているのが、いかにも日本的だと思いました。
この本の内容が気になった方は、ぜひ読んでみてください。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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