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『ファッショナブルな作品、中森明菜/CRUISE』

CRUISE・・・巡航、航海。
 
1989年7月25日発売された中森明菜さん14枚目のアルバムがこの『CRUISE』だ。
売上枚数は32.7万枚を記録した。

昭和から平成へ年号が変わり、時代の大きな転換点となった年であった。
三宅裕司のいかすバンド天国』(通称「イカ天」)がスタート。
Winkがヒットを連発し、年間トップ10に3作品ランクインさせた。
映画は、インディ・ジョーンズ/最後の聖戦レインマン魔女の宅急便が大ヒットした。
 
そうした時代の“変化”をタイトルに込めたのだろうか。
ワーナーミュージック在籍時にリリースしたアルバムの中で一番奥深さを感じる。
あと、あたたかく包み込むような心地よく、いつまでもココロに響くメロディで構成されている。
 
この時、面白い企画を実施していた。
『中森明菜ファッション・ブック』を発売している。
ニューヨーク、パリ、ロンドン、東京と1月~5月と時間をかけ、書籍とレコーディングを行っている。
そのことからもこの作品への熱量が感じとれる。
ファッション・ブックを眺めながらアルバムを聴くとまた違う景色を楽しめるのだ。

アルバム『CRUISE』より

作品は、ミディアムやスローテンポの楽曲で構成された内容となっている。シングル「LIAR」同様に"ロスト・ラブ"を歌ったバラード中心の内容と情報誌では説明している。
それまでのシングル候補の曲を集めた12枚目のアルバム『Stock』(1988年3月3日)のバラード編といった感じであると、当時のファンクラブ「MILKY HOUSE」の会報にて説明されていた。

アルバム『Stock』

これまでの明菜さんの作品は明菜さんが主人公で物語が展開する作品が主にだと思うが、今作はどこか俯瞰しているというか、ストーリーテラーに徹した感じもする。デビューから様々な女性を歌で演じてきた明菜さんのひとつの到達点ともいえるかもしれない。 
この作品から、光と風を肌で感じたり、まるで時間の流れが止まったかのような感覚を感じたり。
全編を通し、やわらかな旋律がながれている。
それが、中森明菜さん14枚目のアルバムがこの『CRUISE』なのだ。

リリース時期、悲しい出来事があり、この作品は違う捉え方(週刊誌報道)があり、作品本来の意味が伝わってない気がしてならない。
僕は言いたい!
中森明菜さん14枚目のアルバムがこの『CRUISE』は良質なシティ・ポップ作品であると!
再評価されるべき作品! 

カフェミュージックとしても聴ける。
夏のしおかぜを感じながらドライブにもおすすめ。

アルバム『CRUISE』

<おすすめナンバー>
●URAGIRI
作詞は、「ジプシー・クイーン」「Fin」などを手掛けた松本一起
作曲は、機動戦士ガンダム劇場版主題歌「哀・戦士」、「めぐりあい」などを手掛けた井上大輔
編曲は、「AL-MAUJ」や松任谷由実のツアーで欠かせない巨匠、武部聡志
アルバム『CRUISE』の船出はこのナンバーから。
衝動?予感?情景?情熱?どんな世界が待っているのか。
 
●赤い不思議
作詞、作曲は第第4回世界歌謡祭にて、自身の作詞作曲による「あなた」でグランプリを受賞した小坂明子。
編曲は、明菜サウンドに欠かせない椎名和夫。
楽曲を聴くと映像が思い浮かべることができるのは、小坂さんならでは。
少女のような無垢なこころがいじらしい。
 
●さよならじゃ終わらない
作詞は「月夜のヴィーナス」など手掛けた松井五郎。
作曲は「サザン・ウインド」など手掛けた玉置浩二。
編曲は武部聡志。
このアルバムのキー曲だと僕は思っている。
まさにやわらかな旋律で構成され、おだやかな風を感じる女性がいるように思えるから。
 
●LIAR
作詞:白峰美津子、作曲:和泉一弥、編曲:西平彰。
1989年4月25日発売23枚目のシングルのアルバムバージョン。
全体のトーンに合わせてバックミュージックはやや抑えめ。
ラストに向かう間奏で鳴るバイオリンの音色が気品漂う。
今日を生きる私(明菜)が居る。
アルバムバージョンはそんな香りがする。

シングル『LIAR』

<最後に>
アルバム『CRUISE』のナンバーを披露しているライブがある。
『夢 '91 Akina Nakamori Special Live』この作品で明菜の『CRUISE』を心に刻んでみては。

#中森明菜
#音楽
#80年代アイドル

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