秋分

今日9月23日は、秋分。昼と夜の時間が同じになる。

そして、太陽が真東から昇り、真西に沈む。このことを実感できる場所が京都宇治にある。十円玉に描かれていることで有名な平等院鳳凰堂。この建物は、真東に向かって建てられているので、秋分(および春分)には、建物の真後ろに太陽が沈んでいく。

この様子を初めて見たとき、なぜ、鳳凰堂の屋根の両端に金色の一対の鳳凰が真ん中を向いて添えられているかが理解できた。阿弥陀様のいる極楽浄土のある真西に沈んでいく太陽の「脇侍」なのだ。その意味で、鳳凰堂のデザインは、この真西に沈んでいく太陽があって初めて完成する。

2018年の秋分の日に見に行った時は、秋らしい鱗雲に夕焼けが映えて、神々しい風景になっていた。その日、私がインスタにアップした写真がこちら。

秋分を挟んだ七日間は、お彼岸。「あの世」である極楽浄土のある真西へ太陽が沈むことで、浄土までの道を太陽が照らしてくれるから、この世とあの世が繋がる、と昔の人は考えたのではないかと思う。

その秋の彼岸が近づくと、毎年タイミングよく咲き出す花がある。そう、彼岸花。どんなに異常気象の年でも、必ずこの時期にちゃんと咲く。京都では、あちこちで見ることができるが、圧巻なのは、東本願寺の北側の壁沿い。一列に綺麗に咲く。去年、この時期に私がインスタにアップした写真がこちら。

そして、彼岸といえば、おはぎ。東京で生まれ育った自分は、おはぎが嫌いで、彼岸=おはぎ、という習慣とは無縁だった。京都に住むようになってから、おはぎの美味しさを学んだ。多分、東京で食べるおはぎがまずかっただけなのだろう。

京都でおはぎが有名な和菓子屋は、今西軒。朝から行列ができて、早く行かないとさっさと売れ切れてしまう。

「おはぎ」という名称は、秋の彼岸の時期に咲く萩の花にちなんでいるらしいが、実際のところ、秋分になる頃には、萩の花の見頃は過ぎる。

イチョウ並木のある通りでは、銀杏がぼとぼと落ち始めて、臭くなる。

果物では、イチジクが出回り始める一方、梨がそろそろ姿を消し始める。

秋のお魚の旬は続く。先日スーパーで買ったカツオのタタキがとても美味しかった。秋のカツオは「戻りカツオ」と呼ばれ、夏の間に餌をたっぷり食べて肥え太っているので、脂がのって美味しい。

稲刈りは続く。田んぼに黄金色の稲穂が頭を垂れて実っている様子を、東京育ちの私は京都に来るまで見たことがなくて、初めて間近に見た時は、感動した(笑)。ちなみに、田んぼのあぜ道に彼岸花がよく咲いている。彼岸花の根に毒があるので、モグラが田んぼを荒らすのを防ぐ意味があるのだとか。稲穂と彼岸花の共演は、秋分らしい風景と言える。



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