「企業のTwitterプレゼントキャンペーンはズルい」のか?
プレゼントキャンペーンによって得たフォロワー獲得数はズルい、と言われることがある。それが担当者の実力なのか?と疑問に思う企業Twitter担当者は多い。
なぜかと言うと、フォロワーが一気に増える原因が、担当者本人の創意工夫ではない部分が大きいからだ。
だからそのプレゼントキャンペーンで増えたフォロワー数を自慢されても…というのが「ズルい」と言ってしまう本音なのだろう。
※なおこれは前提として『「ゆるい」ツイートをしている企業アカウント』について、である。
もちろんキャンペーンがメインのアカウントなのであれば、それはアカウント方針として「アリ」なのだ。
企業のTwitter担当者は時折、自社をより広く知ってもらうために「ネタツイ」をすることがある。
ネタツイとは、たとえば日々のトレンドにちなんだ言葉遊びや、頭をひねる必要がある川柳や大喜利などのネタをツイートすることがある。
※参照記事:企業アカウントの「ネタツイって意味あるの?」への回答
それらと比較すると、プレゼントキャンペーンはそれら創意工夫や機転の良さ云々とは無関係に、景品に引き寄せられただけのフォロワーが一気に増える。そのフォロワー獲得目的のためにプレゼントを出すという事も多い。
企業アカウントはフォロワー数を気にするものだ。何かと基準にされやすい。フォロワー数を会社の内外で持ち出されるし、単純なわかりやすさがあるからだ。
社外にとっての「箔」としても、社内の大義面分としても。
なにより企業にとって、また担当者にとってフォロワーが多いという事に越したことはない。
なぜなら、フォロワー数が多ければ多いほど自社ツイートが拡散されやすくなる。そのフォロワー数という分母そのものが大きいほど、今まで届きにくかった層のユーザーに届きやすくなる。
全く同じ話題を取り上げても、フォロワー数が多いほど人の目に触れやすいし、拡散されればさらに増大する。
企業としても信頼度や認知度が高まりやすくなる。
フォロワー数を増やせば、潜在的なユーザーに対するアプローチが出来る。
そうすれば新たなユーザー発掘や認知度もその分高まるというわけだ。
ただ時折勘違いが起こるのだが、フォロワー数は企業の「強さ」ではない。同様に、「Twitterの担当者の強さ」でもない。企業規模に比例することはあるが、単純に規模だけでもなければ、「有名かどうか」でもない。当然、エラいとかそういった事でもない。
つまりフォロワー数=「拡声器の大きさ」でしかないことも念頭に入れておきたい。
だからこそ、プレゼントキャンペーンは担当者にとっても出来るなら出来るだけ打ち出したい企画だとも言える。
「ミスターフィギュア」という自社キャラクターのフィギュアが宅配便小包で移動し、温泉旅館を体験し紹介するという企画の末に生まれたコラボキャンペーン。温泉にちなんでプレゼント品は手ぬぐい。
それに対し、企業アカウントのフォロワー数増加がツイートによる魅力であったり交流や面白さ等の理由なのであれば、担当者ひとりの実力である部分が大きいという事になる。そうなると、プレゼントキャンペーンが純粋に担当者個人の力量…つまり文章能力であるとか、機知に富んだツイートなのか、と問われると…。という部分が出てくる。だからズルい、という話にもなってくるのである。
しかしそのアカウントは企業のもの。
だからその企業が持っている製品や販促グッズ、そして企業によって了承されているキャンペーンであるなら…それは例えばゲームでいえばあらかじめ用意されているアイテム…ドラクエでいう「装備品」と言える。
自分の持っている「装備品」なのだから、必要であれば大いに使えばいい。効果が期待できるならなおさらだ。
もちろん装備品を使うのも、使い所を考えて保管するのも、使わないのも、そのアカウントの方針として自社で決めていい事だ。それが戦略であるのだから。
さて、その『「装備品」を つかう』場合。
他企業とのコラボキャンペーン(共同)プレゼント企画を開始するとなれば、日頃の他社との円満な交流や交渉能力、キャンペーンとして組んだり、ただただ一緒にプレゼントをするだけでなく、成立させるための発想…つまり理由付けがキャンペーンを実施する意義としても必要になってくる。
その発想をしていく事も、その部分でアカウント担当者の実力と言えるのではないだろうか。
実際のところ、プレゼントキャンペーンは
・企画・交渉(社内あるいは社外)
・実行
・抽選
・発送
までを行うという地味な労力を必要とする。
必要であればキャンペーン画像の作成を担当者自身または社内作成等も含まれる。
また、たいていの会社ではTwitter担当者が自ら抽選や当選連絡、梱包を行う事が多い。(規模にもよるが、社内調整問題や当選者の方の個人情報を守るためでもある)
それら裏側の作業も立派なTwitter関連業務の内容と言えるだろうし、企画やキャンペーンを実施し最後までキッチリやり切るのは、なかなか根気もいる。
かと言って、サービス関連業などはプレゼントする「モノ」自体がない場合も多い。
営業先や展示会で配布する販促品でもいいのだが、それすらない場合は…もし可能なら会社で製作することをオススメする。
地味でも安価でもいい。自社ロゴと社名をプリントしたごく簡易なステッカーでもいい。単純に何かを持っていれば前述のように「装備品」が出来るわけで、認知率向上のためにキャンペーンも打ち出しやすい。
当選者の方が写真をあげてくれれば実際に当たった人がいる事実や公正性を示せるし、ひとりでも多くの認知率が上がったということになる。
そしてそれを見た他のユーザーが社名やロゴを見て自社を知るきっかけにもなるかも知れない。
このたったひとりでも、ちゃんと認知してもらえる事は重要だ。
また運営方法、企業方針にもよるが、例えば企業間での交流が増えたとして、たいていの企業担当者は会社イメージを左右されないために担当者を明らかにしない場合が多く、写真に写らない傾向にある。(これは各企業の方針や担当者によるのだが)その際に名刺交換だけだと文章だけで「○○社さんに会った」だけになるが、販促品のひとつでもあればそのロゴ入り写真を自分の分身のように写真に出しやすくなる、または出してもらいやすくなる。
とても確率や拡散率としては低いかも知れないが、ゼロではないはずだ。
ゼロが1になる事実は、地道に続けるTwitter担当者にとって、また企業にとって重要でありがたい事だ。
こういった視覚での認知率を上げるにも、やっぱり「装備品」は無いよりは、あった方がいいからだ。
ヒゲがチャームポイントの自社キャラクター同士ということで企画。アカウントを開設して間もない頃だったため、単純に応募だけでなく参加型にすることで応募数やフォロワー数よりもアカウントに対するイメージ付けや愛着度に重点を置いたキャンペーン。
ただし。
自社アカウントの方針やテーマとしてプレゼントに重きを置いていないのであれば、「プレゼントキャンペーンばかり実施する」のはオススメしない。
そんな事ばかりしていたらフォロワーは飽きてしまい、自社が本当に発信して見てもらいたい投稿は見なくなってしまう。「モノをくれるだけの企業」という認識になってしまう恐れが大いにあり得る。
それは企業にとっては一番望ましくないはずだ。
ただですら人員とその時間を割いているのだ。ひと昔前の駅前のティッシュ配りで即座に広告部分だけ抜かれる、そんな状態になる事だけは避けなければならない。
せっかく労力をかけてキャンペーンを打ち出すなら、なるべく印象に残るものでありたい。ただフォロワー獲得目的のみであればそれはそれで…という所もあるが、自社がわざわざ直接運用するのだから、もう少し話のネタとしても工夫して、印象付けを負荷出来ればさらに良いだろう。
参加型や応募方法にもヒネりを加えてアピールを忘れない等の工夫、会社そのものやキャラクター、取扱い製品に ちなんだ題材などなど…。
そしてプレゼント品=「装備品」で多くの人の意識をこちらにまず向け、そして自社の魅力でガッチリ離さない、くらいのツイートをしていく事が必要なのだ。
キャンペーンが終わったらサヨナラ、あるいは懸賞としてフォロワーを集めただけで、実際ツイートを誰も見てくれない…フォロワー数だけが多いのに「いいね」や「リツイート」が殆どされないスカスカの状態…なんて事もあり得る。(※なお担当者が交代してしまって、という場合もある)
そしてキャンペーンで得た新規フォロワーが知りたい事や面白いと思わせる魅力を発信したりさらなる交流をしていかなければ、そこからあらゆる可能性を逃してしまう。何ら発展しないだろうし、アクティブユーザーからの反応を多くもらえないようであれば、フォロワー数に対して中身が伴っていないという事態になる。
フォロワー数に対して反応の比率(エンゲージメント率)が高いほど、ちゃんと稼働している企業のTwitterアカウントだと言えるのだ。
つまり結論として、プレゼントキャンペーンはキャンペーンそのものがズルい、というわけではない。どちらかというと企業が本当に必要としている、あるいは必要とすべきアクティブフォロワーを獲得出来るかどうかは、そのキャンペーン開始前や直後、あるいはそれ以降の担当者の力量によって定着してもらえるかが試されると言って良い。
その上で、交流をひたすら重ねユーザーを飽きさせず、企業の信頼や認知度を上げて行く。
結局は、プレゼントキャンペーンを打ち出す事が良いのか悪いのかどうこうよりも、日頃のそれらの地道な工夫や努力の数々の方が何より重要なのだ。
もしプレゼントキャンペーンでフォロワー増加を狙おうという企業Twitterアカウント担当者がいるなら、それを念頭に置いて実施することをオススメしたい。
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