【インタビュー】企業Twitter「アイラップ」担当者さんに聞くTwitter運用とは ※後編
ーーー前編ではTwitter担当になったきっかけやこれまでに投稿されたツイートに関してお話を伺いました。
※前編はこちらから
後編ではTwitterの利点や日々のツイート担当者ならではの感覚や交流面などの深い部分についてお聞きします。
取材日:2019年12月末
交流に関して
ーーー期間限定だったアカウントが継続することになって、フォロワー数も勢いよく伸びていますがそれに対して意識されますか?
「考えないようにしてます。意識してないというか。私本人がものぐさなので意識しすぎると続かないと思っているので。」
ーーー「アイラップ」アカウントで取り上げている話題は、一般企業が躊躇するような問題もかまわずツイートされているという印象も受けますが、判断基準はありますか?
「今までいろいろツイートしてきて、「トライアンドエラー」というやつでひたすら繰り返して来ましたから…加減したりして「この辺りならギリギリかな」というところを攻めています」
ーーー他社のアカウントとの違いを感じる事はありますか?
「他社によくある「広報」や「マーケティング」という意識はないですね。自分はやっぱり開発の立場ですし、実際会ってお話してるとそこが大きく違うなと。(マーケティング等の)専門用語はわからないです。」
ーーー結局専門用語を知っているからといって、実際にツイートの反応が上がってくるわけでも話題性を得られるわけではないですからね…。
「そうですね。それに自分は「本業は開発なので」という意識が強いので、その方たちとはスタンスが違う感じはします。」
ーーーそのスタンスを具体的に表すと?
「ともかくウチの製品を知ってもらえればいい、という考えです。いいモノだからいい、と言っているって事です。
それに開発担当だからという建て前でやっているからこそ難しい事を考えなくていいので、その分お気楽かなとも思います。」
ーーーご自身にとってTwitterを運用している意義であるとか、効果はどこだと感じますか?
「なによりも、一般の方が売り場でアイラップを見て ”「あっ」と思った瞬間” が自分にとっての「価値」であると思います。」
企業によるTwitter運営の利点
ーーーTwitterでしか出来なかった事、成し得なかった事も担当者は実感してたくさんあると思いますが、「これこそは!」というものは?
「消費者の欲しいという声が出て、それを販売店が入れる、って事は、年1~2回の棚割りですでに決まっている売り場へ新しく定番で入れるというのはかなり至難の技です。
さらにこれだけ皆さんが話題にして下さっていて、探してくれて、要望まで出してくれて。
そして売り場で見つけた瞬間の感動でさえもツイートされる、というのはなかなか通常ではあり得ない現象ですよね。これはもうTwitterしてこそのものでしょう?
それを成し遂げられた、という事 に尽きますね。
…それにホラ、これ。
※この取材日、筆者の実家(関西)で発見したアイラップの箱を持参。
40年前に発売された当初の「初代アイラップ」。
(今では大変貴重だということでこの時 寄贈させて頂きました)
私でさえ社内で「初めて発売された時のアイラップの箱は赤かった」という話でしか知らなかったのに、Twitterをして交流してきたからこそ、実物が今ここにある(笑)。まさに、コレですよね。」
ーーー本当に、まさにそうですね(笑) 私もアイラップ担当者さんと交流して製品を意識して見るようになりましたし、見つけた時「あー、アイラップさんだ」と気づく事もなかったでしょうから。
「きっとTwitterをやっていなかったら見つからなかったでしょうね。
それに、全国区で販売されていたものなので関西地域でもちゃんと売ってたぞ、っていう証拠にもなりました(笑)」
担当者ならではの心境
ーーーTwitter担当者の一番のモチベーションはどこにあると思いますか?
「フォロワーさんの『使ってる』ってツイートが唯一のやりがいです。アイラップのアカウントにとって、あれ以上の事ってないなと思います。フォロワーさんありがとう。」
ーーー製品のツイートに関する苦労はありますか?
「アイラップは本来 調理用の袋ではなく、食品の温め直しといったといった用途の商品なので、ツイートはいろいろ工夫をしています。今ではいろんな方が使ってみたツイートをして頂いているので助かっています。
私ほどフォロワーさんに助けられたり、励まされたりしてるアカウントはいないんじゃないかな(笑)」
普段ツイートに使うのはスマホのみ。カバーはバッテリー内蔵のものを愛用。
「これでないとTwitter更新や通知で午前中で充電がもたない」のだそう。
ーーーTwitter運用をしていて、ターニングポイントだったなという事はありましたか?
「ある日他社さんのイベントの「チャンカレミートアップ」に呼ばれて、たくさんの企業担当の方とお会いした時、リアルな交流で「あ、変わったな」と感じました」
ーーー製品「アイラップ」が話題になったからこその悩みは出てきましたか?
「最近は…スマホのみで運用してるせいか、目疲れがすごいかな(笑)」
ーーーツイートをするという感覚は何に似ていると思いますか?
「『ねえねえ聞いて!』の感覚ですね。
例えば食堂で隣の人に、こういうのあったよ、って話し掛けてる時の感覚」
−−−ツイートはパソコンからではなくスマホからだけとお聞きしましたが、休日などでツイートをする、しないのオンオフはありますか?
「休日はしっかり休んでいますが、ついつい休日なりのツイートをしてしまったり・・・どこかで見つけた良いもの、アイラップに関することをツイートしていますね。平日よりは頻度はグッと落ちますが。
私本体は『 _(:3 」∠)_ 』こんな感じで休んでて、親指が勝手に動いてるイメージ(笑)」
ーーー他社のツイートや企画はよく見るほうですか?
「うーん、Twitterで時間が取れないのもあって、あまり他社のツイートを見れてないですね…。スマホのみなので、こちらがツイートしたり返信したりが精一杯で。
フォロワーさんたちのリツイート等で流れ流れてたどり着いて来たツイートで知ることが多いです。なので話題性のあるものとか、後から知ることが多いんです。」
ーーー他社Twitter運用でいいなーと思うことはありますか?
「食べ物を扱ってる会社さんがうらやましいです。注目を集めやすいので、うらやましくてしょうがない(笑)。」
ーーー以前お料理されるということもお聞きしていました。そういえば『グルラボ(※)』の特典レシピも関わられたそうですね。
「そうです。あの料理は全て私がグルラボで作ったものを撮影しました。
『おにぎりぽっけ』のパッケージに使われているおにぎりもお弁当も、実は私が作ったものです(笑)」
※グルラボ
=電子レンジで圧力釜調理ができる岩谷マテリアル株式会社の時短調理グッズ。タッパー代わりにもなり、特殊なプラスチックでオーブンにも対応。
ーーーTwitter担当になって良かったと思うことは?
「幼い頃から親しんでいたもの…おもちゃとかゲームとか食べ物とか、それらの会社さんと今仕事で交流できている感動はあります。
子どもの頃と違って、より近い場所にいる、という感覚ですね。
このより距離感が近づく感覚はフォロワーさんも同じなんじゃないかな?と思います。」
ーーーーーネット文化やTwitter文化を深く知らずとも運営していき、その素直さの姿勢、そして必ずしも話題性に乗るばかりではなく、反応を見ながら自ら話題を生み出していける運用方法は、日々 一般フォロワーに好感を持たれる理由であると感じました。
また全国であまり知られる事のなかった良質な製品を知る事ができるのもTwitterならでは。もちろんそのツイートには開発側の視点やものづくりにおける情熱や想いも垣間見る事が出来ます。
そういった点においても、あらゆる企業アカウントにとって運用のヒントを得られるかも知れません。
今後も面白い企画や参加でTwitterならではの何かが起こるかも、という期待も感じさせて下さいました。
今回はありがとうございました。
取材、文、撮影:CM BAR 野際
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?