【2024年問題】 20240506
最近、「物流の2024問題」といったことが話題になり、テレビなどでの報道が増えています。
モノが予定通りに届かなくなるから不足する、大変だ大変だ。
報道はこうした「大変だ」ばかりを伝えます。
そう、大変です。
しかし、この問題は2019年に始まった「労働時間規制に関する働き方改革」の中で、「作物の建設の事業,自動車の運転の業務,医療に従事する医師等について」は5年間の猶予期間が与えられ、その5年目が今年ということのはずです。
「大変だ」は、この5年間何をしていたのでしょう。
国や行政は何か対策をしたのでしょうか。
「働き方改革」と称して、労働時間の制限を強制する。
で?
現場はどうすればいいのでしょう?
ただ時間制限をするだけで、あとは現場任せ。
あまりに無責任な政策ではないでしょうか。
こういうのを「政策」というのでしょうか。
物流だけ取ってみても、多くの問題が発生しています。
例えば、
トラック運転者は長距離運転ができにくくなる。
もちろん、それによって、過労やそれに伴う事故を減らすことができます。
家族との時間が増えて、めでたしめでたし。
しかし、一方で、それによって運転者の収入が減ります。
その減った分はどうするのでしょう。
「それは自分で考えなさい」
また、これまでは運転者は物を運ぶだけでなく、到着地での荷下ろし、所定の場所までの移動、さらには棚への陳列までやっていた例もあるようです。
運送業者が多すぎるための過当競争の結果です。
こういうことをしなくて済むようになる。
それはそれで良いことかもしれません。
しかし、この問題は単に「運転者の労働時間が制限されているからできない」ということで済ませてはなりません。
それ以前に、例えば、運転者が荷下ろしをしているときや所定の場所まで運ぶときに荷物を破損させてしまったら、その責任は誰が取るのかということまで含めた対策が必要ではないでしょうか。
「なあなあ」で済ませるのではなく、運転者がどこまでやるのかということを契約で取り決めるといったことを徹底するようなことが必要でしょう。
同様のことは、同じく5年間の猶予期間があった建設労働者や医療従事者についても言えます。
働く時間が制限されたから、予定通りに建物を完成させることができない、医療を提供することができない、ではなく、「ではどうしたら良いのか」を国を含めて5年間検討した上で、この4月を迎えるはずだったのではないでしょうか。
夏休みの宿題を8月31日に慌てて片付けたり、試験の前日に一夜漬けで暗記していたのを思い出します。
いや、一夜漬けすらやらずに試験当日を迎え、惨憺たる結果になったという感じに思えてなりません。