聞こえる、聞こえた
#ネタバレあります
とてもとても珍しくドラマの感想を書こうと思う。
普段、ドラマはほとんど見ない。しかも感想が苦手なので、アニメにしろ、映画にしろ、感想を書くことはほとんどない。
今見ている『silent』は、いつぶりのドラマだろうか。もしかして『逃げ恥』以来かもしれない。こちらを読んで、見よう!と思ったのだけれど、それでも7話から見始めたという(3話まではtverで見た)ひんしゅく者のわたしは、さらに睡眠を優先して8話を録画し、次の日の朝に見た。
やっぱり手話の部分になるとほっとする。セリフのとき、出演者の表情にフォーカスできるのがいい。
ほんとにみなさん好演(語彙力が無くて申し訳ない)で、見ているとぐいぐい引っ張られる。今回一番好きだったシーンは、奈々さんが名前を呼ばれて振り返るところ。
聞こえないのに、聞こえたよ、ってところ。
切ないけれど、きれいなシーンだった。たぶん、わたしはsilentと聞いたら思い出すのはこのシーンかもしれない。
あの二人はうまくいかなかったけれど、もしかすると紬たちもあのままいけば同じようなことになっていたのかもな、なんて思った。でも感情をぶつけられる相手というのは特別で、それだけ相手が自分の中に居場所をつくっていたということだし、それを依存といってしまえばそうなのだろうけれど、別に依存が悪だとは思わない。
そんなに白黒はっきり分けることは実際できないのだし。
好きなセリフならメモを取ってノートに書くけれど、映像は頭の中の引き出しにしまわれる。そしてそれはふいに開いたりする。
そういえば、ずいぶん前、歩きながら電話していたとき、
「あ、鳥の鳴き声がする」
と電話越しに言ってくれた人がいた。
「え、聞こえるの?」
と返した。
「うん、聞こえる」
とその人は言った。なんだか嬉しかった。沈黙していないと聞こえないし、沈黙していても平気な空気が好きだったんだと思う。
ちょっとドラマから逸れたけれど、もうひとつ、「疲れない?」っていうセリフ。
疲れるか、疲れないか。もちろんその人の立場になってみないとわからないけれど、疲れる時は疲れる。べらべらしゃべられても疲れる。しゃべらなくても疲れる・・・・・・・。
と身もふたもないことを思ってしまった。余裕がないときってそんなものかなと思う。小さな火種も条件がそろえば発火する。誰も悪くないこともあるし、伝わらないことだってある。それは言葉を持っていてもきっと同じことなんだな。
やっぱり感想にならなかったな、うん。
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