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どこかの私に
昨日、友人がうちに来た。月に一度、ボイトレの先生に来てもらい、2人でレッスンを受けている。レッスンが始まるまで、いつも時間を忘れて話し込んでしまう。音楽の話が多いけれど、昨日は子供の話、家庭の話になった。
夫婦も親子もいろいろある。何もなく、順風満帆な家族なんか本当はないんじゃないだろうか。私だって布団に潜り込んで泣く夜もある。
誰が悪いわけでもない。一緒に暮らすということは、そういうことなんだと思う。
2人ため息をつきながら、ふいにおかしくなった。
「こんなに豊かなのにね」
なんでもあるのに。ある程度、なんでも手に入ってしまうのに。
悩みはなくならない。それはきっと悩みを作り出しているのが自分自身だからなんだろう。
悩みが悪だとは思わない。切望もまた人を成長させたり、なにかを生み出す原動力になっているんだろうと思う。
でも本当は、もう充分なんだ。
空が青くて、日が眩しくて、風が吹いて。
日焼け止めも塗らず、裸足で砂を踏んではしゃいでいる自分がどこかにいるのを私は知っている。
そのことをただ、知っておきたいと思っている。
正月明けでレッスンは散々だった。
またあまり好きでない自分の声を録音して聞かないとあかんのかぁ。
今年は形にする年、と決めた。
なにかしようと目論んでいるのだ。
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