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晴れと雨のあいだ

朝、眼が覚めると雨の音がしていた。
カーテンからは光が差し込んでいる。
雨が降っているのに、時折陽が差し込む、そんなお天気のようだ。
郵便局へ行くのにいつもは自転車を使うけれど、傘を差して歩いていく。
細かい雨がまだ降っていて、空は半分青かった。狐の嫁入りって言うんだっけ。
小さい頃、何度も読んだ絵本の挿絵がぼんやりと頭に浮かぶ。狐の花嫁行列。
一般的には天気雨と呼ぶのだろうか。
傘の隙間から虹を探したけれど、見つからなかった。雨はだんだんまばらになり、私は傘を外してみる。手を差し出して雨を探す。
傘を畳んで左手に持って、コートのボタンを開けた。今日は暖かい。
頰にときどきあたる雨粒のかけらも冷たくは感じなかった。節分も過ぎてもう春なのだ。
交差点まで来て立ち止まる。
天気雨ってなんだかあれだな。
笑いながら泣いてるみたい。
信号が青に変わって歩き出す。
濡れたアスファルトが眩しい。

#エッセイ #天気雨 #狐の嫁入り #雨 #泣いてる

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