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戯曲デジタルアーカイブは宝の山


戯曲アーカイブとは

戯曲デジタルアーカイブ」を知ったのは2023年だった。

2022年末から2023年の始めにかけて、育成×手話×芸術プログラムのろう・難聴者向け「脚本創作塾」の講師を務めた。その縁で、同じ主催者によるデフアクター養成講座の修了公演を見せてもらった。そのとき事前に「こちらで上演作品の戯曲を読めます」と案内があった。 

劇作家名や戯曲名、上演時間、上演人数などで目当ての戯曲を探せる。

あの人の戯曲が読める!
舞台を見たあの作品の戯曲がある!

そこは何百もの戯曲が待つ宝の山だった。著作権の切れた作品ではなく、存命の、現役の劇作家の作品が読めて、ダウンロードできる。

戯曲がひらかれている。戯曲を演じたい人たちに。勉強したい人たちに。ただ楽しみたい人たちに。

上演の申請までできてしまう。

「劇作家ってどこにいるの?」
「どうやったら連絡取れるの?」
あれやこれやの壁をひらりと飛び越えてつなげてくれる。

すごい時代だ。

日本劇作家協会に入った

わたしの戯曲も掲載できたりするのだろうか。誰かの検索条件に引っかかってマッチングアプリみたいに出会えたりするのだろうか。

運営している日本劇作家協会に問い合わせてみたところ、現在は受け付けを止めているが、再開されるときはお知らせしますと丁寧な返事があった。

お知らせは忘れた頃にやってきた。実に一年あまり後に。律儀な劇作家協会さん。

会員になると戯曲デジタルアーカイブに登録申請できるとのことで、早速会員になった。わたしは戯曲といえばリーディング作品しか書いていないのだが、無事会員になれた。

昨年末、日本シナリオ作家協会の忘年会に日本劇作家協会の岡本麻里さんがいらしていて、そのときも戯曲アーカイブの話題から話が弾んだ。戯曲をリーディング上演して磨く「改稿サポートする輪」というイベントもやっていると聞き、面白そう、楽しそうと思ったことも入会を後押しした。

あれもこれも載せたい

さあ、どの作品を登録しよう。

最初に頭に浮かんだのが「ファイティング黒田のラーメン劇場」だった。バリアフリー演劇イベント用に書いたものだが、企画が中止になってしまった。視覚障害者の役は当事者に演じてもらいたいという希望がある。マッチング難度が高いからこそ、見つけやすい場所に置きたい。

リーディング作品なら「間違いだらけのクリスマス」「月のうさぎプロジェクト」「ピアノがギターに恋をした」「たゆたう花」「酔ったフリして好きって言わせて」、最近書いた「全員、孤立!」も短くて需要があるかも。

シリーズの「さすらい駅わすれもの室」「看板の読めないBAR」「流しのフジモト」。さらには派生作品ずらずらの「膝枕」にも会話劇がいくつかある。

ラジオドラマを戯曲にするのもいいかもしれない。FMシアターで放送された「金銀鉢の教室」や「父の代理人」は一幕ものの会話劇なので戯曲にしやすそう。

載せ放題じゃなかった

まずは何本か登録してみてから追加しようか。

と思ったら、今年の受付は「一人一作品まで」となっていた。

そりゃそうだ。一人が何作品も申請したら対応しきれない。わたし張り切りすぎ。前のめりすぎ。

年に一作品とすると10年で10作品。20年で20作品。落語家がよく言う「長生きしたもん勝ち」だ。

長生きしよう。

戯曲デジタルアーカイブが続くことを願って。

目に留めていただき、ありがとうございます。わたしが物書きでいられるのは、面白がってくださる方々のおかげです。