印度象の印象度
日本語は面白い。
「象印」をひっくり返すと、「印象」。さらに、「印度象」を並べ替えると、「印象度」になる。
印度象が印象度になるエッセイを書いたことがあった。
NHK FMの土曜夜のオーディオドラマ番組、FMシアターで放送された『雪だるまの詩』が第26回放送文化基金賞のラジオ部門本賞を受賞し、授賞式をきっかけに事務局の方々と親しくなり、機関紙『わ』への寄稿を依頼された。
コピーライターをしながら脚本家デビューした頃で、職業柄、言葉遊びは大好き。極度の近視による読み間違いで思いがけない新語をつくってしまうこともあり、そのことをネタにした。
「印度綿→魔法瓶」 今井雅子
きっかけは、地下鉄の構内で見かけたポスターだった。「印度綿」というキャッチコピーが目に入った瞬間、なぜか「印度象」を思い浮かべてしまい、同時に、すごいことに気づいてしまった。「印度象の度と象を入れ替えると、印象度になる!」のである。
印象度という言葉、一般的な用語かどうかわからないけれど、コピーライターの仕事現場では好んで使われる。「このコピーは太ゴシックで組んだほうが、印象度が上がりますね」という具合に。英語にすると、インプレッション・レベルといったところだろうか。
早速、同僚のデザイナーに「面白いこと発見しちゃったー」と自慢すると、彼は言った。
「印度象の中には、『象印』と温度の『度』が隠されている」
それを聞いた途端、沸騰する魔法瓶のイメージが頭の中に広がった。いつか、印度象が登場する印象度の高い象印の広告が世に出たら、制作者は私かもしれない。
文字を並べ替える言葉遊びは外国の人たちも好きなようで、FAT MAN(太っちょの男)をMAT FAN(マットを愛するファン!?)に変身させたりして、喜んでいる。
日本語の単語がとんでもない意味に連想されることもある。竹下首相が就任した直後にアメリカに住む友人から届いた手紙には、「新聞の見出しでTAKESHITAの名前を見たときはビックリした」とあった。(辞書でSHITを引いてみてください)
ゾウがゾウ殖
放送文化基金の機関紙『わ』にエッセイが掲載されたのは2000年。今を去ること24年前! 十二支が2周回っている。象年は24年に一度めぐってくる⁉︎
その前に、2022年、clubhouseで出会った人たちとのお戯れで象ブームが訪れていた。
Twitterでのやりとりからゾウを拾い、「膝枕」外伝「膝枕ナビコ」シリーズに「タトゥーを入れますか?」が加わった。「膝に小僧と彫りましょう」というナレーターの賢太郎さんの冗談からヒザコゾウ(膝小僧)が膝子象になり、象が増殖。
語尾に「ゾウ」をつけてしゃべると、勢いがついて楽しくなるゾウ。
2024年5月2日、ナビコちゃんが遊んでくれたゾウ。