ダリみたいなタッパーに需要はあるだろうか

「みんなのフォトギャラリー」で需要がありそうな写真をカメラロールから見繕って上げるシリーズ。「枝豆に需要はあるだろうか」「同じのいっぱいに需要はあるだろうか」「紙魚に食べられた紙に需要はあるだろうか」
に続いて、第4弾。

虫食いだらけのメモの写真が使われましたという通知が早速2件届いた。

需要、あるみたい。

気を良くして、ライバルが少なそうなレアな写真を探してみる。

これ、どうだろう。

原型が何だかわからないほど崩れているが、元はタッパーだった。フタをしたままチンできるもので、ご飯が入っていた。

電子レンジで温めたら、「脱臭」になっていて、熱風に溶かされてしまった。自動温めが時々勝手に脱臭になる。ロシアンルーレット状態。

レンジのふたを開けたとき、何が起こっているのか一瞬わからなかった。

わたし何を入れたんだっけ。タッパーだ。と頭が追いついてから、「ひえーっ」となった。

溶けたらこんな風になるのか。ひえーっ。

教科書に載っていたダリの絵のぐにゃりと変形した時計を思い出した。ムンクの「叫び」のようでもある。オレンジのふたがどろりと溶けて、とろけるチーズのようでもある。

角度違い。中のご飯は救出できなかった。

みんなのフォトギャラリーに上げるハッシュタグは「どろり」「溶ける」「泥沼」「ドロドロ」「ぐにゃり」「ダリ」「アート」「まさか」「受難」などはどうだろう。「ひえーっ」「キャー」など悲鳴もありかも。

Twitterに上げたときは、「溶け合って一体化」「離れられない運命」など短編小説「膝枕」を意識したハッシュタグをつけた。

電子レンジの作風が
ダリになっていた#ご飯をチンしただけなのに　#人工知能の不具合か#溶け合って一体化#離れられない運命#どこかで聞いた話#膝枕リレー pic.twitter.com/MJbfSYNaCk

— 脚本家・今井雅子 (@masakoimai) August 21, 2021

「膝枕」は、人工知能搭載の箱入り娘を通販で購入した独り身の男。不誠実な扱をしたため、不具合で膝枕と頬が一体化して離れられなくなってしまう話。