
あなたの家は片づいていますか?
どうして家は片付いていないといけないのですか?
自分が暮らしよければ雑然とした部屋でも良いのではないですか?
垣谷美雨作「あなたの人生、片づけます」を読みました。
この本の主人公、大庭十萬里は家の片づける方法の手伝いを生業いとしています。
「あなたの片づけ手伝います」という本を出版してある程度有名になっているが、本の内容を要約すると「部屋を片づけられない人間は、心に問題がある」という事なのです。
彼女に片づけの手伝いを依頼するのは、勿論本人ではありません。
汚部屋に住んでいる娘の母親、妻に先立たれた老人の娘、資産家の老女の娘、一部屋だけ片づける嫁を気づかう姑など周りの人が窮状を見かねての事です。
1回目の訪問で、十萬里はまず家族構成、部屋の間取り、収納部分などを見てこれからの対策を考える。自分から片づけようとする気持ちに持っていくのが十萬里の仕事です。
他人が片づけたとしてもその時綺麗になるだけで、すぐにリバウンドするからです。
しかし、これがとても困難で個々の心の問題を見極めなければ始まらないのです。
この本の中で1番身に沁みたのは資産家の老女のお話でした。
千坪の敷地に三百坪の豪邸に1人で暮らしている78才の三枝泳子は娘の睦美が、勝手に十萬里に片づけを依頼した事に憤慨しました。
確かにどの部屋もスッキリしていて片づけの必要はありませんが、問題は収納場所に現在使わない物が沢山押し込まれている事です。
娘の睦美は「ガラクタ残したまま死ぬのだけはやめてよね」と母親に冷たく言い放った。
三枝泳子は同じ様な境遇だった間宮敏子が入所した老人ホームを訪ねた折、身ひとつになった彼女が
「人間はみんな裸で生まれて裸で死んでいく、それを実感するようになった」
という言葉を聞いて、あの世に行く時何も持っていけないとわかっていたのにもったいないからと沢山のガラクタを後生大事に持っていた事を反省した。
今の世の中、物を捨てるには多くのお金と制約がついて回るし私自身、主人が亡くなって娘と同居する事に決まり住んでいた家の殆どの物を捨てた時にそれを実感しました。
将来、老人ホームに入所するかもしれないのでもっとミニマムな暮らしを目指そうと思っています。
でも、これだけは処分できない物が有ります、いろんな物を捨てても本だけは側に置きたいのです。私の夢は図書館に住む事です。