更年期障害05 | 婦人科ドクターに求めたいこと

更年期障害の症状かもしれないと思ったら、婦人科にかかることをおすすめする。一人で悩んだり考えたりしていても改善することはあり得ないからだ。例えがおかしいかもしれないが、更年期障害は虫歯のようなものではないかと思っている。虫歯は時々痛くない時期もあったりする。でもそれは治ったわけではなくて、一時的な痛みの「休憩」に過ぎない。だから、また必ず痛くなる時期が来る。風邪のように病院に行かずとも時間が経てば治ることがあるようなものとは違う。だから、「何か変かもしれない」と思ったら迷わず婦人科に行くべきであると思っている。

そして、その行くべき婦人科も本当にいろいろ。私がホルモン補充療法を受けられたのは3軒目のクリニック。最初は自宅から比較的近く、通勤途中にも行ける場所にある女医さんのクリニックへ。私より10歳ぐらい上だっただろうと思う。笑顔が優しく、この先生なら大丈夫かも?と思ったのも束の間、厳しい言葉を投げつけられた。「気分的な問題も大きい」「大変だと思い過ぎている」「ホルモン補充療法はお勧めできない」と。会社の先輩にホルモン補充療法のことは聞いていたので、この方法でなんとか乗り越えたいと言ったところ、返ってきた言葉がこれらだった。そして血液検査すらせず。はっきりとは言われなかったけれど、「その年齢ではまだ閉経はしないだろうから、会社の忙しさなんかでストレス溜まっているんじゃないですか?」というニュアンスのことを返された。こんな人に自分の体を診てもらうわけにはいかない、早くここから去らないと・・・と思って、「もういいです」と言って帰ってきたことを思い出す。

2軒目は複数のドクターが曜日替わりで担当しているクリニック。たまたま行った日が男性のドクターだった。その時点で腰が引けてしまい、この人には何も相談できない、と思ってしまった。女性特有の病気の手術などの場面では、女性ドクターよりも男性ドクターの方が患者からのウケがいいという話を聞いたことがある。手術の技術はやはり経験数によるところが大きいからなんだろう。私も入院や手術を要するものであれば男性ドクターを選んだのではないかとは思う。でも、婦人科に行ったのは、更年期障害の治療、症状の軽減が目的だ。体の不調だけではなく、どう辛いのか、どういう思いなのか、それを聞いて欲しかったので、共感してくれるドクターでなければならなかった。男性ドクターが女性の更年期障害を経験することはできないし、どんなに優しく親切な方であったとしても「男性のあなたにはわかりませんよね」と思ってしまいそうな自分もいたので、このクリニックも一度行ったきりで次に行くことはなかった。

3軒目のクリニック。ここは会社の先輩から教えてもらったところ。女性ドクターで、おそらくご自身も閉経されているんだろうと思う年齢の方。最初の診療の日に、何がどうして困っているのかとかなりの時間を割いて話を聞いてもらうことができた。眠れない、頭痛がする、微熱が続く、めまいがする、ホットフラッシュがある、吐き気がする、異常な気分のアップダウンがある、自分にまったく自信が持てない、周囲から非難されているような気分になる、何かにつけ被害者意識が芽生えてしまう、そんなことをすべて聞いてもらって、まずは気分的に落ち着いて。それから、血液検査をしてもらって。聞けば、血液検査で女性ホルモンの量が分かり、女性として今どのぐらいの場所にいるのか、表現が少し難しいけれど、閉経に向かってどのぐらいの位置にいるのかということもわかるという。血液検査の結果はその日には出なかったけれど、ここまできちんと説明してくれる先生ならば、私は救われるかもしれないと思った。だからこのクリニックに通うことにした。その後4年間。

更年期障害で気分が安定しないとき、相手がいくら悪意がないとしてもちょっとした言葉から傷つくこともある。そしてその言葉が医療のプロであるドクターから発せられたときには、もうどうしようもない。自分の体調を少しでも整えるために通院するのだから、気持ちに寄り添ってくれるドクター、この人にだったら話しても大丈夫だ、頼っても大丈夫だと思えるドクターを探したい。世界の中で自分がたったひとりで、自分自身と戦っているような気分にさえなってしまう時期だからこそ、味方だと思えるドクターを探して欲しい。
今、そのタイミングにある方、これからそういう時期を迎えてしまう方、どうかドクター選びは諦めないで、自分の大切な数年間を共に歩んでくれるドクターを探してほしい。「ま、いっか」とか「こんなもんだろう」と諦めないでほしい。

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Okabe Masako
同じような悩み・経験をしてきた方とつながれることや共感できること、そしてこれから先に辛い思いをする人が少しでも減ることを願って書いていきます。サポート、よろしくお願いいたします。