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歯周病治療進行中
歯医者さん交代
今年1月、長年通っていた歯医者さんから突然廃業を告げられました。
先生「私ももう年なのでね。」
自分「そうですか、長い間お世話に
なりました。」
もともと、歯茎が弱くてちょっと疲れがたまったりするとすぐ歯茎が浮いたようになり、痛くて噛めなくなったり、出血したりしていた私は2か月に一度、歯医者さんに通っていました。「こんなにマメに通ってくれて手入れもしているのにね。歯茎が減ってきていて、抜かなくてはいけなくなるかも。」そう、言われていた矢先のことでした。
歯医者に行かない訳にはいかないので、急いで代わりのクリニックを探して、最初にやったのが3Dの立体レントゲンを撮ることでした。その画像を見て最初に先生とお話したのは以下のようなことでした。
先生「ちゃんと噛めてます?」
自分「いや、時々痛くて噛みにくいことが
あります。」
先生「そうでしょうね。この左の上の奥から
3番目の歯、3本ある根っこのうち
2本が溶けてしまっていて残りの1本で
ようやく支えている状態です。」
自分「。。。。。。」
かくして、新しく見つけた歯医者さんで最初に行った医療行為は大切な奥歯を抜く、ということでした。そして抜いた歯を見せてもらうと、歯の噛んですりつぶす部分のちょうど真裏の一番奥まった部分に黒い歯石がびっしりと固まって貼りついている状態でした。これでは、歯を抜かないと歯石が除去できません。歯周ポケットがどんどん深くなってきて、どんどん歯石がたまってしまったのでしょう。今から思えば、以前通っていた女性の歯医者さんの「私ももう年なのでね。」は「私にはもうお手上げよ。」という意味も含まれていたのかもしれません。
かくして、新しい歯医者でいきなり「抜歯」するという洗礼を受けた後すべての歯の汚れをとり、麻酔をして歯石を取り除く処置をしてもらいました。それも結構、痛かったし、時間もかかりました。結局、歯周病を防ぐには、丁寧に歯を磨き、歯石を取り除くしかないのだと改めて思ったのでした。
歯周組織再生治療
さて、ここまでは前哨戦です。問題はこれからどうするかです。抜いたのが、左奥上でしたが、左奥下と右奥上、右奥下も同じように程度の差こそあれ、歯を支える骨が溶けてしまっていて歯石がレントゲンでも見えるほどについてしまっています。このままにしておくと、早晩左奥上と同様にこれら3本も抜かなくてはならないのは明らかでした。幸いこの3本はまだ痛みもなくしっかりと顎に根付いているので治療による再生も可能です、との提案を受けました。さあ、ここからが本題の歯周組織再生治療です。
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この治療法は比較的歴史が浅く、日本で認可された日本の製薬会社の薬はまだ8年ほどしか経過しておらず、症例も少ないとのこと。それでも、それに先んじて開発されたドイツの製薬会社の薬は保険外治療となり費用も何倍もかかるそうなので、こちらを選ぶことにしました。やり方としては、歯茎を切開して歯石や悪い組織を取り除き、そこに新薬を注入して歯茎を縫い戻し、その周辺の血行を促進して歯茎の再生を図るというものです。歯茎の再生など一朝一夕にできるものではなく、数ミリ再生させるのにも年単位の時間がかかります。それでも人生百年時代と言われる中、まだまだおいしいものは食べたいし、なにより親からもらった大事な歯などそうやすやすと抜けられては困ります。おっかなびっくりではありますが、その再生治療を実施することに同意いたしました。治療に関するメリット、デメリットを十分に説明していただいたうえでそれでは始めましょうということになった時にはすでに数か月が過ぎていました。
再生治療手術
一番目は、歯茎の後退が激しく症状の重い右奥上の歯から始めることになり、手術の日程も決まりました。「体調を万全にしてきてください。」
と言われ、体調を整えながら臨みました。治療箇所の外側と内側から麻酔注射を打ち、だんだん感覚が鈍くなっていきます。いざ、切開してみると予想以上に汚れや歯石がたまっていたようで、メインの先生と補助役の先生や助手の方など3~4人が「お、これは。」や「ちょっとそこはそうではなくてこうやって。」「あとはひたすらカリカリ掻き出して。」などの言葉が飛び交っています。当初、治療方針を話し合っていた時は歯を真ん中から半分に切って側面から歯石を取り出すなど、今考えると空恐ろしいような案も出ていたくらいですから、相当に奥まった部分から歯石を取り除くという難易度の高い手術だったのでしょう。しまいには、手術箇所の口の部分のみ穴の開いた大きな布をすっぽり頭全体にかけられ、私の視界はさえぎられました。あとは、ひたすら器具を使って歯石を掻き出すカリカリという音と、執刀医たちのボソボソと話し合う音だけが手術室に響いていました。歯医者の治療を受けられた方は経験があると思うのですが、奥歯の治療を行うときは口を大きく開けたままにしておかなくてはなりません。力を入れて開けたままにしていると、いざ「楽にしてください。」と言われても顎関節症のようになってしまって、カクンとうまく閉じられないことがよくあります。「開けてください。」「楽にしてください。」と言われる度に何度もこの「カクン」を繰り返すハメになりました。また、奥から3番目の歯ですから歯石をとったり薬を塗ったり、機械を当てる際に思いっきり強く横に引っ張られます。しまいには、口の横がきれて血がにじんできてしまいました。
麻酔が切れてきたので、「大丈夫、女性の体ならあと3本は追加で打てます。」という、慰めとも脅しともつかないような言葉をかけられながら、追加の麻酔を打ち手術は続行されました。水を飲んだり、トイレ休憩をはさんだり、施術をする先生方も大変ですが、こちらも必死です。歯の手術の最中に血が垂れないようにガーゼを口にはさみながらトイレに行くなど想像もしていなかった展開です。トイレ休憩から戻るとまた手術は再開されました。そして、「開いてください。」「楽にしてください。」「カクン」が繰り返されました。口唇を横に強くビッと引っ張られ、「カリカリ」と歯石が掻き出され、「ギギッ」と機械が当てられ、口唇横が切れて血がにじむという事態も続きました。しばらく同じような作業が続き、歯石や悪い組織をここぞとばかりに吸引している様子がわかります。糸のつながった針が歯茎に突き刺され縫っている状況もわかりました。最後に糸をパチンと切る音が聞こえ、「お疲れ様でした。」と声をかけられたときには4時間半が経過していました。長時間診療台の椅子に座り続けていたので体もコチコチになり「次は最初の歯ほど重症ではないので楽だと思いますよ」という先生の言葉も半分うわの空で聞きながら、クリニックを後にしました。
術後の経過
ある程度予想していたことではありますが、術後のダメージはだいぶ大きく、2~3日は顔が腫れていました。口唇横が切れて血がにじんでいた箇所もかさぶたになるまでは痛みが残っていました。それでも、先生は自前の歯が残るよう最善の努力をしてくださったのだと思いますし、お蔭様でその歯も何とか残って役割を果たしてくれています。先生によると、今回施術をした歯もいつ抜けてしまってもおかしくない状態だったそうです。約2週間後に抜糸をして、弱々しいながらも今は何とか噛める状態にまで回復しました。自分が歯周病だと認識してから何十年も積もり積もっていた汚れ、歯石がきれいに除去されたのならばそれに越したことはありません。
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上記の2つの画像は、2回目に同じ歯周組織再生治療手術を行った時の記録とその後に服用した薬の明細です。手術の内容は前回とほぼ同様ですが、先生の言葉通り少しだけ楽だったような気がします。それでも、該当の範囲は広かったようで歯1本ではなく、2本に対して施術されています。手術時間は3時間ほどで、術後しばらくは顔が腫れているのも同じでした。これで2本目の手術は終了しました。残る1本も近日中に手術を実施の予定です。
歯は大切にしましょう
歯周組織再生手術は歯周病治療の一手法ではありますが、3本とも手術を終えたところで、それで終了ではありません。手術のために少し歯を削って小さくしているので、かぶせものをするなどして補強をしなくてはなりません。最初に抜いてしまった歯の部分も穴埋めをしないと、うまくものが食べられません。そのため、私の歯医者通院もまだしばらく続くことになります。よく「健康はお金で買えない」と言われますが、健康を守り、病気を防ぐにはやはりそれなりのコストがかかることを覚悟しなくてはなりません。
至極当然の結論ですが、普段からキチンと歯磨きをして歯周病予防にも気を配ることは重要です。それが結局は自分のためになるのですから。私もこれまでにも増して、歯を大切にしながら過ごしていきたいと思っています。