三階の部屋からよく見える ゆるい坂道 朝 若い女性が背筋を伸ばして登っていく 中学生が思い思いの足取りで登校する 大きな買い物袋を持って下ってくる家族連れ 坂の途中 植え込みのふちに お年寄りが腰掛けていることもある みんな知らない人ばかりなのに 吐く息の温かさが立ち昇るようで こころが寄っていく これから私も出かけよう どんな時も 登った距離だけ下っている けれど私にとってその道は いつもどこかに向かう登り道だ
私の春迎えは 日曜寺の梅見から始まります きれいに整えられた庭に 早咲き 遅咲き 紅梅 白梅 とりどりに十数本 母と散歩の途中によく訪ねたお寺 ひとりで来ても いつも隣に母がいるような気がします まだ風は冷たいのに 石神井川沿いの小さな池では カエルの産卵が始まりました 白木蓮は保育園の園庭の隅で いつにも増して高くひびく 子どもたちの声を聞いています 駅のロータリーの植え込みに 一本だけ植えられた河津桜 二、三輪咲いた頃から待ちきれないで 買い物ついでに足をのば
遊歩道の隅から 小さな声 鉛筆のような 数本の挿し木の途中から 新芽が顔をのぞかせている 近くにある紫陽花が きっと母さんの木 母さんの枝は まだ茶色い冬芽のまま 北風にさらされながら 道端に根付いた子どもたち 生きてるよー 生きてるよー 挿し木をした花好きさんにも きっと届いた春の声
「チャットGPT」が話題になっています。人間が書いた文章を添削する程度ではなく、小説も書いてしまうそうです。 では、個性、その人らしさが大切な要素である詩も書くのでしょうか。 私は長年詩を書いてきた人間として、自分の感性を大事にして、AIが書けない詩を書けたらいいな、、、と思っています。