MDを借りるという事
高校生になるとバイトをはじめた。
周りの友人がみんなやっていたから。
というほぼノリではじめたバイト、友人を含めバイト仲間のほとんどが
「MDプレーヤー買いたい」
このためにバイトをしていた。
今の世代はipodならわかるかな?
それより以前に数年だけ盛り上がった音楽媒体に「MD(ミニディスク)」ってのが存在したのだ。
カセットテープより高音質に録音できて、形も正方形でカラフル、MDを持ってたら「イケてる」と認めてもらえるアイテムだったのだ。
バイトして自分の欲しいものが買える。
最初の目標としてMD購入は最適、そしてMDデビューを果たすと
「MDの貸借り」というイベントに参加できたのだ。
各自でTSUTAYAで借りたCDを選曲してMDに録音する。
流行の曲を収録したMDを多く持っている者は人気になれた。
みんなその輪に参加したかったのだ。
これはMDに限った話ではなくて、昔はカセットテープ、ビデオテープ、ファミコンのカセットもそうか。ソフトの貸借りってのは普通に行われて、そこにはコミュニケーションが生まれていた。
「この曲かっこいいから聴いてみて」
「昨日の番組見逃したから誰か貸して」
そして貸す、借りる、観る、聴く、感想を言い合う。教室でよく見る風景だった。気になるあの子に、友達に、先輩に、誰かに貸す前提で録音したりもした。友情が生まれたり、恋人に発展したりしたんだよ。
現在はスマホとネットの普及して様子は一変した。
「あの曲いいよ、ダウンロードしてみて」
「あの動画見た?リンク送るよ」
物体としての貸借りはなくなった。
感想や共感はもっと大勢の人とできるようになった。
これがほんの数年で起きた変化だから、正直すごくないですか?って話です。
昔は良かったみたいな話じゃなくてね。
昔はこうで、今はこうだよってこと。
10年後はどうなってるだろうね。