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ショートストーリー:vol.4【うさぎ団】

どこまでもつづく ひろいそらのした
あおあおとしげったみどりが かぜになびく
とてもうつくしい のはらがありました

そののはらの あちこちに
つちをほってできた あなぐらがいくつもあります
それは うさぎたちのおうち

そのなかでも ひときわおおきなあなぐらがあり
そこは うさぎだんのだんちょうのいえでした

「きょうも わがのはらはへいわそのものだ」

そとを ぴょんぴょんとはねまわり
じっくりとぱとろーるしおわっただんちょうは
うんうんと おおきくうなづきました

と そのときです

だんちょうの しろくてふさふさしたみみが
ぴんっとたちました
なにやら きこえたようです

「とおくのほうで かわになにかがおちるおとがきこえたぞ」

だんちょうは いそいでそのかわのほうへと
ごじまんのあしのはやさで とんでいきました

ぴょんぴょんぴょん!

かわについてみると
ちいさなしろいうさぎが しくしくとないています
ひとりぼっちで とてもかなしそうに

「どうした!」

だんちょうがたずねました

だんちょうのこえに しろいうさぎはかおをあげました

「わたしのだいすきなさくらんぼが かわにおちてしまったの
あのきからおちたのを たいせつにくちにくわえて
おかあさんにもってかえろうとおもって
でも このはしをわたるとちゅうで ころんでしまって」

「それで かわにおとしてしまったんだね」

「うん」

しろうさぎは とてもとてもかなしそうに
まっかなおおきなめに きらきらとした
おおつぶのなみだを うかべています

「ようし まっていなさい
このだんちょうが おとしたさくらんぼをさがしてこよう」

だんちょうは じぶんのむねをどんとたたくと
かわのながれにそって あるきはじめました


かわのながれはゆるやかで ところどころに
ごつごつしたいわがあったり きのえだがおちています

だんちょうは めをさらのようにしてさがしました
うしろから しろうさぎが ふあんそうについてきます

「あったぞ!」

だんちょうは きのえだにひっかかってとまっている
おおきくて まっかにうれたさくらんぼをみつけました
それはそれは とてもおいしそうなさくらんぼです

「でも かわのながれのまんなかだ」

これは てをのばしても とどきそうにありません
ひとりでやろうとすれば かわにおちてけがをしてしまいそうです
すると しろうさぎが うしろからいいました

「わたしのみみは とてもながいので
みみをつかんで かわのなかへはいってください
そうすれば あのさくらんぼにてがとどくはずです」

たしかに しろうさぎのみみはとてもながく
しっぽにとどきそうなほど たれています

「わかった きょうりょくしよう」

しろうさぎのながいみみを ぎゅっとつかみ
だんちょうはかわのなかへと はいっていきました

じゃぶじゃぶじゃぶ

「とれた!」

ふたりはぶじに おとしたさくらんぼを
とりもどすことができました

「だんちょうさん ありがとう
だんちょうさんのおかげです」

しろうさぎは またまっかなひとみに
おおつぶのなみだをうかべて いいました

「いやちがうよ きみがみみをかしてくれなかったら
このさくらんぼは あのままながされてしまっていた
きみのちからがあったからなんだよ
もっとじぶんのちからを しんじなさい」

だんちょうはにこにこしながら しろうさぎにいいました

「そうか わたしにはわたしにしかできないちからがあるんだ!」

しろうさぎは にこにこしながら
さくらんぼを おかあさんのもとへとどけに
ぴょんぴょんぴょんと とんでいきました

「きょうも わがのはらはへいわそのものだ」

とびさっていくしろうさぎを みおくっただんちょうは
うんうんと おおきくうなづきました

おしまい

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

ショートストーリーのお題を募集しています。
単語もしくは二語文程度。

例:食べる、優しい時間、ヘアピンなど・・・

恋愛、童話、エッセイ、ファンタジーなど、
ジャンルは問わず書いていこうと思うので、
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