店頭の非計画購買率7割って本当?デジタルマーケターが押さえておきたい店頭の基本Vol.2
みなさん、こんにちは。
ソーシャルメディアマーケティングに強い会社『トライバルメディアハウス』の杉山です。
今回もデジタル・ソーシャルメディアマーケターがちょっと知っていると「オッ!わかってるな」と思ってもらえる店頭の基礎知識をお伝えしていきたいと思います。
前回の記事では店頭の棚割りはどのように作られているかをご紹介させていただきましたが、今回は生活者の購買行動、特に計画購買と非計画購買についてお話していきたいと思います。
計画購買・非計画購買とは
まず前提として、計画購買、非計画購買という言葉をご存じでしょうか?
本当に簡単にざっくり説明しますと、「計画購買」はお店に行く前に予め買う商品を決めていて購入する場合。「非計画購買」はお店に行ってからなんとなく目についたり、思い出して買ってしまった場合となります。(ざっくりです)
私の場合、ビールが飲みたい!と思って買いに行くのは「キリン一番搾り」なのでこれは計画購買。お昼ご飯を買いに行ったときに、酒類売り場で「アサヒ生ビールマルエフ黒生」が置いてあり、「お、ナニコレ美味しそう!」といって買うのが非計画購買です。
あのブランドのこの商品!といった、すでに買う商品そのものが決まっていることを「指名買い」と言います。各ブランドはこの指名買いを増やすことを目的としてCMからSNS、店頭での販促を行い、ブランド力の強化をしています。
店頭での非計画購買率70%って本当?
では、実際の店頭での計画購買、非計画購買の比率はどんなものなのでしょうか?今から20年前の1992年に流通経済研究所さんが行った調査ではスーパーマーケットにおける非計画購買が70.8%を占めていると報告されているようです。確かにスーパーへお買い物に行く際に買う商品をすべて決めているということは自分自身でもほぼないので、なんとなくそうなのかな~とも思えます。
しかし、ここはもう少し分解してみていく必要がありそうです。
私のようにビールは一番搾りと決めている商品もあれば、パンが食べたいけど取り合えず棚の商品を見てから決めよう、みたいな商品もありますので全てのカテゴリーにおいて非計画購買率が70%と考えてしまうのは大きな間違いです。
下記のグラフはダイヤモンド・チェーンストアオンラインに掲載されていましたマクロミル社による2017年スーパーマーケットでの購買行動におけるアンケート結果ですが、こちらを見るとカップ麺やスナック菓子など嗜好性のある商品は非計画購買率が高いことがわかるとともに、洗濯洗剤や柔軟剤などブランドスイッチのおこりにくい商品群は計画購買率67%と高い(カテゴリー計画も含めると80%以上)こともわかります。
計画購買率を高めるための施策として、店外施策(店外での生活者接点)が重要となりますが、1992年と比較して2017年はスマートフォンなどが圧倒的に普及、またSNSなどのソーシャルネットワークやストアアプリなど、以前に比べて店外で生活者にアプローチできる手段が増えたことが挙げられると思います。
大事となってくることは、メーカー各社のマーケターや我々のようなデジタル・ソーシャルメディアマーケターが担当している商品が計画購買されやすい商品なのか、または新商品などですとそもそも計画購買してもらうことが難しいので、どうやって非計画購買を誘発し買ってもらうかをしっかり分けて施策立案する必要があります。
コロナ過で生活者の購買行動は大きく変化
新型コロナウイルスの拡大により2020年初頭から現在までの約2年で私たちの購買行動は大きく変化しました。
特に政府による「緊急事態宣言」や「まん延防止等重点措置」が発令されたことにより通常生活においても変化や様々な自粛活動があるかと思います。
店頭に目を向けてみると、やはりお客様一人ひとりの購買行動についても変化が見られます。
私が前職時代から大変お世話になっている店舗のICT活用研究所郡司昇氏のコチラの記事をご覧ください。
こちらの記事で紹介されているのはコニカミノルタ社の棚前顧客行動AI分析システム「Go Insight」による、ある店舗における特定売場の生活者の滞在時間の変化を「beforeコロナ」「withコロナ」で比較した表になります。
20代‐40代男女のそれぞれの売場滞在時間ですが、特に顕著なのは40代の男性です。beforeコロナでは売場滞在時間が42.5秒(中央値)だったのに対し、withコロナでは20.6秒と51.5%減となっております。また文中では「触った商品をそのまま購入する確率が1割程度向上していた。これは、短時間で商品を選び、迷う時間が少なくなっているということ」
コロナ過において、日々のスーパーでのお買い物はなるべく短い時間で、まとめ買いをする傾向が強くなりました。またこれまでは比較検討する際に、多くの商品を手に取りパッケージなど表裏を確認したりして買う行動も当たりまえでしたが、「触った商品をそのまま購入する」ということからわかるように比較検討はそこまでせずに購買する。「迷う時間が少なくなっている」ことは計画購買されることが増えているということです。
ヤクルト本社さん事例からの学び
また、こちらの記事は前職時に私が担当をさせていただいた調査を記事にしていただいたものになります。
と、触れていただいております。
実際に乳酸菌飲料やドリンクタイプのヨーグルト飲料は計画購買(指名買い)が非常に多く、「すぐ手に取って買う」との表現のように、迷うことなく目的の商品を手に取り、買い物カゴに入れられるお客様が非常に多いことがデータからもわかりました。
我々デジタル・ソーシャルメディアを中心にマーケティング活動をしている人間はデジタル上・ソーシャル上でのコミュニケーションを基本接点として考えているわけですが、「コレって計画購買されやすい商品?」「それとも悩んで良く検討されてるのかな?」と購入タイミングを想像してみてもらうと、デジタル上でのコミュニケーションでも伝えるべきポイントが変わってくることもあるかと思います。
デジタル上で接点を持ってもらい、興味をもってくれた生活者が最終的に商品購入をする場の80~90%はリアル店舗になります。
ですから、デジタル上の訴求内容と、店頭で商品購入を決定する際の決め手が結びつきやすくなるように設計してあげると良いと思います。
商品を「買う」行為ひとつをとってみても、その行動を分解して検証してみると多くの気づきが得られます。特にリアル店舗での購買行動(買うまでに至る行動&買わなかった行動)は可視化・データ化されていない部分が非常に多いですので、まだまだ多くの学びが隠されていそうです。
今回は「計画購買・非計画購買」について書いてみましたが、今後も引き続き我々デジタル・ソーシャルメディアマーケターが知っておくべき店頭の基本をお伝えしていきたいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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