見出し画像

ライフワークと今後の展開

よく誤解されるのですが、アニメ脚本家が売れない小説を書いているわけではありません。売れない小説のほうが先なのです。『デジモンアドベンチャー』に参加できたのも『大江戸フランケンシュタイン』を読んでもらったからで、けっして『突風!ミニパト隊』を見てもらったからではありません!(^^;;

順番としては、
1994年 小説『大江戸フランケンシュタイン』
    小説『量子館殺人事件』(出版は2004年)
1995年 小説『幕末二万マイル』(出版は2004年)
1999年 アニメ『デジモンアドベンチャー』
2001年 小説『小説デジモンアドベンチャー』(角銅博之さんと共著)
2004年 映画『愛欲の宇宙戦争』
2007年 小説『地獄少女 恨の紋章』
2018年 小説『決戦兵器「ひ」号』(未発表)
2021年 小説『アルゴ遠征隊西部へ』『高次元につづく山』
2022年 小説『Walk on the Outside of Spaces』
――になります。

長編小説はノベライズを除くと、すべて歴史改変SFです。はじめから意図したわけではないのですが、結果的にライフワークになっています。というわけで、今までの自分を見つめ直し、将来何を書くか、歴史改変SF小説の自著解題を試みてみることにします。

■大江戸フランケンシュタイン(執筆:1994年/出版:1994年、蝸牛社)
オリジナルは1989年に書いた脚本でした。上京して助監督を経て脚本家となったものの、都落ちし、もう二度と映画界に戻らないつもりでいたのですが、宮崎勤事件が起きて、ああはなりたくない、何か書かないと、1週間に1本、脚本を書いて東京に送りました。そのうち、『イヤー・オブ・ザ・リビングデッド』は三池崇史監督で決まりかけたのですが決まらず、代わりに『大江戸フランケンシュタイン』が決まりかけたのですが、その頃にはぼくが小説化に動いていたのでお断りしました。史料を調べれば調べるほど、ジグソーパズルのようにぴしゃりぴしゃりピースが埋まって、高木彬光『成吉思汗の秘密』みたいな形式で完成したものの、当時アメリカにいた弟から送ってもらったロバート・アントン・ウィルソン&ロバート・シェイの『イルミネータス!』三部作の影響を受けて、大幅に書き直しました。この時、もっとも留意したのは文体。日本の時代小説・中間小説とは異なる、浅倉久志さんのような翻訳調の文体にすること。ミニコミ誌『ゴア』を取り上げていただいた長崎新聞社・朝長昭生さまの紹介で、東京の蝸牛社から出版できました。上京して、イラストを描いてくださったツージーQさんと「ダ・ヴィンチ」など回りますが、相手にもしてもらえず、紹介していただいたのは「ガロ」と「週刊現代」。「週刊現代」はその前か次の号に、親戚の内堀保(元巨人軍捕手、二軍監督)の記事が掲載され、なんとも不思議な縁を感じました。出版してしばらくして、版元の蝸牛社から、「早川書房のミステりマガジンから問い合わせありましたよ!」と連絡があり、購入したんですが載っていない。がっかりしてたら、同じ早川の「SFマガジン」に載っていました。このときまで、版元も筆者もSFと思っていませんでした! 出版後、三池監督が映画化出来ないか動いてくださったんですが、お金がかかるというのでだめでした。

■幕末二万マイル(執筆:1995年/出版:2004年、暖流社)
「大江戸フランケシュタイン」の一部の好評を受けて書きました。『大江戸フランケンシュタイン』は『フランケンシュタイン』の再構築でしたが、こちらは『海底2万マイル』の再構築。最初は中編でしたが、がんばって長編に膨らませました。日本ファンタジーノベル大賞では一次審査通過。出版は何社かに持ちかけ、結局、自費出版しました。カバーイラストは憧れの石川賢先生!!!

■量子館殺人事件(執筆:1994年/出版:2004年、暖流社)
メイントリックは先輩の家で「不連続殺人事件」を再見した時にひらめきました。最初の稿は横溝正史『犬神家の一族』みたいな感じでした。その後、何回も書き直しました。出版した版は、「小栗虫太郎的な内容なのに文体は横溝正史」(神谷純監督評)と評価していただく一方、「小栗虫太郎みたいな文体のほうが良かった」(山口剛様評)という意見もあり、2018年に小栗虫太郎文体に書き直しました。小栗改訂版は近日出版予定です。

■愛欲の宇宙戦争(映画脚本:2004年)
「大江戸」「幕末」と書いてきて、次は「明治」だ、タイトルは「明治天皇と宇宙戦争」!と決めていたのですが、内容は固まっていませんでした。そんな時、白石雅彦さんとピンク映画を撮ろうという話になって2本の脚本を書きました。『淫乱天使 だって好きだから』と『犯された週末』の2本で、後者が「明治天皇と日露戦争」の1挿話で、『愛欲の宇宙戦争』というタイトルで自主制作しました。

■決戦兵器「ひ」号(執筆:2018年/未発表)
日本史改変SFシリーズの5作目です。時代は太平洋戦争。『幕末』のカバーイラストを描いていただいた石川賢先生におおまかなストーリーを話したところ、「書くべきだよ!」と励まされました。近日出版します!!!

■アルゴ遠征隊西部へ(執筆:2020〜2021年/出版:2021年)
日本史改変が終わったのでアメリカ合衆国史改変にチャレンジしました。ギリシア神話Xアメリカの発想は1990年代から考えていましたが、紆余曲折した末、ようやく書けました。当初は1本で終わる予定でしたが、小笠英志著『高次元空間を見る方法』を読んで、『高次元につづく山』『Walk on the Outside of Spaces』と次元を拡張した3部作となりました。この三部作は『発狂したアメリカ』として合本化し、秋にも出版する予定です。

■今後の展開
ライフワークの歴史改変SFの原点である『大江戸フランケンシュタイン』から、さらに時代を遡る予定です。第一弾の序章は8月中にアップします。お楽しみに!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?