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漂着物に思いを馳せて
この記事は【QUMZINEアドベントカレンダー2021】の第2日目(12月2日分)にエントリーしています!
長かったような、短かったような、この2021年。
気がつけば、人混みを避け、ひたすら海岸線を目指していました。
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“海の向こう” と “ひきこもリーマン”
ウィズコロナ生活がはじまって、もうすぐ丸2年。国内の感染者数はようやく落ち着いてきたものの、世界では「オミクロン株」なる新たな変異株が見つかるなど依然収束の見込みは立っていません。残念ながら当面の間はまだ気軽に海外に行くことも難しいような状況です。
現代はインターネット社会。ある意味パソコンやスマホさえあれば世界中いつでもどこでもだれとでもつながれてしまう便利な時代です。
一方で地理的な側面に目を向けると、ここ日本はいわゆる「ザ・島国」。地続きの国もありません。おまけに自宅に籠って毎日テレワーク生活ともなれば、文字通り“海の外”から隔絶されてしまったような感覚に陥ることもあります。
「ワンマイルウェア」なんてファッションも流行りました。自宅から1マイル(約1.6キロ)の範囲をウロウロするようなご近所服のことですが、今や1マイルどころか一週間のうち月〜金はまったく外出しないこともザラ。
Uber Eatsの利用頻度も増えました。加えて最近では「置き配」まで選べるようになったので、配達員から対面で受け取る必要も無くなり、玄関すら出なくて済みます。
アカン。これはアカン。ひきこもリーマンやないか。
悲しいもので、オンラインやバーチャルだけで完結する世界に慣れてしまうと、フィルターバブルのように遠く離れた“海の向こう”に対する想像力が衰えてしまいます。
Google Earthで世界中を旅したり…
YouTubeで知らない外国人のお散歩動画を観たり…
海外の友人夫婦の結婚式にオンラインで参列したり…
色々やってはみるものの、明らかに自分の中のリアリティが足りてないんです。
アカン。これはアカン。
このままでは想像力がどんどん衰えていく…
気がつけば、人混みを避け、ひたすら海岸線を目指していました。
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日本海で見つけた漂着物
渇いた風を殴り、向かった先は「日本海」。
日本海が好きなんです。
太平洋じゃなくて日本海。
湘南や逗子の海岸のような“テラハっぽさ”は一切ないんですが、無骨で飾らない日本海のノスタルジックな佇まいがたまらなく愛おしいんです。
そんな日本海の海岸には“海の向こう”からたくさんの「漂着物」が流れ着きます。(そういえば今年は「軽石漂着」も大きなニュースになりましたね)
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いつ、どこの国の、どこの海から、どんな海流に乗って流れ着いたものなのか?そんなことを考えながら妄想するだけでワクワクしますよね。
せっかくなので、このライターに書かれたハングル文字をGoogle翻訳の画像翻訳に読み込ませてみましょう。
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Google翻訳の結果、このライターは「サウナの地下1階にある居酒屋」のものであることが判明しました。
さらにこの居酒屋の住所をGoogleマップで調べてみると…
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なんと韓国南部の釜山にほど近い「コジェ島」という島がプロットされました。おそらくそこからなんらかの経緯を経て海へと流され、最終的にこの海岸に漂着したのではないかと推測できます。
面白い。そしてスゴイぞGoogle。
これらの漂着物はいわゆる海洋ゴミと呼ばれるものです。しかし岩場に流れ着いた漂着物をじっと見ていると、その先には“海の向こう”側にあるたしかな営みと、そこに暮らす人々の息吹がちゃんと感じられるんです。
スティングと日本海
日本海に来るとなぜかいつも条件反射的に思い出してしまうのが、イギリスの大物ミュージシャン「スティング」です。
その理由は2つ。
スティングが在籍した伝説のロックバンド・THE POLICEの名曲『Message in a Bottle』(邦題:孤独のメッセージ)。イントロのアルペジオが頭の中で自然に流れ出して、もしかしたらここにもボトルメールが転がってるんじゃないか?と期待して探してみたり…
同じくスティングがモッズのエース役を演じた映画『Quadrophenia』(邦題:さらば青春の光)。劇中に再三登場するブライトンビーチの穏やかな波音とLambrettaのエンジン音が重なり合うようにフラッシュバックしたり…(※筆者は行ったことも乗ったこともありません)
要するに日本海とスティング自体にはなんの縁もゆかりもないんですが、なぜか日本海に来ると必ず「スティング」の存在を思い出してしまうというだけの話です。
ちなみにタイムリーなトピックでいうと、ちょうど11月19日にスティングの5年ぶりのニュー・アルバム『ザ・ブリッジ』がリリースされたばかり。本作のインタビューでは、奇しくもスティング本人が「僕らには架け橋が必要なんだ」と語っているそうです。
読んで学ぶ漂着物
漂着物について書かれた書籍もいくつか出版されています。こちらはそのうちの2冊(筆者私物)。いずれもたくさん市場に出回っているものではないのでAmazonで買うと多少値は張りますが、興味のある方はぜひ一度手に取ってみてください。
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ということで、来年こそはまた海外に行きたい&飛行機にも乗りたいという願いを込めつつ、私の2021年の振り返りとしたいと思います。
漂着物に思いを馳せて。
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