まんびき団【中学生編(A)】
無敵のジャンパー
授業と授業の合間、黒板にリアルでグロいナニの絵を枠からはみ出すぐらい大きく描き、女子の目線をかっさらう友人は<無敵のジャンパー>で狙った獲物を逃さなかった。
漫画レイプマン(今では考えられないタイトル)が大好きな<カラテマン>はエロに対してオープンだった。小学校の時、エロ要素をひた隠しにしてきた自分にとっては衝撃的で、新鮮で、とにかく誰も傷つけない笑いが大好きだった。オレはやっちまっているし、ひたすらしごきまくっている時期だったが、ムッツリではないエログロはあの当時ある意味、殻に閉じこもっていた自分をホッとさせる最高のエンタメだったのかもしれない。
<カラテマン>は、いつも優しくて、気遣いできる最高の友人だった。
彼と遊んだ日々は、新鮮で毎日楽しかった。ありがとう。
このコラムは、ある荒廃した家庭に挑んだ、1人の青年の記録である。新宿に生まれ育った無垢な小学生時代に、アルコール依存症とバイセクシャルという特異な両親に囲まれ、酩酊した母親と強制的に初体験をさせられ、その後30年近くに渡り自身もアルコール依存症に苦しみ、その中で設けた我が子との絆を通じ、寛解するまでと、その原動力となった信頼と愛を余すところなく完全実話で書き下ろしたものである。
とにかくいろんな意味で、
新宿NO,1超マッドエリア戸山ハイツの洗礼を
中学入学初期に頂くことになる。
(戸山ハイツには小学校5年生で引っ越して来ている)
<カラテマン>と保育園からの友人と一緒に新宿西口エリアを攻めた。
ケンカじゃない。
お小遣い稼ぎのための万引だ。
狙いは新宿西口家電量販店。
※後にバレて各所に謝罪、罰を受けることになる。今更ながら大変申し訳無い。
時代は平成元年。
バブル絶頂期。
悪ガキ覚醒の第一歩が幕を開けた。
その当時、西口の某家電量販店の店頭には腰高のスチールワゴンが並べられていて、その中にファミコンのカセットが複数種入っていた。それに目をつけた悪ガキ3人は、何度もその現場を訪れ、計画を立て、しっかりしたプランで獲物をゲットした。そのワゴンの中に高額ながら爆発的ヒットをした人気のカセットが紛れていた。その獲物を狙い撃ちし、家の近所のTカメラ(中古ファミカセ買取・販売所)でブツをさばいた。1個3000円ぐらいで取引されたブツは3人のメインターゲットになった。ちなみに歴史モノの黒い縦長のカセットだった。ぶつかるとすぐにバグるアイツだ。
特に目を見張ったのは<カラテマン>が着ている無敵のジャンパー。カルチャーショックという表現が合っているのかわからないが、ファミカセは彼のお腹に吸い込まれまくった。
手際も良いがジャンパーの性能が優れている。
よく言えばMA−1タイプのフォルムをしているが、安いスーパーなどで買ったものに違いない。大きなお世話だが、あのエリアの友人たちほぼ全員、安物着用だったと思う。
そのジャンパーの裾のゴムは改造を施されていた。腹が閉め切れるぐらいMAXキツく絞られていて、お腹にぶち込んだファミカセを落とすことなくしっかりフォールドし、オレたちのお小遣いを増やすメインツールとして大活躍した。
反省文に全部書かれた
無敵が故にやりすぎた。無敵じゃなくなったわけではなく、仲間がしくじった。
しくじった仲間は保育園からの友人だった。
先生に呼び出され彼が全部ぶちまけた。
やってしまった悪いことを全部書けと担任に言われ、バレてもいない事まで全て書いてしまった。
その中にオレの名前もあった。
<カラテマン>は最後までオレはチームではなかった、関係ない、
彼はいなかったとかばってくれたが、
孤児院上がりの担任はそんな節穴ではなく、
全てを見抜き、全容把握され、こっぴどく怒られた。
担任に呼び出された父親。
そしてきっちりした反省文提出。
運動会前日だった。
そしてバレたことはこれだけではなかった。
悪ガキ3人の野望は夢のごとく。。。
まんびき団【中学生編(B)】につづく。
<写真>昭和53年頃・西向天神祭・まねき通りにて。