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◎韓国女子ゴルフ事情

◎韓国女子ゴルフ事情①
 日本女子ゴルフ界では小祝さくら、稲見萌寧、古江彩佳などの若手が大活躍だが、韓国でも同年代の選手らが競い合っている。先週、江原道春川市のラテナCCで行われた斗山マッチプレイ選手権でパクミンジ・プロ(21歳)が優勝した。プロ入りは18年で、四年連続で獲得賞金4億ウオン(約4000万円)を突破しており、今季すでに三勝で、賞金レースでトップを走っている。日本女子ツアーで賞金レースでトップを走る小祝さくらと同じ98年生まれだ。
 パク・ミンジの獲得賞金は現時点で4億8604万ウオン(約4700万円)。今回の優勝コメントでは「(今回はマッチプレイのため)7回勝てば優勝なので、絶対に優勝したいと思った。コースのなかで死んでも構わないと覚悟した」と話している。「勝つためには死んでも構わない」と言い放つところは韓国人選手らしい表現だ。
 私も実は二年半前、韓国のツアー会場(パク・セリ招待)で会ったことがある。パワフルなプレースタイルから、小柄ながら「小さな巨人」と呼ばれていると聞いたが、みるからに勝負欲が旺盛な性格のように見えた。国家代表や常備軍にも選ばれており、世界アマチュア団体戦でも優勝している。一緒に会った母親金玉花さんはハンドボールでロス五輪にも国家代表として出場して銀メダルを獲得しているスポーツ一家だ。その後彼女は86年から93年まで日本の大崎電気女子ハンドボールチームでプレイしていた。7年間の日本暮らしで日本語もペラペラ。寄宿舎生活でも楽しい思い出が多く、同僚からは「玉ちゃん」と呼ばれていたという。日本のコメが美味しくて、いずれは娘を日本に送りたいと当時は話していた。17年秋、名古屋で開催された四か国女子ゴルフ対抗戦にも出場して、毎晩のように寿司などの和食を楽しんだという。目標はイ・ボミ。
韓国ではプロゴルファーになるためにはゴルフ練習のために日本円で毎月50万円はかかる。公務員の父親の給料では勿論少ない。そこで母親が日本の大崎電気のハンドボールチームに所属していた経験を生かして日本のスポーツ用品会社と販売契約を結んだ。さらに男子ツアーのチェキョンジュ財団からも資金援助を受けて、両親のサポートを受けながらゴルフ道を邁進している。
 韓国女子ツアーは4月上旬から正規ツアーが開幕、12月まで年間32試合が予定されている。5月23日現在、すでに6試合が消化。日本と違うのは日本のステップアップツアーに当たる二部ツアー(ドリームツアー)が年間20試合、三部ツアー(ジャンプツアー)も年間16試合と選手が出場できる試合数が多いこと。それだけ実戦経験を積むことができることが韓国ゴルフの選手層の厚さにつながっていると思う。(日本のリジェンドツアーにあたるチャンピオンツアーもある)
勿論、韓国と日本とは試合数にも違いがある。日本は3月上旬に開幕戦を迎えて、22日現在、すでに12試合を消化済みである。(21年度は合計38試合の予定)
 韓国女子ツアーではパク・ミンジの他、パク・ヒョンギョン(2000年生まれ)、ヒョン・セリン(01年生まれ)等の今季(21年)の広報大使に選ばれている美女軍団もいる。韓国では申ジエやイ・ボミ、パク・インビらをパクセリ・キッズと呼ばれていたが、もうセリキッズという言葉は古くなった。すでに(パク)インビ・キッズや(キム)ヒョージュ・キッズと呼ばれる十代後半の人材が次々と育っている。日本女子ツアーもよいが、韓国ゴルフの強さを学ぶには韓国女子ツアーをウオッチする価値は十分にある。

wrote by masaki tachikawa

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