結婚式業界と世間のギャップを埋めるためにやりたい2つのこと(後編) #結婚式こうしたい
こんにちは、リクシィ代表 安藤正樹です。
前回は僕が思う2つの #結婚式こうしたい のうちの1つ、オルタナティブな結婚式について書いたんですがその続きってことで。結婚式のパーソナライズ化したい、ということを書きたいと思います。
結婚式をパーソナライズ化したい
結婚式って、業界と世間との間にものすごくイメージのギャップがあって、やりたくない人に理由を聞いてみると結局「なんとなく」で、でも後で後悔したり、結婚式変わったよ!なんて発信をすると、もう結婚式は変わりましたよねという声があったり。本当に過渡期だなと感じています。令和は良いきっかけになるはずで、個と個の時代、コミュニティの時代であり、個人の価値観に合わせて結婚式も多様化していく、そして、産業自体の構造を変えて結婚式をオルタナティブにしていきたいと本気で思っていますよという話を前回は書きました。
で、結婚式を多様化させると同時にやりたいことが、結婚式のパーソナライズ化。
その人に合った結婚式が手に入る世の中を作りたいです。
というのは今でも、結婚式の情報ってわかりづらいんですよね。実はわざわざ、わかりづらくしようとしている人は誰もいなくて。わかりやすくしようと頑張っているのが、逆にわかりづらくなっているという印象です。
他方で、新郎新婦も自分たちに合うものを考えようというプロセスをあまり踏まずに、写真の雰囲気やイメージだけで式場見学に行ってしまうこともあるのかなと思っていて、相互に表面的なコミュニケーションでマッチングされているような状態だなと感じています。
例えば新郎新婦が、‟ガーデンを使ったウエディングをやりたい”と思っても、ガーデンで写真が撮れればいいのか、ガーデンでパーティーをしたいのかで、どの会場が良いのかは違ってきます。「ガーデンが使えますよ」と書かれていても二人の写真撮影にしか使えなかったり、ガーデンで楽しげなパーティー写真が載っていても実際にはできない、というケースだってあります。ガーデンでパーティーをするにしても10分できればいいのか、ずっとガーデンにいたいのかでも変わってきます。
他の例では、結婚式場を決めた後に、ドレスの選択肢がそんなにない、と知ることがあります。結婚式場は提携で成り立っているので提携ショップが1店舗しかないケースもあって(前職もそうでした)、1店舗しかないという段階でドレスの選択肢はすごく少ないわけです。でも新婦は「(選択肢は)きっとあるだろう」とか「まあそんなにこだわりないしな」とか最初は思っちゃう。ところが、実際にドレスを試着してみたら「なんか違う…」「やっぱりここはこだわらなくちゃ…」みたいな。でも、「他にないの?」「そうなんだ・・・」といったことも多い。
これって小学生が大人に「勉強しておかないと大人になった時に困るよ」って言われても、「ふーん…(全然響かない)」みたいな話に近いなと思っていて。結婚式場を決める前に色々とアドバイスをもらっても、「まあ、大丈夫っしょ」みたいに思う人が結構多いんです。そして、そういう結果になっていること圧倒的に多い。
現時点で、ガーデンやドレスに限らず結婚式の情報がわかりづらいのに、多様化したらますますわかるわけないやん!とも思うわけです。
だから、その人に合ったものがポン!と出てきたほうが絶対にいい。世の中のこんな感じの流れにもハマるかなと。
情報の迷路で迷い壁にぶつかるよりも、パーソナライズされて整った道を行く方が良い。だから、結婚式をパーソナライズ化していこう、ということが僕が絶対にやりたいことです。
価値観が画一的から多様に変わって起こっていること
結婚式場探しって、就職活動に近いものがあるんです。商社の話を聞いたら「いいなあ!世界に通用する仕事!」と思い、IT業界の話を聞いたら「いいなあ!なんか新しい仕事!」と思ってウキウキするんだけど、自分は何をやりたいのか決められない、みたいな。自分がやりたいことを決めるためには自分に向き合うことが大事ですよね。結婚式も同じで、結婚式場を探す前に自分たちに向き合うことが結構大事だったりします。
特にそれは加速度的にそうなっていると思っていて、画一的な価値観から多様な価値観に変わってきたからです。
価値観が画一的だった時代のカップルって、将来への価値観も結構近かったんじゃないかなと思うんです。高度経済成長期の中で育ち、終身雇用が当たり前で、一生懸命働いたら将来安定が約束される、みたいな。
ところが今は終身雇用制度が崩れ、価値観が変化し、SNSでメジャーなものからマイナーなものまでいろんな価値観が出てきて、自分に合った意見を集めていくとそれでなんとなく共感できる、みたいなところがあって。価値観がすごく多様化してきていて「こういう生き方が正しいみたいなのってないよね」という感じになっている。それって自由なようで、難しさが高まっているということでもある。
結婚しようって二人はもちろん一定価値観が近かったりお互いへの共感・リスペクトがあるから結婚するのだと思いますが、話が結婚式どうしようとか、どんな家庭にしようとかになってくると二人だけでは答えが出せないケースもでてくるのが難しい。
親御さんも自分たちの時と前提が違いすぎるし、二人を尊重しようというスタンスが強くなっているがゆえにアドバイスできない。この世代間の価値観の違いってすごく大きいなと。だからこそ、二人がそこに向き合う意義や価値は昔よりめちゃくちゃ大きくなっていると僕は思います。
結婚式のサービスを提供する側の視点では、例え二人の価値感が整っていなくても、それを解きほぐして「お二人にはこんな結婚式がいいと思いますよ」って提案することだと思うけど、それができている結婚式場はほとんどないなという現状があります(理由は業界構造上の課題も大いにあって、興味がある人がいれば別で書きたいと思いますが・・・)。そして、あったとしてもどうしてもすっごく値段が高くなってしまう。
ポジショントークっぽくなってしまいますが、gensen weddingは、式場を決める前に話し合っておくべき本質論をちゃんと抽出して定めましょうっていうサービスで、だから創ったんだよということだったりもします。
価値観のぶつけあい、みたいなことは実は昔からやっていた
自分たちの価値観に向き合ってちゃんと話し合っておくことがどれほど大事なのかって話をすると、2019年3月28日に【REXIT WEDDING LAB ミレニアル×ウエディング】というイベントをやりました。
その時に登壇してくれたSHE ファウンダー/取締役CCOの福田恵里さんがすごくいいことを言っていたので紹介します。
福田さんは、結婚式にそんなにこだわる予定はなかったけど、結婚式場を探している時にあるウエディングプランナーに「結婚式の準備自体に本質的な価値がある」って言われたそうです。価値観も違うしケンカもするし、でも、そこの価値観の殴り合いみたいなところは今後の夫婦生活の礎になる、みたいな話をされて、それがむちゃくちゃ腹落ちして、そこからスイッチが入りました、と。
そういう人は彼女だけではなく世の中にたくさんいるはずで。昔のキリスト教の教会ではそもそもそういう話をしていたそうです。昔のキリスト教の結婚式って、神父さんが何回か二人と面談して、色々な質問を投げかけて。そのプロセスを経て、やっと結婚式が挙げられるそうです。ポイントは、この神父さんの質問が結構ディープなようで、
お金が全然なくなったらどうやって生きていくつもりなのか?
相手が不治の病にかかったらどうするのか?
そんなことをガンガン聞くらしいです。そして、そのやりとりを経て神父さんが二人のことを認めたらやっと結婚式を挙げられると。キリスト教ではフォーマット的にも素晴らしいものがあったわけです。(本気で調べた話ではないので、違っていたらスミマセン。訂正するので教えてください 汗)
それに対して日本では、そこまでしなくてもなんとかなっていたのかもしれません。ところが、今は自由になりすぎたがために軸がなくなっていて難しくなってるように思います。逆にいえば、人間に問いかけられるテーマって時代は変わっても、そんなに変わらないってことなのかなとも思います。収斂と発散を繰り返していくような。
例えば、『結婚までにふたりで解決しておきたい100の質問』という本にはそういう質問がいっぱい出てくるので、結婚を控える二人は読んでみるといいかもしれません。例えばこんな質問があります。
“広い家です。この中に1個だけ好きなものを置くとしたら?”
「水槽」
「え、水槽?…マジ?」
本当に水槽を置きたい人がいたとして、結婚する相手にそこをブロックされたらどうでしょう?しかも、それが結婚した後に発覚したら?
二人で読んでみると結婚前の価値感の刷り合わせができて非常に良いなと思います、私もやっていますのでぜひ(笑)
そして、それは結婚式も同じじゃないかなと思っています。ただ、そんなノウハウはどこにもでてこないので、ここでは自分がおススメするコツも少し紹介できたらと。
やりたい・やりたくない3つ作戦
結婚式でやりたいこと・やりたくないこと3つずつ、お互いに出してみる。それで十分見えてきます。3つって少なく聞こえるかもしれませんが、婚活屋さんに行ったとしても、「年収600万円以上、身長わたしより高い、趣味野球」って3つ挙げただけで「うわー、2人しかいませんね」とか言われるそうです。転職する場合も「年収維持、マーケティングの仕事、30人以下の会社」とかで、かなり絞られてきます。そんなもんですから3つずつくらいでいいかと。
かっこいいコンセプトを創っても良いと思います。一方、全然ラフでも良いと思います。
- サプライズがあったらいいな、とか
- 前にでた結婚式と一緒にはしたくない、とか
- とりあえずお母さんにありがとうって言いたい、とか
それで全然良くて、二人で会話するだけで良いと思います。
特に、結婚式場を探そうかという方は絶対に“やりたい・やりたくない3つ作戦”をしてから見学に行ってください。このプロセスなく、写真の雰囲気や表面的なアセットだけで結婚式場を選ぶと、満足できる結婚式には1ミリも近づきません。「自分たちはこうしたいんだけど、こういうことができる式場を探しています。そちらはできますか?」って聞きましょう。それに対する対応が、具体性があって信頼できる結婚式場を選ぶべきだし、自分たちの3つに合わせて会場を比較しやすくなるというのが一番のメリットかなって思います。このあたりの話は、また別の機会に紹介できればとも思います。
さて、このnoteを読んで、「#結婚式こうしたい」と思いついたあなた。今リクシィで #結婚式こうしたい 投稿キャンペーンをやっています。ぜひtweetしてもらえると嬉しいなと(笑)
僕には2つの #結婚式こうしたい があって、その1つが結婚式をオルタナティブにしたい。2つめは結婚式のパーソナライズ化したいです。あ、あともう1つあるとしたら、世の中を結婚式に溢れた世界にしたいです。
みなさんの #結婚式こうしたい もぜひtweetしてもらえたら嬉しいです。
(投稿してくださった方の中から抽選でAmazonギフト券3,000円分が当たります、ささやかですが)
最後に、またまた告知をします!
2019年6月8日(土)、リクシィのブライダルイベント「Wedding Select Fes(ウエディングセレクトフェス) gensen wedding vs Choole」を渋谷で開催します。結婚式の価値観が変化する中で、どんなスタイル、どんな選択肢、どんな価値観があるのか集めます。
https://event.rexit.co.jp/1904fes/
その前日の6月7日(金)は、ウエディング業界の方々を対象にした本気のトークセッションイベントを同じく渋谷でやります。業界のみなさん、ぜひご参加ください。
https://note.mu/rexitinc/n/nf72d461ad881
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