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新型コロナの渦の中、結婚式とウエディングスタートアップの最近と未来

リクシィwithコロナ(前編:~20/3/24)

2020/3/31は本来であればリクシィ第4期の締め日であり、翌日4/1から第5期が始まって、3月に社内でシェアしている計画と指針に基づき、着々と成長フェーズに突入していくぞという状態にあった。

3月に社内で大きなインパクトを残す結果が出て、第5期に目に物見せるというムードで組織コンディションも最高潮だったと感じていた。新型コロナ(COVID-19)の陰を気にしながら。

当時は結婚式の開催も猛烈にポジティブにプッシュする立場で、実際コロナ感染拡大下でも参加意向のゲストが82%以上というデータがでていた(調査期間3/3_5)。

全国の結婚式場が、結婚式を延期するべきかどうかで悩む新郎新婦と向き合っていて。新郎新婦もこの状態でゲストを招待するべきなのかに悩んでいて。でも、それをゲスト自身に聞くことはできなくて。

だったら、データが必要だろうと、このリサ―チを行った。全部、リクシィ広報の佐志知世が。
これは非常に評判が良く、全国の式場各社にもご覧いただけ、北海道から福岡まで生のフィードバックを確認できた。bizSPA!フレッシュでも取り上げてくれて、価値ある情報を出せたと手応えがあった。

ちなみにこの記事はYouTubeあんてぃも社長チャンネルを元に記事化くださったもので、やっていて良かったと思える。サムネイルは緊張感がなさすぎて申し訳ない。

リクシィwithコロナ(後編:20/3/25~)

…が、3/25の小池都知事の発令が潮目を変えた。リクシィズ全員即座にリモート勤務。小池都知事は今週末と話されていたが、どう考えても翌週以降に及ぶと、無期限前提のリモート体制で、慌ててIP電話化にも動く。

結婚式業界や新郎新婦の動向も一変する。
その象徴がこのヤフーニュースで、記事化された日には風潮は激変しており、「そんなわけねえだろ、婚礼屋がポジショントークしてんじゃねえ」としっかり荒れております。調査期間のずれに気づいてくれた方が1人いた気がするのが救い・・・・。

新型コロナがもたらす断絶は絶望的に大きい。

私たちリクシィズも圧倒的な努力が求められる状況に陥っている。ビジネスモデルは式場各社への価値に対するフィーである以上、結婚式場のビジネスの源泉である結婚式が提供できないというのは当然にクリティカルな影響が出る。社内のzoomミーティングでも話したが、創業が最も難しいと思っていた。今は、率直にその難易度を超えている。3/25の後の週末に計画を練る。対策を決める。

我々は、結婚式場を探す新郎新婦を、結婚式場とマッチングするビジネスをしている。


式場の数ではなく、質。初めての結婚式。新郎新婦の不安をトキハナつ、質の高い式場と、先回りして解消する最低価格保証や持込自由といったユニークな特典を約束するマッチングサービスになっている。これは10年以上の業界経験の中で、最も重要な費用の不透明さを解消できる最も有効なソリューション。

コロナ騒動の中、LINEベースがやりとりのChooleは問い合わせが増えていた。なお、よく日本が緩んだと言われるその前の3連休は、カウンター相談のgensen weddingへの問合せも多かった。悲観視したら思ったよりも影響がない、そう思ったらドンと影響があるという、浮き沈みの激しい時期。

・・・が、結婚式を既に予約されたお客様の延期やキャンセルの連絡、また結婚式場を見学予定だったお客様の見合わせなどのお話が3/26以降、明確に増えた。

でも、4/1や4/2に緊急事態宣言は出ない。出るとすれば、東京と関西が対象になるだろう。その場合は東海にターゲットするしかない。社内でも名古屋フォーカスを宣言し、4/6-7に名古屋に飛ぶ。移動するなと言われても、これだけは必要緊急だった。その1日目の夜に緊急事態宣言の予告がされた。

生き残るために何をすべきか、できる限りのことを最大までやる。自社最適の動きは何をおいても最優先に選択していく。・・・が、結局、どの道を考えようとも、ウエディング業界の今と未来の課題を解決していくこととそれは同じになる。

結婚式とコロナ、新郎新婦もゲストも結婚式場もベンダーも、皆しんどい状況に陥っている。今後の展開は全く読めない、ワクチンが開発されるまでは収束しない。20/5/6を一つの区切りに置く話もあるが、ほとんどの経営者が実際にはそこで終わらないと考えているだろう。いや、式場経営においてはそれはマストの状態。そうしなければ、顧客対応の一貫性を失い、緊急事態宣言の1日前か後かでキャンセル料が200万円か無料かといったちぐはぐな対応をしてしまい、炎上一歩手前に転落する。事実、そのように見える会社もある(弊社の取引先ではないのが書きやすいところ)。

残念ながら現時点で感染拡大後、ピークアウトに成功してもすぐに都市の機能を回復させた国もエリアも無い。今の日本もday by dayで感染者は増え、自分の焦点はそれが、関東関西で封じ込められるのかどうかに尽きる。仮に愛知にも緊急事態宣言が発令されても、傷が浅ければ復活は早い。万が一、それが駄目なら地方フォーカスにシフトする準備はある。

が、関東関西の回復なくして市場回復はありえない。現実的にはワクチンの開発に要する期間とされる1年半を覚悟する必要がある。その時には、2021年10月…。遠い未来のことのように思える。

婚礼業界としては、2021年10月に収まるシナリオが確実と言える状況になれば、展望は開ける。2021年1月には市場が回復する。新規内覧の新郎新婦はそこから動き出す。結婚式場は、新規獲得が生命線であり、これなくして経営は不可能。いまから8か月。我々はこの8か月をどう凌ぐか、そしてその時に自社プロダクトをベストの状態にしておくことに全てを賭ける。早くなれば御の字、地域によってはということでも朗報。

そのとき、果たして結婚式産業はどうなっているのか。

“afterコロナ”という言葉の手前にある、“with コロナ”。人と近づくこと自体がリスクとされる感染症への恐怖感、防御反応自体が“with コロナ”の定義になるなら、“afterコロナ”という世界は来ない。どうなっているかも誰にもわからない。

でも、結婚式を既に予約済の新郎新婦は全国に20-25万組程度はいる。そして、これから式場を探そうという新郎新婦も間違いなくいる。結婚式はやりたいのだ、少なく見ても結婚をする50%以上の人たちは。既になし婚率は下げ止まっている。

「コロナが落ち着くのを待て」という声もある。が、それを許容できない事情を抱える新郎新婦もいる。自身の事情、親族の事情、マタニティという事情、結婚式の時期へのこだわりも間違いなくあり、そこに何かを言える権利など誰一人あろうはずがない。

結婚式は、様々な関係者が存在する。

新郎新婦
ゲスト
結婚式場
その提携・周辺事業者

が、部分最適で考えても意味が無い。先述の通り、あらゆる関係図に断絶が生じている構造の連鎖。活路は前にしかない。活路は前。活路は前。(このセリフをこの2週間で100回は自分と周りに言った)

できるだけ全体像をクリアにし、お客様の立場と産業の立場でどのような考え方ができるのかを示し、前に進んでいく。結婚式どころじゃないというムードがあろうがあるまいが、生き死にの当事者である我々には関係ない。予約済の新郎新婦はそこにいて、式場を探したい新郎新婦もそこにいて、経営に苦慮する結婚式場も多数あって、そこと同じ船にのっている関連事業者も山のようにある。そのすべてに人がいる、人生がある。

何より我々もその一部。生き延びて、未来をつくるためには、感染防止の邪魔をしないことを大前提として、何ができるかを考えることが我々の仕事。自分たちで考えていくことが、新郎新婦と産業の未来につながる。

結婚式withコロナ(20/4/9~)

●延期を相談する予約済の新郎新婦に対して
ここの式場と予約済の新郎新婦との対立構造が非常に深い問題になっている。基本的には延期対応時の実費or必要最低限の請求とするか、変更料(キャンセル料)や一部費用は頂戴するものの挙式時に充当するという式場が、弊社取引先の9割以上を占めている(その際の条件設定は当然のことながら各式場ごとに違う)。

世間では問題視されがちだが、事実は違う。インタビューでも答えた。多くの人が知るべきだ。9割以上が、顧客本位の対応をしていると私は感じている。式場はその性格と業で、必ず顧客に寄り添う。

結婚式場にとって、挙式を行える時間枠の運用というのは生命線。未来の受注も想定しながらコントロールをしなければならない。延期が多発すると売りにくい直近の枠が余っていき、まだ売りやすい未来の枠がなくなってしまう。挙式ができる時間枠は基本的に年200しかない。それを避けるために設定されているのが、日程変更に伴うキャンセル料でその思想自体は適切と、過去の裁判でも認められている。

…が、これは今の環境下では虫が良すぎるという意見が支配的なことを認めざるを得ない。機会損失など無い、サービス業は営業自体許されないのが今の世の中だからだ。

逆に、その請求や約款で悩む新郎新婦は、前払いでの挙式時に充当という提案を積極的にすべきだろう。我々も新郎新婦から相談を受けて提案することがある。その発想は無かったので話してみると言われる。

私は、ここが世の中的な落しどころだと考える。通常は設定されている営業の機会損失に相当する費用を頂戴して二重でもらうという発想を許容できる状況ではない。この話も多くの人が知っておくべきだと思う。

このあたりは、チャンネル登録数は165人しかいないのに業界視聴率はやたら高いと評判の自分のYouTubeでも詳しく語ってみている。笑って話す内容か、と怒られるならこれも申し訳ない。サムネイルは難しい。



●これから式場を見学する新郎新婦に対して
実は、こちらの重要性も極めて高い。結婚式をする権利に悩んでいるのは、ある意味ではこの方々かもしれない。そして、式場の経営においても今のような状況下でも未来の受注を緩めることは死活問題になる。1ヵ月の活動停止は8%の売上減をもたらす。極論2021年1月までこのままだと、9か月。72%の売上を失って、ただでさえ重たい固定費を吸収できる式場など日本のどこにもない。

新しい顧客獲得への姿勢を失ってしまうことは、式場を手放すことと等しく、予約済の延期をして挙式を待つ新郎新婦への責務を果たせなくなることを意味する。そこで何をすべきのかは喫緊の課題として取り組むべきであり、このアクションは”withまたはafterコロナ時代”(令和って言わなくなった)に間違いなくつながる。

そこで、こんな調査をしてみた。

シンプルに必要なのは、オンライン相談。

すでにその対応をしている式場もあり、素晴らしい機動力だと思う。世の中的に、家を出たくないからオンラインというニーズもあるが、思った以上に在宅でできることが多くなっていることを世の中が理解したという方が良い気がする。仕事も商談もリモートできるのに、なぜ式場の打合せは行かないといけないのか?という質問に、真正面から回答することは極めて難しい。今の世の中メールが使えない式場があると、それだけであり得ないと感じるだろうが、オンライン相談がそれと同じになる日は近い。技術的には難しくないわけで、やるだけ。

また、延期時の対応についてもサービスレベルのリトマス試験紙になる。今回のコロナ以前に、2019年秋の超大型台風の記憶も健在であり、半年以内に2度も結婚式の延期をめぐる費用の問題がニュースになっている以上、ここへの警戒感は確実に高まっている。

対応のスピードで差が生まれる。これらの対応が、集客や成約に効いてくる。ハード面でも、価値感の変化が考えられる。3密(密室、密集、密閉)が無い環境が重視される中では、「郊外(人が少ないロケーション)」「窓が開く換気の良い会場(ガーデン隣接)」「全館1組貸切」といった条件にあてはまる式場は、「安心」というメッセージを訴求しやすくなる。

特に、マイカーで見学に行く新郎新婦は今のタイミングでも感染リスクは気にして無いケースが多く、郊外のアクセスも気にならない。自動運転が普及すればその流れは加速する。家賃も低く、収益性は高くなる。ゲストの心理的にも人ごみの多いところに行くよりもマシか・・・という考え方で、認知・見学のきっかけにすらなる。実際、郊外型の式場は元気という話すらある。

●式場で対応が必要なことをまとめると…?
式場目線で対応を整理するとこうなる。

①ビデオ会議ツールを活用できる状態にする
②延期対応についてオープンにできるラインはどこかを定める
③その他の基本的な対応

・新規接客でどう使うか?
接客というよりは来館前の電話に近い位置づけと考える方がスムーズ。内覧は確実に実施されるだろう。ビデオで完結させようというシナリオを考える意味は無い。ターゲットは、やはりこのご時世、なるべく見学に行く式場を減らすために、事前に情報収集をしておきたい層。土日の新規枠がつぶれるのか?という話も事前予約制にすれば十分コントロールできる。オペレーションの指示命令系統が整っているか、スタッフ対応力が備わっていれば、問題ないと考えられる。出社停止の環境でも、自宅でプランナーを稼働させることが可能になる。

・打合せの局面では?
何度も式場に足を運ぶことへの抵抗感をもつお客様は確実に出てくる。コロナとは無関係に、効率性の観点でニーズをもつ方々も少なくない。このニーズに対応すると、セールスコミュニケーションに軸を置いた単価アップなどの施策は一定難しくなることが予想される。そこに頼らない商品力ベースでの価値づくりができている式場は影響がなく、今まで以上にコミュニケーションスキルに頼っていた手法は通用しにくくなり、プロダクトサービスの価値での勝負が求められ、新郎新婦には良い流れになる。

一方、ビデオ会議を中心に進めることができれば、司会者や音響、フローリストやフォトグラファーの方々の打合せもスケジューリングしやすくなる。彼らもビデオ会議で参加すれば良く、移動の時間もかからない。良いパートナーを確保できるチャンスになる。

見逃せない効果は、ウエディングプランナーが在宅で対応可能になること。Zoomであれば背景に壁紙を挿入でき、非日常感を表現することも違和感ない(macの方がしやすい説あり)。土日勤務が難しくなったというスタッフでも土日の一部の時間でこのような業務が可能なら、十分活躍してもらえるだろう。大きな転機になりえる。

実際には、接客ツールがアナログの場合、打合せが成立しにくい部分が残る。招待状などはwebカタログなどで対応し、式場独自ツールなどは変換が必要になる。これもITリテラシーがそのまま顧客体験の価値につながり、競合優位性になるという流れと言える。そして、当然のことながら、試着・試食・リハーサルメイクといった段取りはオンライン化の対象外だ。

②の延期対応については、個別のお客様ごとの是々非々対応の成功体験を捨て、どのお客様にもフェアに対応できる枠組み・基準を設ける必要がある。今後、契約を考えているお客様のニーズに対応するために、成約済のお客様との整合性をとらなければならない。もちろん、どこまで対応可能なのか式場各社の体力にも関連する。例えば、お客様有利な提案を考えるなら、「4-5月に成約されるお客様だけを対象」のような形で謳い、日程変更は1回、移転先の日時によっては契約時の特典・割引が変わるという条件などで、サイト上に開示するなどのアクションをする価値はある。

③の基本的な対応については、衛生関連の備品用意やサービス・キッチンスタッフのマスク着用以外にも、1.8mの距離を置くソーシャルディスタンスの意識なども求められていく。サロンの机と机の距離や、披露宴会場のテーブル同士の距離も対象になる。円卓が嫌悪される可能性も十分にある。結婚式の在り方自体が緩めかではあるが確実に大きく変わる。(ここについて書くと膨大になるので、今回は控える)

式場の集客手法も変化を免れない。

広告費も今後、明確に使い方が変わる。圧倒的に成果報酬型、それも成約ベースに寄せきる流れが加速する。新郎新婦もなるべく少ない見学数で決定することを志向する、当然だ。短期的な枠埋まりの状況とキャッシュ難から、費用対効果へのこだわりは圧倒的に強まり、媒体への出稿は減少することが予想される。式場からの収入を財源としてマーケティング投資で勝つという戦略はとりにくくなり、媒体も存在意義が問われ始める。媒体の存在感が弱まることで、価値づくりをしてエンドユーザーに伝達できるケイパビリティを有する式場は支持を獲得していく。

今回のコロナで、残念ながら事業継続が困難になる式場が増える。だが、この業界では歴史的に大規模なM&Aをしかける会社は極めて少ない。成功させられそうなアセットを持っているところはそのビジョンではないし、そのビジョンを掲げる会社はケイパビリティが足りない。単体で生き残れる式場が息を吹き返し、新しい展開が待っているだろう。

●おわりに
世間は「今の状況で結婚式なんて・・・」と思うかもしれない。でも、「いま、このタイミングじゃなければならない」という新郎新婦やその家族の事情も現実にはある。それを理由に「結婚式もやるべきではない」という考え方は、私もリクシィも全否定する。我々だけでなく、結婚式産業全体がそう思っているはずだ。

その権利を奪うことは誰一人許されることではないし、だからこそできる限りのサポートをすべきだと考える。

結婚式当日をどう迎えるかは非常に難しい問題が残っている。フリーウエディングプランナーでチームされているSUEHIROさんから、「新型コロナウイルス感染拡大における結婚式ガイドライン」がリリースされている。

佐伯絵里さんのお声がけで、リクシィも普及のお手伝いをさせていただくことになりロゴをクレジットに入れてくださっているが、完成度が高すぎて驚いた。

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式場関係者はもちろん、新郎新婦やゲストも見てほしい。これが世の中に広まってほしい。この内容から、根本的に結婚式はどうなるべきなのかを想像することもできるだろう。

今、楽しくないつらいニュースであふれている。
だからこそ、未来の結婚式を、楽しくしたい。
そして、リクシィもリクシィズとともに、必ず生き残る。

●そして最後の最後に宣伝
4/16(木)18時から無料オンラインセミナーを開催します。
「婚礼業界における新型コロナ対策」と題して、バリューマネジメント代表取締役他力野さんから企業経営の現状と展望を、SUEHIRO佐伯さんからコロナ下での挙式ガイドラインをシェアしていただきます。

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新型コロナがいつ収束するかは誰にもわかりません。

あらゆるシミュレーションをして未来を見据えながら、目の前のお客様に向き合い、未来のお客様と出会っていくのか、誰も経験したことがないテーマを与えられているのが今の婚礼業界だと思います。

オンラインセミナーは婚礼業界には珍しい形式だと思いますが、先行してお声がけさせていただいた範囲では想像以上の反響をいただいています。
(そして、YouTubeはご覧になっていることがわかりました!)




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