ホテル雅叙園東京森木さん&CRAZY吉田さんと組織に関するお話をしました
吉本興業さんの話が世間をにぎわせていて、自分も関西出身、数少ない小さな趣味の1つがお笑いということもあって、他人事と思えないというか、自分も身内のような感じに思えてしまって、1企業の内部のゴタゴタにすぎないと揶揄もされてもいますが、だからこそ身近で気になってしょうがないという1人になっています。
元々、反社の件で宮迫さんが引退になるかもしれないというニュースの時は、「芸人さんだからそういうリスクあるよね・・・、哀しいけど仕方がない。」くらいの感じだったのですが、例の記者会見以降、完全に内部のゴタゴタで、その部分部分に関係者がそれぞれの文脈で反応して、収集がつかなくなっていると。
会社で組織崩壊が起こる時というのは、こういう流れが多い気がします。当事者だけで解決できないことを複数の関係者が仲裁したり、意見を言っているうちはいいんだけど、そこに会社全体の根源的な問題が内在していてそれに不満をもっていた潜在的反発者が顕在化して、バラバラになってしまうという流れで。
組織が大事だという話の中で、先月やった『ウエディングカンファレンス 本気のトークセッション』というイベントの記録を残しておきたいなというnoteです。
おかげさまで、80名以上の業界の皆さまにお集まりいただきました。今回のイベントはウエディング業界向けのトークセッションで、産業自体を方向づけられるような、大きい方向感をシェアできるような場をつくりたい、という思いで開催しました。
世の中側から見た結婚式のイメージは、ずっと変わっていなくて画一的。では、産業側がそれでいいと思っているかというと全然そうではなくて、結婚式場各社も実は変わりたいってずっと思っている。でも、惜しいのは、みんなが、それぞれ、バラバラということ。そこで、
変わるのならこっちの方向がいいのでは?
産業が向かう未来はこっちの方向では?
ということを共有できれば、ウエディング業界は世の中のニーズに大きく近づけると。これまで業界のイベントにはそういう場がなかったんですが、リクシィ主催のイベントなのでやってみようかという話になり、それが大変盛り上がったので、今日はあの日の振り返りをしたいと思います。
テーマは「パフォーマンスレベルを高める組織の在り方」
『ウエディングカンファレンス 本気のトークセッション』はスピーカーに業界のキーマンをお迎えして次の3つのセッションをやりました。
#1 多様化するユーザーニーズに答え続ける独自戦略
#2 パフォーマンスレベルを高める組織の在り方
#3 従来型マーケティングからの脱却の道
このうち#2 の「パフォーマンスレベルを高める組織の在り方」は僕がモデレーターをやらせていただきました。テーマは組織戦略についてです。
スピーカーは、「ホテル雅叙園東京」婚礼支配人の森木さんと、株式会社クレイジーの結婚式場「IWAI OMOTESANDO」支配人の吉田さん。はじめに、こちらのお二人についてご紹介します。
森木さんは、「ホテル雅叙園東京」の組数を1.5倍に伸ばした立役者
ホテル雅叙園東京は、目黒雅叙園時代からの長い歴史がある非常に素晴らしい結婚式場ですがここ数年少し低迷していました。そこに森木さんがジョインされて、組数が1.5倍に。簡単に言うと年間1000組が1500組に増えたんです。「これ、安藤さんできますか?」と聞かれたらちょっとできません…、くらいの数字です。結婚式場で1.5倍というのは相当難易度が高い。森木さんがどんなことをやって組数が1.5倍になったのか?を語っていただきたくて登壇いただきました。
実は、森木さんは僕が前の会社に入った時から知ってる仲で、10年以上のおつきあいがあります。森木さんが転職するという話を聞いた時はモーレツに誘いに行ったぐらいの関係があり、その後リクシィを立ち上げた報告をしたら「なんでも協力するよー」って感じですごくお世話になっている人です。僕だけじゃなくリクシィのメンバー全員がお世話になっていて、言うなれば「リクシィのお兄さん」(笑)みたいな方です。
それはさておきトークセッションでの森木さんの話を簡単にまとめると。
とにかく情報をオープンにして同じ目線でみんなが動けるということが大切。
雅叙園全体が今どうなっているのか?を社員とシェアし続けること。伝えられる人をしっかりとマネージメントしていくこと。これを徹底的にやりました、という話でした。
人生を祝う企業が作った「IWAI OMOTESANDO」の吉田さんについて
crazy weddingの吉田さんとはおつきあいがなかったんですが、今回のイベントを手伝ってくださった松田佳大さんが紹介してくれました。吉田さんはcrazy weddingが表参道に作った結婚式場「IWAI OMOTESANDO」の支配人をされています。
crazy weddingのビジョンは「世界で最も人生を祝う企業になる」、人の人生に関わることをテーマにされています。結婚式をオーダーメイドするにあたり二人の人生を深堀って、どんな意味が二人にとってあるのか、二人に関わってきた方々にとってどんな意味があるのか、を抽出する。その意味がちゃんとシェアされて表現された結婚式にしよう、とやってこられたのがcrazy weddingなんですが、面白いなあと思ったのが、
社員の面接は平均5〜10回、人によっては15回くらいする(人が大事なので)
代表が朝から米を炊いてみんなでランチを食べる(しかもずーっとやってる)
という話です。一番刺激になったのが、crazy wedding創業者である山川さんの社員への接しかた。
代表自身が社員の人生にバンバン絡んでくる
という話で、驚くぐらい絡んでくるそうです。そういう接し方を日頃されている社員がお客様にも同じように接している。ビックリしますが実はそれが強みなんだな、と自分は聞いてて思いました。
こういったカルチャーがcrazy weddingに根付いたそのスタートこそはトップ主導でしたが、最近はメンバーからの発案で作られていくこともあるそうで、これは社内でカルチャーがシェアされているからこそできることだなあと思いました。
内と外にねじれの構造があるとあまりいい会社にならない
このお二方のトークのハイライトは
にアップされているのでご覧いただきたいのですが、ここでは「パフォーマンスレベルを高める組織の在り方」というトークセッションのテーマに沿ってまとめてみます。
ホテル雅叙園東京の森木さんの話をまとめると、情報を全部オープンにして社員が安心して仕事できる環境を作ることによって、社員がお客様に雅叙園の魅力を語ることができるようになるという流れ。
crazyの吉田さんの話をまとめると、「人の人生に関わる」ことが社内で行われているからこそ、社員がお客様の人生に関わることができるという流れ。
どちらも共通して、内と外につながりがあるなあと思います。こういったつながりが業績を上げるとか、価値あるものを作る上で大事になってくるのかもしれません。その点は自分の会社ってどうなってるかなあ、ということを考えることが大事なのかなと。
例えばAとBの2社があって、A社は、社内では「営業!営業!セールス!売上!」とやっていながらお客様には「お客様のために」ってやっている。B社は、お客様のためになっているのかそれは?と突き詰めて考えられるコミュニケーションが社内にあって、きちんとお客様に提供されている。
どちらがどうかと言うと、B社の方がやっぱりキレイなわけです。経営側が社員と一緒に汗かきながら頑張ってる姿勢がお客様に伝わるから。A社のように内と外にねじれの構造を作るとあまりいい会社にならないなあと思っています。サービス業は人がクオリティですもんね。
歴史の長い会社は森木さんの事例が参考になる
このトークセッションの根底には、令和のウエディング業界の展望を考えるというテーマがあったんですけど、まず森木さんと吉田さん、お二方とのセッションからは「お客様への価値提供と社内のカルチャーをリンクして考えることが大事」ということが見えてきました。
じゃあ、どういうことをすればいいんだろう?と考えた時に、多くのブライダルの会社は何十年というように歴史が長いので、出来上がったものを変えていくのは100倍難しい。そうすると森木さんがやられた事例で、とにかく今の状態をみんなでシェアしながら足並みをそろえていくのが本質なのかなと思いました。そういった展開の仕方が役立つ会社はぜひ参考にしてみてください。
少し余談になりますが、森木さんの社内的なポジションとしてはNo.2で僕もリクシィを創業するまでずっとNo.2歴が長かったんです(12年くらい)。その中での学びとして、社長のキャラとかクセとかをNo.2の立場から変えるのは不可能だということ。
どの社長にもいいところ・悪いところがあって、でも悪いところを直そうと周りが思っても直らないので、いいところをどうやって組織に波及させていくか?とか、足りないところをどう周りがカバーするか?ということが組織としては結構大事。社長である僕が言うのもヘンなんですけど(笑)
で、そこの核になるのがNo.2の方だったり現場の責任者である支配人だったりします。No.2の方が、社長は何を考えているのか?どこに軸があるのか?なぜ会社は今こうなっているのか?ということに意識を向けていって、どうすれば社長の文脈がみんなに伝わるのか?を組織としてワークしていけると、いいチームになると思います。
こんなにユニークだった!「IWAI OMOTESANDO」を見学して驚いた話
ホテル雅叙園東京の森木さん・crazyの吉田さん・僕の3人で繰り広げたトークセッションがものすごく盛り上がって、実際に話していた僕らも楽しかったので「続きをやりましょう」ってことで、後日3人で飲みに行くことに。でも飲む前に、実は吉田さんが支配人をされている「IWAI OMOTESANDO」を見たことがなかったので見学させていただきました。
「IWAI OMOTESANDO」はある結婚式場がリノベーションされてできた会場で、前身の会場を知っていたこともあったのでCRAZYさんが買ったという話を聞いて、すご、と思った記憶があったんですが、実際に見学するとこれがすごく勉強になったのでレポします。
ちょっと補足します。
●ゼクシィをアテにしないからできる空間(ex.全景撮影不可の挙式空間)
IWAIのチャペルは対面式で、入った瞬間みんなの顔が見える。対面式チャペルはそれほど珍しくないんですが、これは普通に考えたら創れないチャペルなんです。理由は、チャペルの全景写真が撮れないから。チャペルの全景写真はゼクシィに広告を出稿する上で必須なんですが、IWAIはゼクシィを当てにしてないからこれでいい。そういう戦略だから作れるハード、ということでかなりユニークだなと思いました。
●体験に特化したハード(ex.ウェルカムの手紙)
ウエルカムスペースに小さなレターボックスが80個くらい並んでいてゲストの名前を表示させます。そこに新郎新婦が一人ひとりに宛てて書いた手紙を入れておいて、ゲストは自分でレターボックスを開けて手紙を手にとって読む、という仕組み。どの会場さんもやろうと思えばできる演出です。ただIWAIの場合は最初からそういうハードになっていて、そのためのウエルカムスペースになっている。これってみんなやるのかなあ?と疑問に思って吉田さんに訊いたら「みんなやりますねえ」と。すごいですよね。
何がすごいかというと、一般的な会場だと現場のプランナーから「やらないお客様もいらっしゃるからここまでやらなくても」とか「集客につながるかどうかわからないのに、ここまでお金かける必要ってあるんですか」とか「お客様にこれを強制するのって提案の幅が狭くなるようで良くない気が…」とか、いろいろな価値観が出てきます。だから、全員がこれをやるっていうこと自体が異常なんです。
ここまで体験に特化したハードって普通作らないし作れない。作りたくても作れないんです。でも、それができていることにすごいユニークさを感じました。IWAIが大事にしていることやその意味を、新規接客する人間からプランナーまで全員が信じてるから、ブレないんだろうなと。
他にもバンケットに冷蔵庫があったり、ブライズルームにお風呂があって家のように感じられたり。もう会場作りの段階からIWAIはcrazy weddingにとって理想的なハードになっていて、こういう組織カルチャーが接客に出るんだなあ…というような感じで話も盛り上がり、3人で夜遅くまで飲みました。
『ウエディングカンファレンス 本気のトークセッション』ではあと2つ、
#1 多様化するユーザーニーズに答え続ける独自戦略
#3 従来型マーケティングからの脱却の道
上記のようなセッションをやったんですが、こちらのハイライトはリクシィのこちらでご覧いただければなと思います。
こんな流れで、今度、7/31にブライダル産業フェアで、トークセッションをさせていただく告知まで。
バリューマネジメント他力野さんと、やはりホテル雅叙園東京森木さんにご協力をお願いして、3人でお届けできればと思います!
色々な会社さんと話していると、一昔前の今度どうなるのかな(ビクビク)という感じよりも、「今が変化の時期だよね!」と前向きなスタンスが増えているような印象があります。
この産業の大きな方向感を確認できるような場にできたらなと思っていますので、業界関係者の皆さま、ぜひお越し頂けたらなと!
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