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わたしは今まで、朝から晩までとにかく仕事、退勤後でも平気で残業をし、休みの日すらも職場に顔を出す、というワーカホリック気味の生活をしていた。 転職をしつつも、長く接客販売業をしているから、暦通りでも時間通りでもない生活がごくごく当たり前になっていて、何の疑問も抱かなかった。 日々のメッセージのやり取りの時間もバラバラで、「今日は休み」と申告した日にも「昼間ちょっと職場に顔を出した」なんて言い、「今日は早番」と申告した日の夜中に「おうち着いた」なんて言っていたら、
彼と出会ったのは、八月のことだった。 それまで、朝から晩までとにかく仕事、退勤後でも平気で残業をし、休みの日すらも職場に顔を出す、というワーカホリック気味の生活をしていたわたしが、ある日突然、「男の人とデートがしたい!」と思い立ち、登録したまま長いこと放置していたマッチングアプリを開いた。 そのアプリの掲示板で、一件の書き込みに目が留まった。 わたしが一年前に趣味で書いた小説の男主人公と同じ名で、同じ悩みを持つ彼に、わたしは自分の小説の登場人物と現実を
「俺に深入りしないほうがいいよ」 薄暗い車内で、静かに、彼が言った。 「うん、分かってる。でも、あなたを愛しています」 助手席に座ったまま身体を捩り、彼を真っ直ぐに見つめながらそう返答すると、彼は困ったような、涙を堪えているような、でも喜んでいるような、なんとも形容し難い表情をして、わたしを見つめ返した。 とても複雑でもどかしい生活を送っている彼は、恐らくもう長い間、誰からも「愛している」なんて言われていないのだろう。 かく言うわたしも、つい去年まではとても複