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うさぎに多い鼓腸症

朝は食べていたのに昼から牧草が全然減っていない!
全然動かないしお腹が痛そう…。

うさぎさんを飼育している方なら経験があるのではないでしょうか?

今回はうさぎさんで多い『鼓腸症』についてお話していきます。

原因

うさぎの消化管は非常に敏感で、様々な要因が鼓腸症を引き起こす可能性があります。主な原因としては以下が挙げられます:

  1. 不適切な食事
    ・繊維質の不足(牧草をあまり食べない)
    ・突然の食事内容の変更

  2. ストレス
    ・環境の変化や飼育環境の不安定さ
    ・他のペットとの衝突や騒音などの外的要因

  3. 運動不足
    ・飼育環境が狭い場合や自由に動き回る機会が少ない場合

  4. 病気や感染症
    ・消化管の病気や腸内フローラの異常
    ・寄生虫や細菌による腸内の炎症

  5. 毛球症(毛の塊)
    ・毛を舐めることによって毛が胃や腸内に溜まり、消化不良やガスが発生する

毛球症で胃内から取り出した毛玉
https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fk-meruby.com%2Fcase%2F629&psig=AOvVaw2LHdFUBDn72-SrbVDgkNW9&ust=1736125440328000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CBQQjRxqFwoTCND8-L6x3YoDFQAAAAAdAAAAABAJから引用

症状

  • 膨満感:お腹が膨れているように見えます。

  • 食欲不振:食べなくなる、または食事量が極端に減少します。

  • 動きが鈍い:元気がなくなり、動きが遅くなります。

  • 排便量の減少:腸の動きが悪くなるので、排便量が少なく便の大きさが小さくなります。

  • 呼吸が浅く速い:胃にガスが溜まり横隔膜を圧迫して呼吸困難を引き起こすこともあります。

  • 腹部の圧痛:触れるとお腹が硬い、痛がる様子を見せます。

お腹が痛くてじっとしている
https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fblog.goo.ne.jp%2Fsakurabonita%2Fe%2F4db25a5bbdc8279f6f99f2a90c573bcb&psig=AOvVaw1eAcwE4-lzyWF1mTlGukO2&ust=1736125568343000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CBQQjRxqFwoTCLC78_ux3YoDFQAAAAAdAAAAABAEから引用

診断

  • 身体検査:お腹の膨張を触診で確認。胃や盲腸が張っているのがわかります。

  • X線検査:ガスがどのように腸内に溜まっているかを確認。特徴的なX線画像です。

胃が張っており、ガスと液体が溜まっているX線画像

治療

  • 腸の運動改善薬
    ・鼓腸症は腸の動きが悪くなり腸の中にガスがたまっているので、腸の動きを助けるお薬を使用します。

  • 点滴治療
    ・鼓腸症は循環が悪くなり、脱水している場合もあります。
    ・通院の場合は皮下点滴、入院の場合は静脈点滴をします。

  • 薬物治療
    ・消化を促進する薬や痛みを軽減する薬が使われることがあります。

  • 手術
    ・腸管に閉塞物がある場合は開腹し摘出する必要があります。

  • 食事療法
    ・食物繊維が豊富な牧草を与えることが推奨されます。
    ・食べない場合は強制給餌が必要になります。

食べないうさぎさんに強制給餌している
https://www.google.co.jp/url?sa=i&url=https%3A%2F%2Fkemonomichi-ah.com%2F2024%2F05%2F31%2F5924%2F&psig=AOvVaw0qFZX13aGNSC5ybe86O-Aa&ust=1736126450813000&source=images&cd=vfe&opi=89978449&ved=0CBQQjRxqFwoTCNjb2Ju13YoDFQAAAAAdAAAAABAEから引用

予防

  • 安定した食事:日々同じ種類の牧草や野菜を与え、急激に食事を変えない。

  • 適切な運動:広いスペースで十分に動き回れる環境を整える。

  • ストレスの少ない環境:静かな場所で飼育し、外的な刺激を避ける。

  • 毛の管理:毛球症が原因となる場合、定期的に毛をブラッシングする。

まとめ

うさぎの鼓腸症は非常に危険な病気ですが、早期に発見し、適切な治療を行うことで回復が可能です。
飼い主さんができることとしては、うさぎの食事、環境、ストレス管理に十分注意し、異常が見られた場合にはすぐに動物病院に相談することが大切です。

今回は以上になります。
みなさまのお役に立てれば幸いです。

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