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博士課程がイタリアに留学するまでの大まかな流れ

お久しぶりです。
最後にnote記事を書いてから随分と月日が経ち、博士課程に進学後、現在はイタリアのトレント大学に留学中のマサキ㌠です。

今回はイタリアに研究滞在(留学)したい人向けに、思い立ってから実際に留学するまでにやるべき事をまとめました。各項目の詳細については今後別記事として書く予定なので、「こんなざっくりとしたスケジュールで留学ってできるんだな〜」くらいの期待値で読み進めてもらえたら嬉しいです。

また、以下に紹介するのは自分が体験した実際の流れを羅列しているだけで最適解を記述している訳ではないのでご注意ください。


①20220725_奨学金の目星を付ける

コロナ禍真っ只中の修士課程を過ごし海外での研究に挑戦したい欲が高まりつつあった頃、弊ラボ定例mtgで教授が「弊学がヨーロッパの大学との大学間協定によって、来年からイタリアのトレント大学に留学が可能になりました。希望者がいれば連絡をください(意訳)」というアナウンスを聞いて、すぐに詳細を送ってもらいました。

今回利用した枠組みはErasmus+というヨーロッパ圏内での研究留学を希望する学生と教員のためのシステムであり、提携校との単位交換が可能な他、学生には最低3ヶ月以上5.5ヶ月未満の滞在で毎月€850の奨学金と€1500の旅費補助が出るようです。物価や家賃などを考慮してもこの奨学金に加えてDCなどの給料があれば食いっぱぐれることはないだろうと判断し、すぐにアプライを決めました(今考えるとアプライよりも②が先なのではとも思う)。


正直なところ、「ヨーロッパに研究留学したら週末は色んな国に遊びに行けそう」「食とHCIに関する研究をしているのでイタリアやフランスあたりが良さそうだな(適当)」くらいの軽い気持ちで手を挙げたのですが、ちょうど協定大学に自分の興味分野にぴったりの教授がいたので早速連絡を取ることにしました。


②20220908_受け入れ先教授とzoom面談

奨学金の目星が付いた後は、所属大学のErasmus+窓口への連絡と受け入れ希望の教授への連絡を行いました。所属大学のErasmus+窓口にアプライすると、職員さんが留学先の窓口と連絡を取り事務手続きを進めてくれるので、自分は受け入れ先教授との交渉に専念しました。

ここで問題が発生します。DeepLとGramarlyを駆使して教授に送ったメールには当たり前のように返信が来ません。(向こうからすれば素性もわからない極東の学生が半年後から研究させてくれと突然メールしてくるので無視されて当然です)

一週間ほど返信が来なかったため、指導教員の知り合いの教授(受け入れ先教授と共同研究を行なっていた方)を紹介して頂き、その方から紹介して頂くような形でCVとこれまでの論文PDFを添付したメールを再度送ったところ、返信を頂くことができたのでzoomをセッティングしました。

推薦後に追撃したメールの冒頭

英語力に自信がなかったため、最初のzoomは指導教員にも同席して頂くというサポート体制を準備して挑み、これまでの研究内容や留学先で行いたい研究をプレゼンテーションした後に受け入れを快諾して頂けることになりました。(その節は本当にありがとうございました)


③20221005_留学先大学との事務手続き[5ヶ月前]

受け入れ先のラボが決まれば、大量の事務手続きを進める必要があります。Learning agreementという履修申告に加えて手続きに必要な諸情報をフォームに記入していくのですが、これ前にも書いたやんという愚痴を心の中にグッと押し込みただひたすらやっつけていきました。

ここで一つ問題になったのが英語力の証明。Erasmus+の概要ページには英語力証明が必要とは記載されていなかったと記憶しているのですが、「B2以上の英語力が必要だから今すぐ送って」と言われかなり焦りました。

TOEFLのスコアなど持っておらず高校生の時に取った英検2級の証明書では証明書類として足りるはずもなかったのですが、EF SETという神サービス(無料+オンライン受験可能+certification発行)を見つけてすぐ受験し、なんとかスコアを確保した上で証明書として提出しました。余裕がある人は事前にTOEFLでもなんでも取っておくことをおすすめします。

実際に送ったCertification
優秀な皆さんならもっとスコア取れるはずですが、手続きや研究はなんとかやっていけます


④20221025_飛行機チケットの購入

受け入れが決まれば事務手続きと並行して、飛行機のチケットを用意する必要があります。ビザ手続きの書類にいつからイタリアにいるのか記載する必要がある(諸説あり)ほか、大学からの受入れ証明にも日付を記載する必要があるため早めに取っておくのが安心だと思います。

イタリアへの航空経路について詳しい訳ではないのですが、自分はイタリア北部のトレントに滞在するためミラノにあるMalpensa Airport 到着の飛行機をGoogleフライトで検索して予約しました。

以前までは羽田か成田からだったか直行便があったらしいのですが、2023年2月現在では(多分ロシア上空が飛行できない影響で)直行便はないためシンガポールやドバイなどで乗り換えする必要があります。飛行機の予約で特に注意する事はないのですが、複数航空会社を経由するとロストバゲージする確率が高くなりそうなので少し高めですが自分はEmiratesを利用しました。

帰国時の飛行機チケットは事務手続きに必要ないため、往路のみの購入で問題ありませんでした。

(途中ドバイでトランジットがあったのですが、かなり空港が広くて飽きることもなくチキンビリヤニを食べたりと過ごせたのは良かったです。当たり前のようにフライトは遅延はしましたが飛んでくれるだけありがたいのでのんびり待った思い出)


⑤20221110_所属大学の事務手続き

飛行機チケットが取れれば受け入れ先や所属大学との事務手続きを進めていきます。これは所属大学や学科によって異なるので各自で調べて頂きたいのですが、自分の所属学科では海外滞在には留学許可願なるものを提出する必要がありました。

⑥20221121_長期滞在ビザ取得

諸々の事務手続きと同時並行して進めないといけず、最難関だと思われるイタリアに長期滞在を希望する場合必要になるのがビザの申請です。

自分の場合、ビザの申請がストレスすぎて体調を崩したレベルでめんどくさかったです。ビザ申請の詳細は後日記事にしようと思いますが、重要なポイントをあげるのであれば「できるだけ早く住居を確保する」「わからない事は全て大使館にメールする」「十分な金額を用意できなさそうなら早めに親や信頼できる人に相談する」の3つです。

出発の90日前から申請可能ですが、自分は何回も門前払いをくらい、最終的に出発の三週間前に受け取れたので早めにに動き出すことが重要です。また、無事に受領されれば二週間程度でビザは受け取れるのでスケジュールを逆算して早め早めに動き出しましょう(何回でも言います)

チェックリストにない書類を要求されたり、窓口の職員さんが高圧的だったりと色々な困難があり正直理不尽なぎてプッツンしそうになりますが、忍耐強く挑み続ける覚悟をもって取り組みましょう。苦労の末、自分のパスポートに緑のビザが貼られているのを見た時は喜びもひとしおです。

2022年一番感動した瞬間


⑦20230104_パッキング

パッキングに関しては特に書く事はありません。

留学経験のある友人らに色々と聞いた話をまとめると「でかいスーツケースを空っぽで持って行き、あとはバックパック背負っとけばいいよ」との事なので最低限のものだけ持参すれば良いと思います。どの都市に滞在するかにもよりますが、最低限の着替え・電子機器・医薬品類さえあればあとはお金が全てを解決してくれます。

これは自戒ですが、研究に不可欠な資材は課金してでも手荷物で運搬しましょう。預け荷物には絶対に入れないようにしてリスクヘッジしたほうが賢明です。SIMカードは現地の都市で購入できるし月€9程度で100GB使い放題と安価ですので、一旦ahamoの海外ローミングで命を繋いで落ち着き次第乗り換えにするとストレスなく過ごせました。

⑧20230117_出国+留学開始

事務手続きを全て終え、ビザも取得し、パッキングができれば後は体調を整えて出国するだけです。

希望に満ち溢れた若者の笑顔です。眩しいですね。


こうやって振り返ると、思い立ってから実際に出発するまで176日で留学が実現したことになります。英語資格習得が必要なく、研究留学であることもあり、かなり早く物事が進んだ方なのではと思います。サポートして頂いた全ての方に感謝したいと思います。

いつか海外で研究してみたいなとぼんやり思ってる方のスケジュール感の参考になれば幸いです。

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