shift innovation #58 (WORK MILL hack 5)
今回は、株式会社オカムラが主催する大阪beeにて「語ろうあなたの考え、知ろうみんなの考え vol.2」哲学対話の会に参加しました。
【哲学対話の会】
哲学と聞いて難しいと感じたあなた、そんな事はありません。
哲学対話はそんな普段の生活では深く考えないようなテーマをみんなでじっくり考えるのを楽しむそんな企画となっています。
「失敗って何」「大人って何」「怒りって何」
この問いへの考え方は皆さん人それぞれ違うと思います。
そんな人それぞれの考え方に触れれる面白い機会です。
一緒に哲学対話を楽しみたい人beeに集まれーーー。
【WORK MILL】
「働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える。」
WORK MILLは、「はたらく」を考え、「はたらく」を変えていく活動です。
今までの当たり前にとらわれず、「様々な視点で(見る)」、「価値観を挽き出す(MILL)」の2つの意味を込めています。
多様な人達とのオープンな共創プロセスのもと、「すぐにみられる」ウェブマガジン、「手に取れる」雑誌・冊子、「訪ねに行ける」共創空間を中心に展開し、共創による課題解決や価値創造を目指しています。
働く環境づくりで困っている方、よりよい働き方を創りたいと考えている方、どうぞお気軽にご連絡ください。
【hack 1の内容】
変化の激しい今の世の中において、さまざまな情報が溢れる中で、その本質を見極めるためには、今までの前提である固定観念を疑うことからはじめる、つまりは、哲学対話することが重要になるのではないかとまとめました。
【hack 2の内容】
セルフ哲学対話を実践する中で、前提(固定観念)を疑い、トレードオフを解消することにより、解決策を導くことができるなど、哲学対話は新たな価値を想像することができる対話手法であるとまとめました。
【hack 3の内容】
捉えた事象に対して、適用する法則により、導かれる仮説が異なることになり、今までとは異なる法則や仮説を導くためには、捉えた事象を懐疑的に捉える必要があり、特に、捉えた事象の本質を問うことが重要となるとまとめました。
【hack 4の内容】
本質確認質問をすることにより、常識と非常識が対立するなど、手詰まりの状態となることにより、固定観念を顕在させることによって、今までとは異なる法則を導くことができるなど、哲学対話の中で、問い続けることが重要であるとまとめました。
【今回の内容】
前回、哲学対話において、問い続けることが重要であることを説明しましたが、問い続けるためには、問い続ける起点となるコンセプトが重要であり、今回は、「コンセプト」について説明することとします。
【コンセプトの設定】
今までとは異なる仮説を導くためには、本質確認質問が重要であることを説明しましたが、本質確認質問をするためには、二項対立する事象や非常識な事象を捉えるなど、手詰まりの状態となるコンセプトを設定することが重要となります。
哲学対話におけるコンセプトである「日常会話をすることなく営業で業績を上げる」に関して、普通であれば、営業をするためには、仕事の話はもちろんのこと、日常会話をすることは常識であるものの、あえて営業において日常会話をしないというコンセプトを設定することとしました。
そして、「日常会話が必要」と「日常会話が苦手(日常会話をしない)」という常識と非常識が二項対立することにより、手詰まりの状態となりました。
その結果、「(そもそも)営業で日常会話をする必要があるのか」という本質確認質問をすることにより、「営業は日常会話が苦手であるため嫌である」という事象に対して、「(一層のこと)会話をせずに営業で業績を上げる」という法則を導くことによって、「日常会話だけではなく、仕事の話も全くしない」という今までとは異なる飛躍的な仮説を形成することとなりました。
【コンセプトを捉えるレイヤー】
それでは、手詰まりの状態となり、本質確認質問をするためには、二項対立するコンセプトや非常識であるコンセプトを設定する必要がありますが、設定するコンセプトを捉えるレイヤーが異なることによって、仮説の飛躍する程度が異なることとなります。
例えば、hack 3のアウフヘーベンの説明において、「大きい商品には大きい場所が必要である」という命題と「大きい商品には大きい場所は必要ない」という反対命題が対立することにより、「大きな商品を小さくする(圧縮する)ことにより大きな場所は必要ない」という統合命題を導くこととなったことを説明しました。
ここでは、「今ある倉庫に商品を保管する」というコンセプトを設定し、「商品を保管する」という目的レイヤーで捉えることにより、「今ある倉庫の大きさでは商品を保管できない」となることによって、「倉庫を大きくすることができないのであれば、商品を小さくすればよい(圧縮すればよい)」となり、大きな倉庫が必要ではなくなりました。
一方で、「保管費用をゼロにする」というコンセプトを設定し、「商品を流通させる」という上位の目的レイヤーで捉えることにより、「今ある倉庫を無くす必要がある」となることによって、「倉庫がないのであれば、受注生産にすればよい(在庫を無くせばよい)」となり、倉庫自体が必要となくなるなど、捉える目的が上位の目的となることによって、仮説の飛躍する程度が高まる、つまりは、より飛躍的な仮説を導くことができることとなります。
【目的レイヤー・機能(手段)レイヤー】
飛躍的な仮説を導くためには、設定した二項対立するコンセプトや非常識なコンセプトを、より上位の目的により捉える必要があります。
それでは、「大きな倉庫を確保する」という解決策ではなく、「保管費用をゼロにする」というコンセプトに基づく「受注生産する」という解決策のような、今までとは異なる視点による、今までとは異なる解決策を導出した事例を紹介することとします。
例えば、以前、解決策を導出した時に設定した「365日24時間コネクトし、社会貢献できるオムツ」「検診を受診せず健康を管理する」というコンセプトやデザインコンサルティングファームTakramによる「100年後の荒廃した地球のための水筒」というコンセプトなど、二項対立するコンセプトや非常識(非現実的)なコンセプトを設定することとします。
そうすると、「社会に貢献する」「健康を管理する」や「生命を維持する」など、コンセプトを目的レイヤーで捉えることにより、今までとは異なる飛躍的な仮説を導くことができることとなります。
その結果、「便から健康情報を抽出できるセンサーオムツ」「検診が不要となる常在菌を含んだ錠剤」や「体内の尿を濾過し循環させ水分補給が不要となる人工臓器(腎臓)」というような、今までとは異なる視点による、今までとは異なる解決策を導出することができることとなります。
これらのことから、セルフ哲学対話に関しては、「日常会話をすることなく営業で業績を上げる」における「日常会話をすることなく(日常会話をしない)」から「訪問しない」や「スキルをあげる」という機能(手段)レイヤーに基づきコンセプトを捉えるのではなく、「日常会話をすることなく営業で業績を上げる」における「営業で業績を上げる」から「店の業績を上げる」という目的レイヤーに基づきコンセプトを捉えることにより、今までとは異なる視点による、今までとは異なる解決策を導出することができることとなります。
【まとめ】
セルフ哲学対話において、はじめに、問いの定義付けを行い、捉えた事象を二項対立させ、二項対立となる問いの再設定に基づきコンセプトを設定します。(hack 2)
次に、設定をした二項対立するコンセプトや非常識なコンセプトに基づき、手詰まりの状態を生じさせることにより、今までとは異なる法則を導くこととなります。(hack 5)
そして、手詰まりの状態となることにより、本質確認質問をするなど、固定観念を顕在化させることによって、今までとは異なる仮説を導くことができることとなります。(hack 4)
さらに、事実確認質問をするなど、固定観念から脱却することによって、飛躍的な解決策を導くことができることとなります。(hack 3)
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