shift innovation #37 (QUINTBRIDGE hack 4)
今回、QUINTBRIDGEで開催された「『アイデアが実り続ける場のデザイン』新たな商品やサービスの創造に大切な視点とは」というテーマのイベントに参加しました。
登壇者は、株式会社MIMIGURI デザインストラテジストの小田裕和氏であり、co-net代表、株式会社MIKKE社外取締役などもされておられ、「インスピレーションを孵化させる、場や道具のデザイン」をテーマに、事業開発から組織開発まで、幅広いプロジェクトのコンサルテーションやファシリテーションに取り組んでおられるようです。
【QUINTBRIDGE hack 1のまとめ】
今までとは異なる新たなアイデアを導出するためには、「哲学アプローチ」や「脳科学アプローチ」に基づく「アブダクション」を活用する必要があることを説明しました。
【QUINTBRIDGE hack 2のまとめ】
「哲学アプローチ」や「脳科学アプローチ」に基づく「アブダクション」の思考プロセスを構造的に捉えた「フレームワークアプローチ」について説明しました。
【QUINTBRIDGE hack 3のまとめ】
「アブダクション」における「哲学アプローチ」「脳科学アプローチ」「フレームワークアプローチ」「思考プロセス」について説明しました。
【今回の概要】
「『アブダクション』における『哲学アプローチ』『脳科学アプローチ』『フレームワークアプローチ』『思考プロセス』について、何となくわかりました‼️」
「でも、アプローチの手順を踏んで検討するのは複雑‼️ 」
「これらのアプローチ、使えそうで使えない‼️❓」
「どうすりゃいいの‼️」
「何となく、知らない間に、無意識に、今までとは異なる新たなアイデアを導出することはできないのか」と思っているのではないのでしょうか。
そこで、何となく、知らない間に、無意識に、今までとは異なる新たなアイデアを導出することができるようにする上で、重要なフェーズである「1.解決困難なコンセプトの設定」「2.究極的状況の想起」「3.固定観念の顕在化」「4.事実探究質問の発信」「5.インパスの発生」「6.固定観念からの脱却」について説明することとします。
【QUINTBRIDGE hack 2で紹介した新たな事例(「水筒」)】
QUINTBRIDGE hack 2で紹介した新たな事例として、コンサルティングファームである「Takram」の「shenu:Hydrolemic System」の事例を活用し、何となく、知らない間に、無意識に、今までとは異なる新たなアイデアを導出する方法について説明することとします。
【無意識による「固定観念の顕在化」「固定観念からの脱却」のための重要なフェーズ】
今までとは異なる新たなアイデアを検討するための第一のハードルとして、固定観念が在化する必要があり、そして、第二のハードルとして、固定観念から脱却する必要があります。
それでは、どうすれば、何となく、知らない間に、無意識に、固定観念が顕在化し、そして、固定観念から脱却することにより、今までとは異なる新たなアイデアを導出することができるのか、説明することとします。
【無意識による「固定観念の顕在化」】
第一のハードルである「固定観念の顕在化」に関して、「1.解決困難なコンセプトの設定」により、「2.究極的状況の想起」によって、「3.固定観念の顕在化」が無意識に生じることとなります。
これは、想定外の非常識である解決困難なコンセプトを設定することにより、コンセプトに基づき想起した究極的な状況が、今まで当たり前と確信していた状況とは異なるなど、その差異が大きければ大きいほど、違和感を感じやすくなることから、無意識に固定観念が顕在化することとなります。
これらのことから、固定観念が無意識に顕在化するためには、あえて想定外の非常識である解決困難なコンセプトを設定する必要があります。
【無意識による「固定観念からの脱却」】
第二のハードルである「固定観念からの脱却」に関して、顕在化した固定観念もしくは想起した究極的な状況に対して、「4.事実探究質問の発信」により、「5.インパスの発生(手詰まりの状態)」によって、「6.固定観念からの脱却」が無意識に生じることとなります。
これは、顕在化した固定観念と究極的な状況の差異が大きければ大きいほど、今まで当たり前であると確信していた事実(固定観念)もしくは想起した究極的な状況が本当に事実であるのかと懐疑的に問うこととなります。
そして、顕在化した固定観念と究極的な状況の差異が大きければ大きいほど、究極的な状況を解決することが困難であると認知することによって、どうすることもできないと手詰まりの状態となります。
そして、究極的な状況を高い視座で捉えていることにより、今までとは相反する事象を想起するなど、問題空間が切り替わることによって、無意識に固定観念から脱却することとなります。
これらのことから、固定観念から無意識に脱却するためには、絶えず懐疑的に事象を捉えると共に事象を高い視座で捉える必要があります。
【「固定観念の顕在化」「固定観念からの脱却」のための大きな差異を生み出す方法】
固定観念が顕在化すると共に固定観念から脱却する上で重要となることとは、比較する二つの事象の差異が大きければ大きいほど、違和感が大きくなることから、事象の本質や目的、固定観念などに気付くことができる場合があります。
例えば、机の右端の同じ場所にいつも水筒を置いていたとします。毎日、1㎝単位で水筒を移動させた場合、おそらく2〜3日は気付かず、1週間が経過する頃には、水筒が移動していることに気付くことができるのではないのかと思います。
これは、移動した距離が短い場合、その差異に気付くことが難しい一方で、移動した距離が長くなればなるほど、「どうして水筒が移動しているのかな」と差異(違和感)に気付くことによって、「水筒を倒すと机の上のパソコンに水がかかり壊れるので、いつも机の右端に水筒を置いていたのに」と、机の右端に水筒を置いた本来の目的に気付くことができるのではないかと思います。
このように、事象の細部まで見ていない場合、差異が大きくならない限り、差異に気付くことができないこととなりますので、逆に、あえて差異が大きくなるように仕向けることによって、変化に気付くことができることとなるのではないかと考えます。
そこで、はじめの段階で、解決困難なコンセプトを設定することにより、究極的状況を想起した場合、常識である状況との差異が大きくなることによって、常識である固定観念が顕在化することとなります。
次に、顕在化した常識と究極的な状況と比較することにより、その差異が大きければ大きいほど、今まで常識と捉えていたことが本当に常識であるのか懐疑的に問うこととなります。
そして、究極的な状況も事実であると認識した場合、常識である事象と究極的な状況との差異が大きければ大きいほど、解決することが困難となることによって、手詰まりの状態となります。
そうすると、事象を高い視座で捉えている場合、新たな視点で事象を捉え直すことができることから、新たな視点に基づき問題空間が切り替わることによって、固定観念から脱却することができることとなります。
これらのように、固定観念を顕在化させると共に固定観念から脱却する上で、比較する二つの事象の差異を意識的に大きくする、つまりは、解決困難なコンセプトを設定することにより、大きな差異を生み出すことによって、固定観念が顕在化し、そして、固定観念から脱却することができるのではないかと考えます。
【インクルーシブデザインの視点から見た「固定観念の顕在化」「固定観念からの脱却」のための方法】
「インクルーシブデザイン」の視点から「固定観念の顕在化」「固定観念からの脱却」の重要性について説明することとします。
「インクルーシブデザイン」とは、障碍を持つ方や外国籍の方などに対応していないサービスを、多様な方々にも対応したサービスとする上で、障碍を持つ方や外国籍の方などの視点を、サービスをデザインする段階からデザインプロセスに取り込む手法をいいます。
しかし、インクルーシブデザインは、障碍を持つ方や外国籍の方のためのデザインだけではなく、障碍を持つ方や外国籍の方の一般の方とは異なる視点を活用する、つまりは、今まで一般の方が気付くことのなかった視点に基づき、サービスをデザインすることによって、実は一般の方の利便性も高まるという効果があることから、サービスをデザインする段階からインクルーシブデザインを取り入れている場合もあるようです。
これらのことから、固定観念が顕在化するためには、想定外の非常識である解決困難なコンセプトを設定する必要があり、今までとは異なる視点に基づき発想する、つまりは、固定観念にとらわれることなく発想するためであり、「インクルーシブデザイン」に関しても、一般の方の固定観念にとらわれることなく発想するためであるという点において、共通しているものであることからも、固定観念が顕在化するためには、解決困難なコンセプトを設定する必要があると考えます。
そして、顕在化した固定観念から脱却するためには、捉える視点を転換する必要があり、「哲学アプローチ」「脳科学アプローチ」「フレームワークアプローチ」「思考プロセス」など、思考により視点を転換するのか、「障碍を持つ方」「外国籍の方」など、多様性により視点を転換するのか、いずれの手法であっても、固定観念から脱却する上で、視点を転換する必要があります。
しかし、多様性により視点を転換することとした場合、「健常者の方」「日本国籍の方」が多様な視点を受け入れることができないと、視点を転換することはできないことから、多様な視点を受け入れるためには、常識(固定観念)と思っていることが本当に常識であるのか懐疑的に問うということが必要であることからも、顕在化した固定観念から脱却するためには、事実探究の質問を発信する必要があると考えます。
【まとめ】
今回は、何となく、知らない間に、無意識に、固定観念が顕在化し、そして、固定観念から脱却することにより、今までとは異なる新たなアイデアを導出する方法について説明しました。
固定観念の無意識的顕在化
設定するコンセプトと今まで確信していた事象との差異が大きければ大きいほど、違和感を感じやすくなることによって、固定観念が顕在化することとなります。
よって、固定観念が無意識に顕在化するためには、あえて想定外の非常識である解決困難なコンセプトを設定する必要があります。
固定観念の無意識的脱却
顕在化した固定観念を強く意識し、当たり前のことであると確信すればするほど、対極にある事象との差異が大きくなることにより、懐疑的に事象を問うことによって、手詰まりの状態となります。
そして、事象を高い視座で捉えていることにより、事象を捉える視点が転換することによって、今までとは相反する事象を想起するなど、固定観念から脱却することとなります。
よって、固定観念から無意識に脱却するためには、絶えず懐疑的に事象を捉えると共に事象を高い視座で捉える必要があります。
【全体まとめ】
「マインドセット」
●「極端な視点」で事象を捉える (意外性・面白さ)
●「懐疑的」に事象を捉える (正当性・問題性)
●「高い視座」で事象を捉える (予測性・構造化)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?