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shift innovation #56 (WORK MILL hack 3)

今回は、株式会社オカムラが主催する大阪beeにて「語ろうあなたの考え、知ろうみんなの考え vol.2」哲学対話の会に参加しました。


【哲学対話の会】

哲学と聞いて難しいと感じたあなた、そんな事はありません。

哲学対話はそんな普段の生活では深く考えないようなテーマをみんなでじっくり考えるのを楽しむそんな企画となっています。

「失敗って何」「大人って何」「怒りって何」

この問いへの考え方は皆さん人それぞれ違うと思います。

そんな人それぞれの考え方に触れれる面白い機会です。

一緒に哲学対話を楽しみたい人beeに集まれーーー。


【WORK MILL】

「働く環境を変え、働き方を変え、生き方を変える。」

WORK MILLは、「はたらく」を考え、「はたらく」を変えていく活動です。

今までの当たり前にとらわれず、「様々な視点で(見る)」、「価値観を挽き出す(MILL)」の2つの意味を込めています。

多様な人達とのオープンな共創プロセスのもと、「すぐにみられる」ウェブマガジン、「手に取れる」雑誌・冊子、「訪ねに行ける」共創空間を中心に展開し、共創による課題解決や価値創造を目指しています。

働く環境づくりで困っている方、よりよい働き方を創りたいと考えている方、どうぞお気軽にご連絡ください。


【hack 1の内容】

変化の激しい今の世の中において、さまざまな情報が溢れる中で、その本質を見極めるためには、今までの前提である固定観念を疑うことからはじめる、つまりは、哲学対話することが重要になるのではないかとまとめました。


【hack 2の内容】

セルフ哲学対話を実践する中で、前提(固定観念)を疑い、トレードオフを解消することにより、解決策を導くことができるなど、哲学対話は新たな価値を想像することができる対話手法であるとまとめました。


【今回の内容】

今回は、前回、「嫌いな仕事をやりがいのある仕事にすることはできるのか」という問いからセルフ哲学対話をした思考プロセスから、「アブダクション」「アウフヘーベン」について説明することとします。

〈セルフ哲学対話による思考プロセス〉

(コンセプト)
●「日常会話をすることなく営業で業績を上げることができるのか

(思考プロセス)
●「日常会話が苦手であるため取引先に対して定期的に訪問する営業は嫌である」
●「(そもそも)営業の業績を上げるために日常会話をする必要があるのか」
●「(一層のこと)会話をせずに営業で業績を上げることができないのか」
●「会話をしないというのは日常会話を全くしないのか」
●「日常会話だけではなく、仕事の話も全くしないのか」
●「(本当に)仕事の話も全くしないということはできるのか」
●「仕事の話もしないのでは、訪問する意味がないのではないのか」
●「(どうして)訪問せずとも目的を達成することができるのか」
●「訪問する目的とは、飲食店の状況を知ることである」
●「(どうすれば)飲食店の状況を知ることができるのか」
●「客として店に食事に行くのはどうか」
●「店の様子、出している食材など、さまざまな状況を知ることができる」
●「そうすれば、店で食材を一番活かす方法を知ることができる」
●「店で食事をし、店にあったレシピを提案することにより、店で日常会話をすることなく、営業の業績を上げることができる」


【アブダクション】

アブダクション(仮説推論)とは、事象に対して、法則を適用することにより、仮説を形成するもの(※)であり、例えば、「朝起きると地面が濡れていた」という事象に対して、「雨が降ると地面が濡れる」という法則を適用することにより、「夜に雨が降ったのであろう」という仮説を形成することとなります。
※アブダクションの定義は個人の解釈によるものとなります

●「朝起きると地面が濡れていた」 事象
●「雨が降ると地面が濡れる」 法則
●「夜に雨が降ったのであろう」 仮説

例えば、営業が好きな人がいるとします。そうすると、「営業が好きである」という事象に対して、「営業には会話が重要である」という法則を適用することにより、「会話が得意なのであろう」という仮説を形成することとなります。

●「営業が好きである」 事象
●「営業には会話が重要である」 法則
●「会話が得意なのであろう」 仮説

そこで、事例では、「営業が嫌いである」という事象に対して、「営業には会話が重要である」という常識(固定観念)を否定的に捉えた場合、「営業には会話は必要でない」という法則を適用することにより、「会話はしないのであろう」という仮説を形成することとなります。

●「営業が嫌である」 事象
●「営業には会話は必要でない」 法則
●「会話はしないのであろう」 仮説

これらのことから、「日常会話が苦手であるため営業は嫌である」という事象に対して、「会話をせずに営業で業績を上げる」という法則を適用することにより、「日常会話だけではなく、仕事の話も全くしない」という仮説を形成することとなりました。

●「日常会話が苦手であるため営業は嫌である」 事象
●「会話をせずに営業で業績を上げる」 法則
●「日常会話だけではなく、仕事の話も全くしない」 仮説


なお、「営業が好きである」という事象に対して、「営業には会話が重要である」という法則は常識的なことであるので意識せず、「会話が得意なのであろう」という仮説も意識することなく想起することとなります。

一方で、「営業が嫌である」という事象に対して、「営業には会話は必要ない」という常識とは異なる法則であるので、意識をしないと想起されず、「会話はしないのであろう」という仮説も意識しないと想起されないこととなります。

●「営業が好きである」 事象
  (「営業には会話が重要である」 法則 )
●「会話が得意なのであろう」 仮説

●「営業が嫌である」 事象
●「営業には会話は必要でない」 法則
●「会話はしないのであろう」 仮説


【アウフヘーベン】

アウフヘーベンとは、命題(テーゼ)反対命題(アンチテーゼ)を対立させることにより、高度な統合命題(ジンテーゼ)を導くものであり、例えば、「大きい商品には大きい場所が必要である」という命題と「大きい商品には大きい場所は必要ない」という反対命題を対立させることにより、「大きな商品を小さくする(圧縮する)ことにより大きな場所は必要ない」という統合命題を導きます。

●「大きい商品には大きい場所が必要である」 命題
●「大きい商品には大きい場所は必要ない」 反対命題
●「大きい商品を小さくする(圧縮する)ことにより大きい場所は必要ない」 統合命題 (妄想)

そこで、事例では、「営業には会話が必要である」という命題と「営業には会話は必要でない」という反対命題を対立させることにより、「飲食店の状況を知ることができれば会話は必要ではない」という統合命題を導きます。

●「営業には会話が必要である」
●「営業には会話は必要ではない」
●「飲食店の状況を知ることができれば会話は必要ではない

これらのことから、「営業の業績を上げるために日常会話をする」という命題と「会話をせずに営業で業績を上げる」という反対命題を対立させることにより、「飲食店の状況を知ることである」という統合命題を導くこととなりました。

●「営業の業績を上げるために日常会話をする」 命題
●「会話をせずに営業で業績を上げる」 反対命題
●「飲食店の状況を知ることである」 統合命題


なお、「営業には会話が必要である」という命題を常識的なこととし捉えた場合、アウフヘーベンをすることなく、「日常会話を積極的にできる方法を学ぶ」という常識的な結論を導くこととなります。

一方で、「営業には会話が必要である(のか)」と命題を懐疑的に捉えた場合、「営業には会話は必要ではない」という反対命題を想起することにより、アウフヘーベンをすることによって、「飲食店の状況を知ることができれば会話は必要ではない」という統合命題を導くこととなります。

●「営業には会話が必要である」 事象
  (「会話の方法は学ぶことができる」 法則 )
●「日常会話を積極的にできる方法を学ぶ」 結論

●「営業には会話が必要である(のか)
●「営業には会話は必要ではない
●「飲食店の状況を知ることができれば会話は必要ではない


【まとめ】

創造性に必要となる方法論として、「演繹法」「帰納法」に続く、第三の推論と言われる「アブダクション(仮説推論)」があり、創造的思考と言われています。

そこで、創造的思考である「アブダクション」においては、適用する「法則」が重要であり、適用する法則により、導く仮説が異なることとなり、例えば、「朝起きると地面が濡れていた」という事象に対して、「雨が降ると地面が濡れる」という法則を適用(想起)することにより、「夜に雨が降ったのであろう」という仮説を導くこととなります。

一方で、「朝起きると地面が濡れていた」という事象に対して、「雨のシーンの映画のロケがあると地面が濡れる」という法則を適用(想起)することにより、「夜に映画の撮影があったのであろう」という仮説を導くこととなります。

これらのように、捉えた事象に対して、適用する法則により、導かれる仮説が異なることになり、今までとは異なる法則や仮説を導くためには、捉えた事象(常識「雨が降ると地面が濡れる」)を懐疑的に捉える必要があり、特に、捉えた事象(常識)の本質を問うことが重要となります


〈セルフ哲学対話による思考プロセス〉

(コンセプト)

●「日常会話をすることなく営業で業績を上げることができるのか

(課題転換)
●「日常会話が苦手であるため営業は嫌である」 事象(課題)
 ※「日常会話が必要と日常会話が苦手」 対立による手詰まりの状態
●「(そもそも)営業で日常会話をする必要があるのか」 命題
●「(一層のこと)会話をせずに営業で業績を上げる」 反対命題 法則

(機会発見)
●「日常会話だけではなく、仕事の話も全くしないのか」 仮説
 ※「仕事であるのに仕事の話をしない」 非常識による手詰まりの状態
●「(本当に)仕事の話も全くしないということはできるのか」
●「仕事の話もしないのでは、訪問する意味がないのではないのか」
●「(どうして)訪問せずとも目的を達成することができるのか」
●「訪問する目的とは、飲食店の状況を知ることである」 統合命題(新機会)

(課題解決)
●「(どうすれば)飲食店の状況を知ることができるのか」
●「客として店に食事に行くのはどうか」
●「店の様子、出している食材など、さまざまな状況を知ることができる」
●「そうすれば、店で食材を一番活かす方法を知ることができる」
●「店で食事をし、店にあったレシピを提案することにより、店で日常会話をすることなく、営業の業績を上げることができる結論(解決策)


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