03.もしかして私、同性もいけるということ?
タイトル通りの言葉が自分の脳内に浮かんだのは、確か中学3年に上がる春休み頃だったと思う。今回はその時のエピソードを詳しく書き起こしてみようと思う。
(嘘みたいな話だが実際に私自身が経験したそのままである)
当時、成績の内申点の為だけに、活動量の少なさと "所属している" という事実を作る為だけの点で "属している" コスパの良い部活の幽霊部員と、居心地の良い保健室へと行く理由作りの為だけに保健委員に入っていた。
(前回の記事に書いたがその当時、学内でいじめに遭っていたので)その環境の中にある制限や苦しい状況下に於いても、苦しめてくる人間の目の届かないところにあるオアシスを見つけるのは楽しくもあり、尚それで内申点を貰えるのだからざまあみろと内心思っていたのである。
14歳、春の出来事
話を戻そう。私の属した "コスパの良い" 部活は年に1回、部の規約の確認(歴代継がれてきたマニュアルを読み上げるだけ)の総会で幹部が集まる必要以外に何も強制がなく、年に2,3回しか顔を出していなかった。し、他の部員も殆どそうであった。
そんな訳で女子生徒を中心に幽霊部員が校内に何名かいたが、活動のない部活に入る人間はそう多くなく部員が少なかったこともあり、最終学年に上がる前に私は副部長を打診され、(名ばかりの)幹部候補となってしまったのである。
(内申点貰えるしラッキー✌️)ということで役職をお引き受けした。
新年度が始まる前に新入部員募集のポスターを作る令が顧問より出されたので、私と同じ流れで部長となった小学校からの友人と2人、部室であるコンピュータルームに集った。暖かく柔らかな風が吹く春休みの終わり頃の晴れた日だった。校内には生徒が殆どおらず、静寂に包まれていた。
顧問は、部長と私にマーカーの類を渡した後は「出来上がったら教官室へ持ってきて」と言ってコンピュータルームを出て行った。
大人の監督下にない環境で、年頃である14歳の女子が2人集えば何が始まるかといえば、恋愛の話かマセた知識と想像の性的な話である。
2人でペンを進めていると、部長である友人が私へふと尋ねてきた。
「キス、したことある?」
突拍子もなく聞いてきたので「へ?」と間の抜けた返事をしてしまったように思う。
「いや、まだない。そっちは?」
「ない。」
「そっか。」
「じゃあ、練習してみない?」
キスって練習するものなのか?
少女誌「りぼん」などを読んでいた様な年頃だと、やれさくらんぼのヘタを舌で結べるとキスが上手いだの信憑性もへったくれもない知識を信じている頃だから、相手にそのまま乗せられてしまったのである。
横に並ぶ様にして座っていた私と友人は向き合う形になり、唇を重ねた。
_____これがキスか。
読んで下さっている皆さんが経験されたファーストキスと同じような感想だと思うが、少し冷たくて、自分のものでない唇の潤った部分と湿り気、そして柔らかさを感じた。ファーストキスという出来事は、処女を失うくらいの、人生の中での大きな出来事の様に感じた瞬間だった。
そして友人は何を考えたか、私の制服のリボンとシャツのボタンを外した。その後どんな経緯でそんなことをしたのかもう思い出せないのが癪だが、互いにシャツ1枚になるまで、ブレザーにセーター、リボンと制服を1枚ずつ脱がせ合っていた。エロいことをしているんだろうな、やばいなぁとはぼんやりその当時も思っていたがやっていることが普通にAVさながらである。
春休みの校舎で一体何をしていたんだ、私は……。
その後、2人とも何事もなかった顔をして完成させたポスターを提出して帰路に着いた。
家に帰ってからは自室でその日あったことを思い出さずにはいられなかった。
" そういえば男の子とキスをする前に、女の子とキスをしたんだな、嫌だとは思わなかったな。……もしかして、同性もいける可能性があるのか…?不思議な感覚だな……"
同性への思いを自覚するのはさらに1年後。
《03.もしかして私、同性もいけるということ?編 了》
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