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スペイン・ポルトガル旅行記①


ゼミ論文も概ね完成し、学生生活最後の節目としてスペインとポルトガルを旅行してきました。本稿はそれを記録にしたものです。

※長くなりそうなのでいくつかに分けて書きます。このnoteは自宅から、マドリード到着までを記したものです。

2024年12月27日 自宅➝イスタンブール

旅の幕開けは夕刻の帳が下りる頃だった。自宅を出たのは午後6時。いつものように電車を乗り継ぎ、関西の空の玄関口、関西国際空港を目指す。乗り換え案内アプリが導き出したのは、見慣れた京都経由ではなく、大和西大寺と鶴橋、そして天王寺を経由するルート。私たちはそれに従い、夕闇を切り裂く電車の窓に、過ぎゆく街の灯を映しながら進んだ。

天王寺駅にて。

選んだフライトは、再びターキッシュ・エアラインズのTK87便。昨年夏の旅路で、トルコと中東欧を巡った際に乗った、あの懐かしい便だ。今回の目的地はマドリード。イスタンブールで乗り継ぎ、スペインの地に降り立つ計画である。

鶴橋と天王寺で列車を乗り換え、関空に到着したのは午後8時前。出発時刻の午後10時まではまだ時間がある。しかし、大型のキャリーケースを預けようとチェックインカウンターへ向かうと、そこには予想外の長蛇の列が待ち構えていた。過去二回の経験では、同じ時間帯でもこんな混雑はなかった。些か面食らいながらも、その場でオンラインチェックインを済ませ、搭乗券を手にして列に並んだ。40分ほどの時が流れ、ようやく荷物を預け終え、保安検査場へと足を進めた。

保安検査場では、以前は係員に航空券を手渡していたのがいつの間にか自動化ゲートに変わっていた。おそらくは、間近に迫った大阪万博を見据えての対応だろう。関空では、万博による旅客増加を見越したリニューアル工事が進行中。この自動化ゲートも、その流れの一環に違いない。

保安検査を抜け、出国審査へ。数年前に導入された自動化ゲートのおかげで、出国手続きは驚くほどスムーズになった。ICパスポートの恩恵である。パスポートをかざし、あっという間に手続きは完了したが、機械的な処理だけでは旅の記憶が薄れてしまう気がして、近くにいた入国管理官に頼み、出国スタンプをパスポートに押してもらった。後で旅を振り返る時、このスタンプが大切な栞となるのだ。

リニューアル工事の影響で、出国審査後の動線は変更され、否応なく免税店エリアを通るようになった。これは、帰国客の購買意欲を刺激する巧妙な仕掛けだろう。同行者が愛煙家であるため、ここでタバコを2カートン買うのが、いつものこととなっている。銘柄は決まってセブンスターのBOX。同行者は私が生まれる前から煙草を吸っているので、20年以上も同じものを吸い続けている。よくまぁ飽きないものだ。

煙草を買い終え、搭乗口である16へ向かう。空港の端に位置するそこまでは、免税店エリアから小走りで五分ほどかかった。しかも、途中の電光掲示板には「FINAL BOARDING CALL」の文字が点滅しており、一瞬肝を冷やした。幸い搭乗はまだ始まっておらず、胸をなでおろしたが、あの表示のタイミングには疑問が残る。

搭乗手続きを済ませ、機内へ。機材はボーイング787-9。昨年夏に往復で利用した、勝手知ったる機体だ。指定された席に座り、荷物を棚に収める。やがてドアが閉まり、TK87便は20分ほど遅れて関空を飛び立った。

ターキッシュ・エアラインズのB787-9。

飛行機は夜空を駆け上がり、最初の機内食の時間。カレーと日本風チキン照焼からの選択。前回はなかったチキン照焼を選んでみた。馴染み深い醤油ベースのソースが食欲をそそり、実に美味しかった。ターキッシュ・エアラインズの機内食は、いつも期待を裏切らない。空の上の食事は、道中の大きな楽しみの一つだ。

最初の機内食。

最初の食事を終え、眠りにつく。オフラインで保存しておいた動画を見ていたはずが、いつの間にか眠り込んでしまったようだ。7時間ほどの深い眠りから覚めると、2度目の機内食が運ばれてきた。朝食は温かいうどん。日本路線らしい心遣いが嬉しい。

2回目の機内食。

朝食後、しばらく動画を見たり、衛星放送を眺めたりしているうちに、着陸態勢に入った。ベルト着用のサインが灯り、飛行機はゆっくりと高度を下げていく。午前5時半過ぎ、 雨が降るイスタンブール空港へ静かに着陸。最初のフライトは無事終了した。

2024年12月28日① イスタンブール➝マドリード

乗り継ぎ便まで2時間弱の待ち時間。しかし、ここでも手荷物検査が待っていた。機内で受け取った水をも没収されるほどの厳重な検査体制に、トルコが近年まで政情不安やテロの脅威に晒されてきた歴史が垣間見える。水以外は特に問題なく、スムーズに手荷物検査を通過。

イスタンブール空港の様子。

途中コーヒーを買ったり、免税店を覗いたりしながら、次の搭乗口へ向かう。しかし、その距離は想像以上だった。なぜかって、ボーディングブリッジから手荷物検査場まで15分、そこから搭乗口までさらに20分かかったのだから。イスタンブール空港は広大な空港で、既に巨大なターミナルと五本の滑走路を有しているが、それでもなお拡張計画が進められているという。

この空港に来るたびいつも感じるのは、その賑わいだ。高級ブティックを含めた免税店は24時間営業で、いつ訪れても乗り継ぎ客で溢れかえっている。ターキッシュ・エアラインズが、エミレーツなどのように、乗り継ぎ客を重要な顧客層と捉えていることがよくわかる。

ようやく搭乗口に到着し、乗り継ぎ便、ターキッシュ・エアラインズTK1857便、マドリード行きの搭乗手続きを済ませる。機材はエアバスA330-300。ターキッシュ・エアラインズの中長距離路線でよく見かける機体だ。

ターキッシュ・エアラインズのA330-300。

TK1857便は定刻通りに搭乗開始。搭乗券とパスポートを提示し、機内へ。A330のエコノミークラスは2+4+2の座席配置で、今回は窓側の二列席だった。荷物を整理し終えると、ドアが閉まり、飛行機は滑走路へ向けてゆっくりと動き出した。タキシングは15分ほどと長く、滑走路に到着後、先行機をやり過ごし、TK1857便はマドリードを目指して空へと舞い上がった。

離陸から1時間ほどで機内食。オムレツは温かく、美味しかった。TK1857便は、太陽を追いかけるように西へ飛ぶ。機内には徐々に朝日が差し込み、窓からは息を呑むほど美しい朝焼けが広がった。成層圏から見る朝焼けは、まさに絶景だった。

マドリード行きの機内食。
機内から見た朝焼け。

やがてマドリード近郊に差し掛かり、着陸態勢に入る。アドルフォ・スアレス・マドリード=バラハス空港への着陸は、衝撃も少なく実にスムーズだった。空港内をタキシングし、スポットに到着。ボーディングブリッジが接続され、降機が始まる。他の乗客と共に飛行機を降り、入国審査場へ。途中、職員から「家族なら一緒に審査を受けられる」と案内があり、同行者と並んで審査を受けた。質問は特になく、あっという間に入国完了。パスポートを返される際に、入国審査官から「Bon voyage!」と声をかけられたので、「Gracias!」と応えた。預けていたキャリーケースを受け取ると、破損も見当たらなかったので安心した。

マドリード・バラハス空港。
それっぽいものがないのでこれでご勘弁を。

こうして、私たちは無事、スペインの土を踏んだのだった。

(スキ下さい!今後の励みになりますので...!)

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