中村匡希

2015年から地域おこし協力隊として滋賀県竜王町に移住、2019年10月からは竜王町議…

中村匡希

2015年から地域おこし協力隊として滋賀県竜王町に移住、2019年10月からは竜王町議会議員として活動中。

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【行政版】地域おこし協力隊の募集の仕方

こんにちは、地域おこし協力隊OBで現在地方議員をしている中村です。 地域おこし協力隊を卒業してから、いろいろな隊員の相談を受ける機会がありました。そのなかで問題となるのは隊員と地域のミスマッチです。この双方の思いの違いは、公募の段階というイニシャルですでに発生していることが多くあります。ミスマッチ、とは「こんなはずではなかった」という思いの差であり、行政と隊員の両方に思いの違いは見られます。 今日は行政の募集のあり方、というトピックに絞って考えてみます。行政からすれば優秀

    • 『東洋弓道基鑒 巻上』の考察〜ウィリアム・アッカーの弓道史〜

      ウィリアム・アッカー(William R. B. Acker;1907~1974)は戦前の日本において弓道を修めた稀有な外国人弓道家である。4年間の修行を経た1937年にアッカーは師の那須容和とともに『東洋弓道基鑒 巻上(とうようきゅうどうきかん かんじょう』(英語題 ”The Fundamentals of Japanese Archery” )という英語の弓道書を著している。 オイゲン・ヘリゲルの『弓と禅』が名著として読み継がれている一方、アッカーと那須の弓道書は忘れら

      • 関係人口とはなにか

        こんにちは、地域おこし協力隊OBで地方議員を務めている中村です。 先日、滋賀県大津市にある全国市町村国際文化研修所(通称:ジャイアム)で「関係人口」に関する研修を受けてきました。 「関係人口」は最近のまちづくりの分野で言及されることが増えていますが、比較的新しい用語です。そのため、交流人口との違いがそもそも明確でなかったり、観光客のこと?っといったようにあやふやな理解もまだまだ多く見られます。今日は関係人口について簡単に定義をまとめたいと思います。 1.定義〜「関係人口」

        • 地域活性化企業人とは

          こんにちは、地域おこし協力隊OBで現在は地方議員をしている中村です。今日は、協力体に関連した新しい制度「地域活性化企業人」についてまとめます。 同制度は令和2年度までは「地域おこし企業人交流プログラム」という名称で実施されていました。令和3年度からは名称を変更し、自治体要件も緩和されました。総務省が所管する協力隊事業は、令和3年度から「地域プロジェクトマネージャー」や「地域おこし協力隊インターン」という新制度も始まっています。併せてご参照ください。 1.制度概要地域活性化

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        【行政版】地域おこし協力隊の募集の仕方

          【令和3年度版】地域おこし協力隊の新制度

          こんにちは、地域おこし協力隊OBで現在地方議員の中村です。地域おこし協力隊の制度は日進月歩で猫の目のように、年度の途中でも変更があります。 もしこの文章を読んでいる方が、協力隊の報償費は活動費込み400万円が上限だ、任期後の隊員の定住支援には国補助はない、任期後の起業補助金の申請期間は1年間のみ、海外帰国者は住民票がないため協力隊として直接雇用できない、と思っていたら、これらはすべて間違いです。 今回は令和3年度の主な変更点を踏まえて、現在の協力隊制度をおさらいしていきま

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          ワクチン異物混入のニュースを読む

          ロイター通信英語版によると、モデルナワクチンを日本で供給する武田薬品が問題を把握したのは8月16日でした。政府への報告は25日になってからです。株の空売りを疑われる遅さです(本日も武田株は続落でした)。これだけ発注者への報告が遅れるのは正直理解に苦しみます。 モデルナワクチンは、主にスペインのロビという会社で製造されています。米国向け以外のワクチンはここから世界に供給されています。特にEU圏では、ファイザーとモデルナのシェアはほぼ拮抗しており、現状では異物混入の問題は、日本

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          横浜市長選に見る菅政権の停滞

          横浜市長選挙が終わりました。 開票結果は以下の通りです。 当506,392票 山中竹春(前医学部教授) 325,947票 小此木八郎(前公安委員長・特命担当大臣) 196,926票 林文子(現職) 194,713票 田中康夫(元長野県知事) 162,206票 松沢成文(前神奈川県知事) 62,455票 福田峰之(前衆議院議員) 39,802票 太田正孝(前横浜市会議員) 19,113票 坪倉良和(水産仲卸業) 供託金没収ラインは有効投票数の10%(白票は数えず)です。 今

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          「地域プロジェクトマネージャー」とは

          1.制度概要2021(令和3)年度から国の新事業「地域プロジェクトマネージャー」が始まります。現在分かっている段階での情報をまとめました(この記事は2021年2月3日時点の情報をもとに執筆しています)。 ○地域プロジェクトマネージャーの概要 国からの交付税措置:650万円 求める人物像:専門的な知識や経験を有した人材(協力隊OB・OG含む) 要件:三大都市圏等からの住民票の異動が必要 ※ただし現地の協力隊員から任用する場合、移住は求めない ※1自治体につき1名分のみの財政措

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          「地域おこし協力隊インターン」はじまります

          ※2021年10月13日大幅に加筆修正しました。 協力隊のソフトランディング政策2021年4月(令和3年度)から地域おこし協力隊のインターン制度が始まります。これまでも「おためし地域おこし協力隊」という2泊3日の体験型の取組が行われてきましたが、研修参加の交通費は実費、研修期間が2泊3日と短期間であることがデメリットでした。 こうしたことを踏まえて、 ・参加者の活動経費が1人・1日当たり1.2万円を上限として交付 ・2週間〜3ヶ月の長期間インターン採用が可能 と変更される

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          人材版ふるさと納税と地域おこし協力隊マネージャー

          7月31日の長谷川岳総務副大臣の記者会見では、来年度から「人材版ふるさと納税」と「地域おこし協力隊マネージャー」制度がスタートすることが発表されました。 それ以降、今日(9月12日)まで特に追加で情報は上がってこないので、これは副大臣の発案で始まったプロジェクトに内部で肉付けをしている段階であると想像します。 いずれにしても、この二つの制度が都市部への一極集中が続いている人口動態に、「都会から田舎へ」という逆の流れを加速化させる政策であることは間違いないと思います。今回は

          人材版ふるさと納税と地域おこし協力隊マネージャー

          地域おこし協力隊の報酬は引き上げられています

          【2021年9月26日、内容を一部加筆しました】 1.増額された報酬令和2年度から総務省の方針で地域おこし協力隊の報償費と活動費の上限は引き上げられています。令和3年度の報償費等と活動費をあわせた総額は 470 万円となっています。 ・令和2年度(440万円) 報償費等: 240 万円を上限 活動に要する経費: 200 万円を上限 また、令和4年度にかけて段階的にこの上限は引き上げられます。 ・令和3年度(470万円) 報償費等: 270 万円を上限 活動に要する経費

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          西川家と弓の歴史

          近江の豪商として知られた西川家が現在の滋賀県近江八幡市で家業の問屋を始めたのは天正15(1587)年のことだ。最初は畳表の問屋として始まり、江戸時代に入ると代表的な商材である蚊帳(かや)の取扱いを開始する。当時の蚊帳は麻糸をそのまま織った重苦しいものが主流だったが、繊維を萌黄色に染めて紅色に縁取った「近江蚊帳」は西川を代表する商材となり、その清涼感から江戸市中では飛ぶように売れたという。現在「ふとんの西川」として知られる商家が、しかし、江戸期には「弓」も商材として扱っていた事

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          「定住率6割」の地域おこし協力隊

          2009年から始まった国の地域おこし協力隊制度は今年で12年目に入る。隊員の任期が最大3年間のため、3年×4サイクル目を終えることになる。総務省では3年毎に統計資料を出しており、今回はそれを参照しながら地域おこし協力隊の定住率について見てみよう。 1.「定住率6割」の表現総務省の作成する「地域おこし協力隊の概要(PDFファイル)」や今月刷新された「地域おこし協力隊受入れに関する手引き第4版(PDFファイル)」でも繰り返し強調されているのは、3年間の任期を終えた隊員の「約6割

          「定住率6割」の地域おこし協力隊

          地域おこし協力隊について

          2009年に制度が始まって以来、地域おこし協力隊の人数は右肩上がりで増えている。当初は90人ほどだった隊員数は、10年の節目を迎えた昨年5,500人になった。これは3年間の任期中の現役隊員の数字のため、OB・OGを含めるとすでに数万人の協力隊経験者が世にいることになる。 1.協力隊の諸問題筆者は2015年から3年間滋賀県の竜王町で地域おこし協力隊を務めて、任期満了後は同町に定住している。同時期に協力隊になった人たちとは今でも繋がりはあるが、定住率でいうと「ほぼ半々」だ。総務

          地域おこし協力隊について